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されど服  作者: 高見香里奈
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37涼子と服

 涼子と服


「これはダリア。これはガーベラ」

「涼子ちゃんよく知ってるね」

「将来の夢は?」

「お花屋さん」

***

「えー会社の事業縮小に伴い、平田さんが担当していた部署は廃止となります。そのため今後、平田さんの活躍できる場を会社から提供できないので……」

「は?」

 涼子は一瞬、部長が何を言っているのか理解できなかった。世間で言ういわゆるリストラというものだった。涼子は新卒で地元の中小企業の下着や水着を製造する自社メーカーの水着部門の事務職として採用された。平和にOLを今までやってきたが、まさか自分がリストラを経験するとは……。新卒で入って三年目。たいして忙しくもなく、刺激も無いが、仕事をきちんとこなしてきたつもりだ。大きなショックが涼子を襲う。仕事が手につかず、帰宅早々ノートパソコンを開いた。就活サイトに登録し、今と同じような職種数件に応募しパソコンを閉じた。


 数日後、応募した会社から面接日の連絡が来た。履歴書の写真を撮影するため、涼子はスーツに着替えて家を出る。

 駅に設置されている証明写真機に向かう。 

 プリクラの機械みたいだなと思いつつ、写真機に入った。プリント中という画面になり、ぱさっという音と共にでてきた証明写真は、ぱっとしない表情の写真だった。


 今日は国内婦人服メーカーの営業事務の面接である。部屋の前にパイプ椅子が並べられており、その椅子に座って面接の順番を待つ。

 涼子はネットで見た会社の経営理念を思い出し、志望動機を頭に浮かべた。

「次の方」

 部屋は殺風景で、白い壁に横長の机が置かれており、五十代くらいの白髪混じりの男性と四十代くらいの女性が二人座っている。

「弊社を希望した理由は?」

 男性が涼子に質問をする。

 涼子はごくりと唾を飲み込んだ。事前に考えていた理由がでてこない。

「御社の経営理念に深く共感いたしました」

 一体何だったか。希望の理由が思い浮かばず、涼子は答えた。

「経営理念のどのような部分でしょうか」

 女性が鋭い眼差しで涼子を見つめた。

「木材を通して世界の……」

 しまった、と涼子は思った。言い終わらないうちに、自分が明日面接を受ける予定の別の会社の経営理念を言ってしまったことに気がついた。

 面接官二人の顔が一気に怪訝な表情に変わった。

 いくつかの質疑応答を終え、部屋を出る。

 早くこの場から立ち去りたい、そんな思いで部屋から出る。確実に落ちた。涼子は確信していた。どんよりとした気持ちで涼子は建物の出口に向かう。ロビーに飾られた百合の花が目にはいった。ブルーのガラスの花瓶に美しく花が生けられている。きれいだな。花に目をやりながらビルを出た。


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