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されど服  作者: 高見香里奈
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 恵理子は買い物である種の達成感に近い感覚を手にいれていた。見ているだけでかわいくて、楽しくなるお洋服を自分のものにできる瞬間は恵理子のとって、今最も自分に安らぎを与える一つの手段なのである。華やかな空間で、店員は恵理子を褒め称え、自分を肯定されているようで気持ちが良い。

 この快感を得たくて、恵理子は買い物に依存してしまう。仕事で嫌なことがあった時は大体買い物をして帰るというルーティンが恵理子の中に無意識に構築されていた。

 帰宅し、恵理子は玄関に紙袋をどさっと置いた。手が切れそうなくらい、重さがあった。

 指に紙袋の跡がついている。パンプスを脱ぎ、部屋にはいると、床にはまだ未開封の紙袋が何個か無造作に置かれていた。今日購入したMarrisaの紙袋を部屋の床に置き、スーツを脱いで、部屋着に着替える。冷凍庫から明太子パスタを取り出し電子レンジにいれた。

ノート型パソコンを取り出し、来年開催される予定の大型グルメイベントについての資料を作成する。ちん、とレンジの音が鳴り、それを取り出した。手間と時間がかかるので、自炊はせず、外食か冷凍食品かレトルトの三択が恵理子の定番となっている。

 パスタを味わって食べることもなく、恵理子は自動販売機に飲み物が補充されるかのように機械的にパスタを口にいれる。空腹を満たすためだけに。

 明日までに作成しないと、上司の柳田からまた嫌味を言われるだろう。本当は柳田が作成するはずのものを恵理子に押し付けているのは明らかだった。

 ようやく資料の作成が完成した時、時計は四時を指していた。


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