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されど服  作者: 高見香里奈
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 ようやくラックを整理できた。

 ちょうど吉野さんがストックルームにはいってきた。

「お疲れ様ー。どんな感じ? おっ、きれい! 北岡さんストック整理上手いね」

 棚とラックを眺めながら吉野さんは言った。

 よかった。嬉しい。昔から整理は得意な方だ。

「お店にだしてない服、結構たくさんあるんですね」

「そうなの。店頭に置けるのは数が限られるから、売れそうなものをチョイスして店頭に出してるの」

 私たちはストックルームをでた。

「実は店頭にも少しストックを置いてるんだ。どんな商品があるか見ておいて」

 店頭に戻り、棚の下の引き出しを開け、折り畳まれた在庫の商品を取り出した。

「こんなところにはいっていたんですね」

 店の引き出しを全部見終えたところで退勤時間となった。

「北岡さん、お疲れ様。疲れたでしょう。もうあがっていいよ」

 店長にそう言われて、パソコンの勤怠システムに表示されている退勤のボタンを押した。

「お疲れ様でした」店長にそう言って、吉野さんにも声をかけようと姿を探した。

 ちょうど吉野さんは五十代くらいの女性を試着室に案内しているところだった。

 軽く会釈をし、店を出た。


「はー」

 沈んだ気持ちに向き合えず、皿に載せたハンバーグを口に運ぶ。

 どうして、昨日に続き、今日もお客さんに声がかけられなかったんだろう。

 社会人になって早々、できないことに直面してしまった。買い物に行くと自然に店員さんが話しかけてくれる。

 それって、難しいことだったんだ。

 吉野さんの姿を思い出した。まるで魔法のように、お客さんを試着室に案内していた。

 向いてないのかな? そんな風に考えるのは早いのかな。

 最近よく買い物に行っている服屋さんを思い出す。いつも担当してくれてるお姉さん。

 来店すると、挨拶してくれて、おすすめのものを教えてくれたり、

一緒に悩んで的確なアドバイスをくれたりする。

 いつも無意識に、そんなお姉さんのふるまいを見ていたけど、

それってすごいことだったんだな。なんて、初めて自分が店員側になって実感する。

 販売は簡単そうに思えて、タイミングとか色々大事なんだなって思う。

 明日は声かけを成功させよう。


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