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されど服  作者: 高見香里奈
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『厳正に選考した結果、誠に残念ながら貴殿のご希望に添いかねることになりました。』

 その結果に涼子は大きなため息をつく。不採用通知の連絡が来たのはこれで何度目だろうか。履歴書を書いて、応募して、スーツを着て面接に行く。もう何度もこんなことをしている。一社くらい採用の通知をくれたっていいのに。涼子は焦りと苛立ちの中、時間を過ごしていた。何度も面接で繰り返される志望動機の質問。一体自分は何を志望しているのか、正直なところわからない。ただなんとなく、その会社を志望しているのだ。度重なる面接で自身の本心が浮かび上がる。

 これからどうしようと、大きなため息をつき、不採用通知のメール画面を閉じた。

「これを機会にちょっとゆっくりしたら? ねぇ、そうだ、ハワイに遊びにきなよ。ちょうど私の誕生日パーティーをするの」

 小学校からの幼なじみで、ハワイ在住の由香はお気楽な調子で言った。今は親戚の結婚式で一時的に日本に帰っていた。

 確かにこのまま不毛な転職活動をしていても拉致があかない気がする。気分転換にいいかも。ちょうど自由な時間があるのだし。由香と話しているうちに、そんな思いを抱き始めた涼子は、ハワイに行くことにした。

『お一人様五泊七日のハワイツアー!』

 家に帰って、旅行会社でもらってきたパンフレットを机に並べた。パソコンの受信メールを確認すると、不採用通知のメールがたくさんきていて気分が沈んだ。


 ハワイ出発の二日前、涼子はパーティー用の服が無いことに気がついた。クローゼットを探すが、厚手の生地のものばかりで、ハワイの雰囲気に合いそうな物は無い。現地で買おうかと一瞬考えたが、パーティーまで時間も無く、もしも気に入る物が無かったら、ということで服を買いに百貨店に行くことにした。

 百貨店独特の服や人がきちんと整列された雰囲気。心地よさを感じる。エスカレーターに乗り、三階の明るいライトに照らされたフロアに到着し、涼子はショーウィンドーを見ながらゆっくりと歩く。


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