表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
されど服  作者: 高見香里奈
27/78

27

 持ってきた袋から商品を出し、店頭品を補充していると、北岡さんA番に行って、と店長が言った。A番とは休憩のことである。B番がトイレ、C番がストックにということである。

 A番行ってきます、と大きな声で言い、社員食堂に向かった。社員食堂はいつもより人が多い。セール初日はとくに店舗スタッフが全員参加プラス、ヘルプで他の店舗スタッフが本社から来たりで人数が多くなり、席が埋まっている。室内を見渡し、相席となっている席が空いていたので、席に荷物を置いた。

 休憩を終え、店に戻ると午前より人が増え、混雑していた。人の多さに圧倒される。まるで祭りのようだ。これがセールかと感じる。

 接客する暇もなく、人々は服を手にし、これくださいと言って、私はそれを持ってレジに行き、紙袋に商品を入れお渡しする。何度もこの繰り返しだ。少しでも早く多くのお客様に購入していただけるよう、動きも早くなる。それと同時に店頭の欠品商品を把握し、隙を見てストックから補充する。息を着く暇もないまま、私は何かの試合に参加している気分で初めてのセールというものを体感していた。夕方になり客足が少し減った時間に、店長が今日の店舗予算売上を達成していることを伝えた。スタッフ全員で喜びを分かち合う。

「お疲れさま。今日はもう上がっていいよ」

 店長は私に声をかけた。

 今日はいつもの倍以上に動いた気がするこんなに体力を消耗するとは思っていなかった。

 この仕事は体力勝負だなと実感した。

セール初日から五日が経ち、初日に比べて客足も少し落ち着いた。私は店頭分の欠品品を補充するべく、売れたものを確認し、店内の商品を見回っていた。ふと離れたラックの方を見ると五十代くらいの女性がラックにかかっている黒のチュニックを手にしていた。

 あのチュニックは年齢層が高い方にも人気だよなぁ、と思って見ていると、女性は持っていた鞄にそのチュニックをすばやくいれた。

 えっ? 今チュニックを鞄にいれたよね?

 心臓がばくばくしてきた。これは伝えなきゃ。周りを見渡すと店長達は他のお客様対応をしている。百貨店の社員さんに伝える?

 でも社員さんのところまで行っていたらあの女性を見失いそうだ。とにかく店長に伝えよう。店長の元に行こうとすると、鞄の中に服をいれた女性は店を出ていった。

 やばい、でて行った、私がそう思った瞬間、どこからともなく、男性が現れて、その女性に声をかけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ