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されど服  作者: 高見香里奈
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 いつも通り、ストックルームで亮くんとすれ違う時に、お疲れ様と声をかける。

 お疲れ様と返した亮くんは嬉しそうに見えた。何か良いことがでもあったのだろうか。

 相変わらずかっこ良いなと思った。

 その夜、亮くんからメッセージがきた。

 食事の誘いだった。

 期待しないようにと自分に言い聞かせ、週末に行くことになった。何を着て行こうかと考えてしまう。一体、亮君は私のことどう思っているのだろう。亮くんが親しげに話していた女性とはどういう関係なのだろうか。ぽつぽつと亮くんへの疑問が湧いてくる。

 明日の亮君との食事には黒のレースワンピースを着ようと思った。上品で落ち着いた雰囲気だ。

 待ち合わせの居酒屋に着くと、店の前で亮くんが立っていた。

 私に気が付き、おっ、と言って手を軽くあげる亮くん。スーツの亮くんも私服の亮くんもどちらも素敵だ。そんなふうに思ってしまう私は恋心継続中のようだ。

「はいろっか」

 亮くんが言って、二人で店に入る。亮くんは個室を予約していた。

 二人だけの空間で対面だとどきどきする。

 注文を頼み、お互いの近況報告をする。

「この前はリスケになってごめんね」

 亮くんは申し訳なさそうに手を合わせた。

 社員が一人事故で入院して、その社員の仕事をカバーしていたそうだ。この一ヶ月忙しくて大変だったのだという。昨日入院していた社員が退院し、ようやく落ち着いたようだった。

 注文したビールと料理が運ばれてきた。料理は和風のだしが効いている、小芋のからあげや、さくさくポテトサラダなどお酒に合う美味しい創作料理が豊富だった。

「その、有紗ちゃんは好きな人とかいる?」

 三杯目のお酒を注文した後、緊張した面持ちで亮くんが言った。突然聞かれて驚く。

 好きな人? それは亮くんんかもしれない。

 実際今、こんなにてんぱってるし。今そのことを伝えるべき? 早い?

「亮くんは?」

 咄嗟に返答する。

「俺はいる……かな」

 亮くんが言った瞬間

 ストックルームで見たあの女性のことが脳裏に浮かんだ。もしかしてあの人が……?

「俺は有紗ちゃんがずつと気になってた。好きだから付き合ってほしい」

 顔をかすかに赤らめて亮くんが言った。お酒で赤いのか照れて赤いのかわからないがかわいい。

 想定外の亮くんの言葉に一瞬黙り込んだ。

 沈黙に気まずい空気が流れる。

「あの、無理だったら忘れ……」

 亮くんが言いかけた時、私も伝える。

「私も好き」

 [実は……。」

亮くんは私を百貨店で見かけてすぐに気になっていたことを話してくれた。初めて見た時、私はピンクのフレアスカート履いていたそうだ。その後、話せる機会を伺っていたそうで、ミナの彼氏に相談して四人で飲む会をセッティングしてもらったのだという。

 名前を知るまでは亮くんは、私のことをピンクのスカートの子と呼んでたらしい。

 あのスカートに楽しい記憶が追加された。

 また、亮くんと親しく話していた女性は他店舗のスタッフだそうで男女の関係ではないとのことだった。一安心だ。

 帰りは亮くんと手を繋いで歩いた。

 秋が間近に来ているような涼しくて気持ちの良い夜だった。


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