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されど服  作者: 高見香里奈
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「さっきの人、カード使えなかった?」

 谷口さんが言った。

「はい」

「大丈夫かな? あの人。いつもカードの限度額超えてしまってるみたいで。買い物がやめられなくて、なんて前に来られた時に言ってられたような気がする」

「そうなんですね」

 確かに、気に入った物は買って衝動買いしてしまう、という感じだった。それならおすすめしない方が良かったのかな、なんて考える。

 お洋服を見た時のあのお姉さんの楽しそうな表情。難しい。

 購入はして欲しいけど、その人の人生が少しでも豊かになるような提案がしたい。

 そうだ。私は服を通じて、少しでも笑顔になってもらえる提案がしたいんだ。



 翌朝、私は小学校の同級生である美和に招待された結婚式に行く準備をしていた。結婚式に行くのは人生で初めてだ。

 私は気合いをいれて、セレクトショップで購入したベージュ色のレースワンピースを着ることにした。

 結婚式は老舗ホテル内のチャペルで行われるので、同級生の綾乃ちゃんとホテルのロビーで待ち合わせをしていた。

 ロビーに着くと、黒のシンプルなワンピースを着ている綾乃ちゃんの姿が見えた。

 小学校の時の面影を残したまま知的な雰囲気を漂わせている。

「綾乃ちゃん」

 声をかけた綾乃ちゃんが振り返った。

「有紗ちゃん。えっ?」

 一瞬綾乃ちゃんは驚いた顔で私の顔を見た。

 どうしたんだろう。

「おまたせ。行こうか」

 そう言って私は受付に向かおうとした。

「うん」

 そう言った綾乃ちゃんはなんだか気まずそうな顔をした。

 歩いているとなぜか他人の視線を感じた。

 何? 私、何か変?

 式が終わり、披露宴の会場に向かう。

 相変わらず行き交う人々の視線を感じる。

 それは好意的な視線では無く、一瞬驚き苦笑いをするといった雰囲気だ。

 私は途端に居心地の悪さを感じた。

 何? 私、何か変なの?

 披露宴会場で指定されたテーブルに着いても、私は落ち着いて過ごすことができなかった。

 なるべく目立たないように、新郎新婦のケーキカット等、式の大事な場面も同級生達がシャッターチャンスと前に行く中私は動かず、その様子を眺めていた。

 披露宴が終わり、ぞろぞろと他の参列者が帰る中、私と綾乃ちゃんも席を立とうとした。

「北岡久しぶり!」

 笑いながら同級生の武田がこっちにやってきた。小学校の時に比べて、ぐんと背が高くなっているが、顔は小学校の頃と変わっていない。


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