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「北岡さんは、初のセールだね。いい? セールはとにかく入店されるお客様がかなり多いから、一人の方をしつかり接客というよりかは、多くの方を速やかにご案内する、ってイメージなの」
店長が言った。
百貨店近くのカフェで私たちはセールに向けてのミーティングをしていた。
今日は店長、吉野さん、谷口さん、日高さんのフルメンバーが揃っている。
このミーティングではセール期間の予算、セール対象品とセール対象外の物、セール時のそれぞれのフォーメーションと動き等を話し合う。
まるでスポーツの試合のようだ。チームプレイで連携を図り、売上というゴールを決める作戦会議。
実はアパレル販売というものは、華やかに見えてかなり体育会系なのだ。ダンボールで大量の商品が届き、それを移動させる。このダンボールが、かなり重いうえに、何個も届くので大変だ。そしてダンボールを移動させると商品を取り出し、検品していく。ダンボールを開ける時、かわいいネイルにしていても、開ける時の衝撃ですっ飛ぶ時があるので注意が必要だ。
セール前はセール商品が大量に届く。商品と共に、同封されている納品書があるので、納品書に記載されている各商品番号、カラー、サイズ、数量を目視で確認していく。
それからストックに運び整理していく。セールは時間との勝負なので、すぐに在庫を取り出せるようにわかりやすくストック整理をする。
今は既にセールのタグがついているが、少し前まではセールのタグに付け替える作業もしていたようだ。大量に届いた商品にセールタグを付け替えるなんて、気が遠くなりそうだ。今回その作業は、今店頭に並んでいる商品のみなので少量で安心した。タグはその形から、えのきやもやしと呼ばれる、ループロックで、商品のタグの付け替えを行う。短い長さの物は、タグガンやピストルと呼ばれるピストルのような形の物でタグをつける。
「じゃあ、北岡さんの着用はこのデニムのスカートね」
店長にスカートの画像がプリントされた紙を渡された。
「吉野さんはこれで、谷口さんはパールTシャツにロングスカート、日高さんはデニムワンピ」
店長は順番に着用画像がプリントされた紙を渡していった。着用商品はそのスタッフの特性を活かし、それぞれ雰囲気や体型に似合う服が指定されている。
とくにハーフモデルのようなビジュアルの日高さんが着用をすると、かなりの確率でその商品が売れる。いつも私はそんな日高さんの、その影響力に感心していた。日高さんは体型維持にもすごく気を遣っている。最近夜にスイーツをついつい食べてしまう私は、日高さんのようにストイックな食生活を送らないといけないな、と思いつつ、日々を過ごしていた。
ミーテイングが終わり、明日からセールの準備となる。初めてのセールというイベントはどんな雰囲気なのだろうか。谷口さんが、セール期間は声が枯れるからのど飴が要るよって言っていた。声が枯れるくらい大きな声で叫ぶのだろうか、それとも接客し過ぎで声がかれるのだろうか。どっちにしても体力勝負なのだろう。とにかく店舗予算が達成できるように頑張ろう。




