未来視
ふと頭によぎった思いつきを形にしました。
僕は昔から未来が見えた。その能力のおかげで勇者様達と魔王討伐の旅にも連れて行ってもらえた。
未来視があれば、死ぬ未来が見えてもその見えた未来と違う行動を取ったり、相手がしてくる行動を先に知っていたから、回避したり対策を立てたりすることできた。
だが、ようやく魔王城にたどり着いたときのこと。その日見えた未来視では四天王と戦っている勇者様達がいた。だが、そこに僕はいない。確かに僕は戦闘は得意ではない。だが、気配を消すことだけは得意だ。その御蔭でいままでも攻撃を受けたことは殆どない。そして助言をし続けてきた。そのことは認められていると思っていた。
だが、いないということは、このことを聞いた勇者様達が僕を置いていったということか。なら、僕が先に戦って勝てはしなくても弱体化くらいは出来るのでは無いか。
そして僕は夜のうちにその相手の行動などをまとめた紙だけ置いて四天王に戦いを挑んだ。
かつて無いほどいい動きで戦えた。これ以上の動きをしろと言われてももう無理だっただろう。
ただ、勝てなかった。これで少しは弱体化させられていたらいいが…
意識が途切れる前、一言。
「これまでで一番強かったぞ。勇者のときは本気を出すとしようか。」
この時、あの未来視は僕が先に戦っていたから僕がいなかったんだということにようやく気がついた。
そして、人類は敗北した。
良ければ僕の別作もお願いします。