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百貨店の近くにある居酒屋のチェーン店で私は同期達を待っていた。
同じ百貨店で働いている同期は十人くらいいて、ブランドやフロアがばらばらなので、百貨店内でもあまり会わない。すでに到着して、私の前に座ってるのは同期の中でも、とくに仲が良いミナだ。
ミナはフォーマルなブランド『HEVEN』で働いている。Marrisaに比べると客の年齢層は高い。心無しか元々背が高くて大人っぽいミナが更に大人っぽく、落ち着いた雰囲気になっている気がする。
「なんか有紗メイク変えた? いい感じになってる」
ミナが私の顔を眺めながら言った。
「ありがと。今季のMarrisa提案のメイクがピンクっぽい感じでさ」
「いいなー、私のところ、フォーマル系だから地味なんだよね。髪の毛も暗くないとだめだし、メイクも薄く、ナチュラルメイク指定で」
ミナはそう言って口を尖らせた。ミナはそう言っているが、背が高くて美人で大人っぽいミナにはHEVENの服がよく似合う。ナチュラルメイクもミナの素材の良さを引き立てていて良い。
もし私が今ミナが着ているような、HEVENの白シャツに黒パンツを私が着ると就活生がジャケットを脱いだ姿のようになってしまうだろう。シンプルな装いをさらりと着こなすミナはやはりHEVENの店員にぴったりの人材だと感じる。
私はMarrisaの世界観をミナのように表現できているのだろうか、とふと思った。
「あー有紗ちゃん、ミナちゃん」
同期の梨香子と咲がはいってきた。 会うのは会社の研修以来だが、ぐんと垢抜けた気がする。
メイクか服とせいかな?
二人とも華やかなオーラが追加された。
素朴な雰囲気だった二人だが、見違えていた。
「なんか、雰囲気変わったね。いい感じになってる」
私は二人に向かって言った。
そういえば二人とも、研修の時は薄かった化粧が、今はアイライナーやシャドウがしっかり施されて濃くなっている。梨香子はコテで毛先を巻いていて、いい感じだ。
「わたしら、店長にヘアメイク指導を受けて、化粧とか変えたよね」
「うん。店長、超うるさいんだ」
四人共、生ビールを注文し、初出勤の話や、お互いの悩みを語り合う。




