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武田はお調子者のキャラクターだったが今もそうなのだろう。そんな雰囲気をまとっている。
「お前さ、裸に見えるぞ。その服。俺らでエロいよなって言ってたんだよ」
「えっ?」
恥ずかしさで顔がかぁっと熱くなった。
「いや、まじでさ、離れたとこから見ると裸に見えんだよ。だからさ、他の……」
「もう、やめなよ」
綾乃ちゃんが武田の言葉を遮った。
恥ずかしすぎる。私の服が透け感のあるベージュレースで裸に見えたから、あんな視線を感じたんだ。
「ほら、早く行こう」
綾乃ちゃんは私の荷物を持って手を引いてくれた。
お祝いの場に場違いな服を着てきてしまって、笑われて本当に恥ずかしい。
家に帰り私は泣いた。初めての結婚式に気合いをいれて着ていったワンピースがとんだ笑われ者の種となってしまった。
もう消えてしまいたいくらい思い返すと恥ずかしい。招待してくれた美和にも恥をかかせただろう。私は服の仕事をしているのに。アパレル店員失格もいいとこだ。
私は帰宅してすぐに着ていたワンピースを脱ぎほうり投げた。
このワンピースのせいで。この服のせいで!
たかが服で、なんでこんなに嫌な思いをしなきゃいけないのよ!
私はセットされた、アメピンがたくさんささった髪の毛のピンをバラバラと外しながら泣いた。
なんでこんな服のせいで……。
くやしさとあのワンピースを選んでしまった後悔が湧き上がる。
もう服なんて嫌。
もうワンピースも見たくも無い。
目を瞑ると私を見る人々のあの視線が蘇った。
ただの布一枚なのに……。
服の持つ大きな力に私は怯えた。




