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されど服  作者: 高見香里奈
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 今日一日頭から離れなかったあのスカートを買いにきたのだった。

「いらっしゃいませ」

 店内にはいり、真っ先にお目当てのスカートを手に取り、試着したいと告げる。スカートの横にかけられた、袖にレースが施されたブラックのニットに目がいった。

 すいません、これも着ていいですかと追加する。

 結局恵理子は試着したスカートとニットと一目惚れしたパンプスを購入した。


 帰宅したマンションの郵便受けから恵理子は数枚の葉書と封書を取り出す。

 どれも重要と書かれたもので、それはカード会社からの支払いの催促状だった。

 恵理子は封も切らずまとめて透明の袋にいれ、床に置いた。室内はショップの紙袋が購入した状態のまま、散らばっている。

 散らばった紙袋を見て恵理子は思い出す。

 そういえば今日購入したパンプス。一週間前に購入したものと同じようなデザインだったかも。紙袋の封を切るのも面倒で、ずっとそのままの状態である。

 仕事でのストレスが溜まるたび、恵理子は百貨店に行き、服を購入してしまう。

 欲しいと思い始めるとそれを買わないと生きていけないくらい、自分にとって必要な物に思え、買い物をしてしまう。現在の給与は同年代の社会人に比べて高い方だ。去年大学時代の友人達で集まり、収入を言い合ったことがある。生活費を引いてもかなり余裕があるはずだ。それなのに貯金はおろか散財してしまい、常に金欠状態だ。買い物をする時、目の前のものに必死で、限度額というものを忘れてしまう。家賃を支払う残高も危うく、キャッシングで凌ぐ月もある。家に帰り玄関にはいると、立ちくらみがしたので、ふらふらとした足取りで恵理子は部屋に向かった。

 紙袋を床に置き、恵理子はソファに座り、横たわる。なんだか頭痛がする。目を閉じた瞬間、意識は眠りへと向かっていた。


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