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されど服  作者: 高見香里奈
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 今日も朝から入店したお客さんに何度か声をかけようとしたが、うまくいかなかった。

 その度に店長に「顔が強張ってるから自然に笑顔で」や「落ち着いて」なんて言われるし。

優しい店長に申し訳なくも思う。

 どうしたらいいんだろう?


「ありがとうございました」

 休憩から店頭に戻ると、吉野さんがお辞儀し、Marrisaのショップ袋を渡していた。

 私も吉野さんみたいに接客できるようになりたい。お客さんはみんな満足そうな顔で帰っていく。

 接客を終えた吉野さんは休憩に行った。

「北岡さん、ちょっと来て」店長が私を呼んだ。

「難しい?」

 店長は私の心情を読み取ったかのように声をかけた。

「はい。うまくできません」

 自分の中に壁が構築されかけている。

 接客というより、まだ声かけの自点でこの状態。

 情けなさが心にインクをこぼしてしまったかのようにじわじわと染みていく。

「あのね、吉野さんも最初は全然声かけできなかったんだよ」

「えっ? あの吉野さんが?」

 てっきり吉野さんは、最初からあんな感じで接客が上手で、がんがん売っていたんだろうな、なんて思っていた。

「今、彼女はこの店でも売り上げナンバーワンで、全店舗内でも毎回三位以内にははいってる。

でも最初はこっちが頭をかかえるくらい、全然売れなかったの。

でも徐々に吉野さんはコツをつかんで、売上クイーンになったんだよ」

「コツ……」

「吉野さんが接客してる時、近くに行って、お客様に何て言っているか、

どんな行動をしているかを観察してそのまま真似るの。なりきって。女優になるの」

 店長は私の目をまっすぐに見て言った。

 吉野さんを観察。真似。女優になる。

 それから私は休憩から戻ってきた吉野さんの接客を観察することにした。


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