表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
されど服  作者: 高見香里奈
12/78

12

 三十代くらいの女性が店にはいってきた。

 吉野さんはすぐに女性に声をかけずに、優しく見守るようにその女性を眺めている。

スカートを見ていた女性が手を止める。その数秒後、吉野さんが女性に声をかけた。

 女性は笑顔になる。

 吉野さんはすばやく、他のラックからそのスカートの色違いである、

ネイビーのスカートを持ってきて女性に見せた。

 服を畳んでいるふりをして吉野さんと女性客に近づき、聞き耳をたてる。

「そうなの。なかなかこの丈のネイビーのスカートがどの店にも無くて。サイズはMで」

「ちょうどこちらがMサイズなのでどうぞ。意外と無いですよね。ネイビーのスカート」

「そう。黒ばっかりなの」

 そんな会話をしながら、女性は試着室にスカートを持ちながらはいっていった。

 さっきの吉野さんと女性の会話からすると、

女性はネイビーの長めの丈のスカートを探していたってことになる。

吉野さん、それを瞬時に察知してネイビーのスカートを持ってきたんだ。

 瞬間に察知できるなんてすごい。

 どうしてあの女性がネイビーのスカートを探しているってわかったんだろう?

 最初、あの女性はスカートのラックを見ていて……。

初めは短めのネイビーのスカートを見ていて、その後、黒の丈が長いスカートを見ていて……。

 女性の行動を見て、その女性が何を必要としているかを予測したんだ。

 ただ声をかけるんじゃなくて、その人を見る、っていうことが大事なんだ

 私はその日から、ストーカーのように吉野さんの接客を観察し、メモを始めた。

 瞬間でその客が何を欲しているか、求めているかを吉野さんは瞬時に判断している。

 何度か吉野さんの接客を見ているうちに、なんとなく、

この客はこれを求めているということがほんの少しだけわかってきたような気がした。

 そんなことを思っていると、ちょうど二十代の女性が入店した。

 女性を見守る。

 なんとなく女性が探しているのはワンピースかな、と感じた。

 気がつくと考えずに自然と行動している自分がいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ