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されど服  作者: 高見香里奈
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 開店五分前となり、周りの店が慌しくなる。

 ついに開店となりエスカレータの方から人の気配がする。いつも朝は比較的人は少ないが、今日はエスカレータの方向から人の声が多く聞こえてきた。普段であれば店の前で立って開店の挨拶をするが、今日はそんな暇はない。開店と同時に多くの客がそれぞれの目当ての店にはいっていく。

「本日三十パーセントから五十パーセントオフとなっておりまーす!」

 隣のショップ店員が声をだしている。

 私たちも負けじと声を出す。

「本日よりセールとなっております!」

 店に五人の客が同時に入店してきた。

そのうちの二人は店長と吉野さんの顧客様だった。

「これ着ていいですか」

 ショートカットの女性がデニムパンツを三本手に持ち、私に声をかけた。試着室に案内する。その間にまた客数が増えていた。数分後、試着室からでた女性はサイズもデザインも全く同じデニムパンツを三本持ち、私に購入の意思を伝えた。セール前から狙っていたそうだ。この客のように気に入った物は同じ物を何個か買うという客は結構多い。店長と吉野さんの顧客達は既に十枚くらいの服をキープしていた。前もって試着をしていたのでそのまま購入されるようだ。

 試着は一回に三枚までというルールがあり、何枚も試着したい人は何度も試着室に並ばなければならない。フィッテイングルームを見ると三人の客が並んでいた。入店はどんどん増え、店内は人でごった返していた。私は人の熱気と多さに圧倒され一瞬立ちすくむ。

「北岡さん、店頭商品売れたもののストック持ってきてくれる?」

 店長が声をかけた。

 私は店長の言葉ではっと我に返る。ざっと店頭商品を見回し、売れた商品を確認する。

 フリルワンピースのMサイズ、プリントTシャツ、デニム……。店頭ストック等を確認すると、かなり売れてしまっていて、店の商品がかなり少なくなっていることに気がついた。早く持って行かないと売れるタイミングを逃してしまう。ストックに向かう時、私はC番行ってきます、と店長達に伝える。C番とはストックルームのことだ。スタッフ同志の隠語のようなものである。急いでいても、走ってはいけないという百貨店のルールがあるので早歩きで向かう。セール期間は個人予算ではなく、店舗予算をスタッフ全員で達成させる。セールミーティングで私たちは目標達成しよう、と心を一つにしたのだ。今回私はストック整理が得意なこともあり、セール準備ではストック整理をたくさん任された。

「北岡さんのストック、きれいだし、見やすくてわかりやすい」

 そんな風に先輩達が言ってくれて嬉しかった。そんなこともあって、私が一番ストック分の、どの商品が、どこにどれくらいあるかというのを把握していたので、店頭で欠品がでたら補充する係という役割を今回担っていた。ストックルームにつき商品を手にしていく。手で持ちきれないので使い古したMarrisaの大きいショップ袋に詰め込んでいった。急いで袋を持ち、ドアに向かう。ドアを開けようとすると、ドアが開き、男性とぶつかりそうになり、目が合う。背が高くすらっとした美形の男性だった。

「す、すいません」

 男性が言った。私は軽く会釈して店に向かった。店に戻ると、先ほどより人が少なくなっており、。腕時計を見ると、十二時過ぎを示していた。ちょうどお昼時なので人が減ったのだな、と思う。


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