表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
されど服  作者: 高見香里奈
45/78

45恵理子と服

【恵理子と服】


 会社の女性用トイレの個室で川田恵理子は大きなため息をついた。先輩の嫌がらせにも、クライアントからの無理難題にもクレームにも耐えた。恵理子はこの二年、仕事に没頭していた。新卒で中小企業のグルメサイトの運営会社に入社し、営業をしている。残業し、休日出勤しまくっているせいか、最近は休日を楽しむ時間も無い。鏡に映る自分は青白く、目にはくまがくっきりとでている。恵理子はそんな自分に嫌気がさし、はぁーとため息をつきトイレをでた。

 デスクに戻り、パソコンを開き、受信メールを確認する。クライアントからのクレームのメールが何十件も転送さていた。全て上司の担当していたクライアントである。面倒なクレーム対応をいつも恵理子に任せるのだ。いい加減しろよと言いたくなる。一件ずつメールを開き、返信していく。

 恵理子は退勤後、百貨店に向かった。仕事のストレスに耐え抜き、頑張った自分にご褒美である。

「こんにちはー」

 いつものように、店員は笑顔で恵理子を出迎えた。店のディスプレイをちらりと見る。

 マネキンが着ているデニムがかわいい。ハートのポケットで、確か、モデルのMAYUMIちゃんデザインの限定のものだ。

 まるでテーマパークに来ているようで、仕事での嫌だった出来事を忘れさせてくれる。

 ここではとても丁寧に、恵理子をお姫様のように扱ってくれる。そんな店員達の態度に恵理子は快感に近い喜びを感じていた。今日入荷したばかりという新作のピンクのニットを手に取り、自分の身体に当てる。曇り一つ無く磨き上げられた鏡。ほら、私はここで素敵になれる。恵理子は満足そうな表情を浮かべ、ニットを戻し、マネキンに着せられたデニムと同じものを手に取った。

「すいません、このデニムを試着したいのですが」

 恵理子はポニーテールをした店員に声をかけた。店員はどうぞこちらに、とフィッティングルームに恵理子を案内した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ