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私が感心していると、ぞろぞろと数人の客が入店してきた。
「このコート、着てみていいですか」
親子連れの客が私に声をかけた。さっきまで谷口さんが着ていたトレンチコートだ。
是非、とフィッテイングルームに案内する。
私と同い年くらいの二十代の女の子。私はトレンチコートを手に持ち、女の子に袖を通してもらう。
女の子の母親はその様子を黙って後ろで見ていた。
「どう?」
女の子が母親の方に振り返って言った。白いトレンチはその女の子にとても似合っている。
サイズもSでちょうど良いだろう。
「いいんじゃない。シルエットもきれいで。
そう言って母親は女の子を眺めた。
「これにしようかな」
私はさっき谷口さんが着ていたピンクのツイードのワンピースをラックから取ってきて女の子に見せた。
「今のパンツのスタイルにも合いますが、こういうワンピースにも合わせていただけます」
あっ、かわいい、と女の子が呟いた。
「あら、かわいい。ちょっと着させてもらいなさいよ。最近パンツばかりだから、
こういうワンピースもたまには着てみなさい」
女の子の母親が嬉しそうな表情で言った。
「じゃあ、これも着てみていいですか?」
「もちろんです」




