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されど服  作者: 高見香里奈
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「試着していいですか?」

 女性はそう言ってTシャツとフレアデニムを持ってきた。

 ちらりとフィッテイングルームを見る。ちょうどスカートを試着していた女性がフィッテイングルームから出てくるところだった。

 女性をフィッテイングルームに案内する。

 女性が着替えている間、店長が接客していた女性を見ると、店の出口でMarrisaの大きな紙袋を持ちながら、店長と話している。試着されていたスカートを購入されたようだ。

 よかった。でもなんであんな大きな紙袋?

 持っていた荷物をまとめたのかな。

 吉野さんを見ると、顧客様と楽しそうに話をしている。話しながらMarrisaのカタログを見せていた。

 カチャっという音がし、デニムとTシャツを試着した女性がフィッテイングルームからでてきた。とてもよくお似合いだ。デニムに合いそうなシャツを紹介すると、それも着たいということで、次はシャツを試着ということになった。

 数分後、女性がフィッテイングルームからでてきた。

 購入してくれるだろうか?

「いかがでしたか」

「考えます」

 そう言って女性はデニムとTシャツとシャツを私に渡した。

 お似合いだったし、気にいつてられたかと思ったが、決まらなかったか。仕方がない。

 服をかたずけながら、吉野さんがお客様を出口までお見送りをしているのを眺めた。お客様は手ぶらだが、満足そうだ。

 時計を見ると針は午後七時を指していた。

 後一時間。予算まで十万円だったが、店長がスカートを売っていたから、残り九万円くらいだろうか。そんなことを考えていると店長が私と吉野さんを呼んだ。

「現時点で、予算まで残り二万。後一時間諦めず頑張ろう」

 えっ? いつの間に? 私は驚いた。確認すると、店長は先ほど接客していた客にスカートを三枚、ブラウス一枚をセットで売っていた。

 短時間でセットで売る、プロだなぁ、と感じる。だから大きい紙袋だったのだ。このセットで三万円。

 吉野さんは顧客様である、先ほどの客にはワンピース、スカート、ブラウス等五点を売っていて、その合計が約五万円だった。商品はお客様のご自宅に発送を希望されたようだ。

 だからお客様は手ぶらだったのだ。

 残り二万。自分もこの二人の先輩のように売上に貢献したい。時刻は七時過ぎとなり、閉店時間が近づいてくる。百貨店全体の客数も徐々に減ってきた。数人の客が入店したが、売上には繋がらず、店内を徘徊し、足早に店を出て行った。数分後、一人の客に店長がワンピースを勧め、購入をしていた。

 店長や吉野さんを見ていると、この店という試合場で売上という点数を、まるでスポーツ試合でゴールにいれるかのように、どんどんと得点をいれていく。私はベンチで何もできずただ見ているような気分だ。チームに貢献できるようになりたい。閉店時間まで十五分前となった。店長がさっき売ったワンピースが一万円だったので予算まで残り約一万円。

 もう少しなのに……。閉店時間まで残り五分となり、人は少なくなり、百貨店内全体が閑散としていた。セールは今日で終わりだ。


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