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冒険者になろう

「ひとまず町を散策するところから始めようかな。歩き回ってればいい方法も見つかるかもしれないしな」


 手当たり次第に尋ねるのは一旦やめよう。

 焦る必要はないんだ。まだまだ時間は残されている。今すぐに金が必要な状況ではないし、情報収集する時間くらいはあるだろう。


 この世界の人間も別に俺の世界の人間と大きな違いはなさそうだな。髪の色なんかはカラフルで色々な人がいるが、それも海外に行けば同じようなもんだしな。

 モンスターが存在しているからもっと屈強な人が多いイメージだったが、そういうこともないな。


「いつもモンスターの脅威があるわけじゃないんだろうな。そりゃずっと戦争みたいな状況だったらこんな呑気に生活できてるわけないよな」


 モンスターが存在している以上、それに関係する仕事があるはずなんだよな。危険なモンスターを倒す職業は絶対にあるはずだ。その仕事なんて俺にピッタリだと思う。この町ではそういった職業はないのか調べないといけないよな。あまり常識的なことを聞くわけにもいかないし、その辺が難しいんだよなぁ。


「よっしゃぁ!! 今日も大量だったな。やっぱり俺たちは最強だぜ」


「素材も特にいいものが取れたし、換金が楽しみだね」


「そろそろ僕たちも中堅冒険者の仲間入りです。この調子だったら、昇格も近いはずですよ」


 俺の耳にも届く程の声で会話している三人組を発見した。


 会話の内容を聞いても何を話しているかわからないが、あの三人組にとっていいことが起きていることだけは間違いないな。ついやっちゃうんだよな、俺も経験があるが意味もなくでかい声で会話して周囲にも自分たちの話を聞こえるようにしたくなるんだよ。それだけ凄いことがあったのかもしれないな。


「っにしても、俺たちの連携神ってなかったか? 並みの冒険者にできるレベルじゃなかっただろ。ぶっちゃけ楽勝だったしな。確かにいつもよりも多いモンスターどもに最初は怯みもしたが、どうってことなかったぜ」


「あんまり調子に乗るのはよくないよ。今日はうまくいったけど次もうまくいく保証なんてないんだから」


「まあ、いいじゃないですか。僕も今日の戦闘は格段によかったと思います。僕たちも確実にレベルアップして行っている証拠ですよ」


 お? モンスターについて話してるぞ。それに、今更だがこいつら武器や防具を身に着けているじゃないか。

 話の内容からして、モンスターを狩ってきたことは間違いないし、俺の想像していた仕事をしている連中に違いない。今から換金しに行くって言ってたしこっそり後をついて行けば大丈夫だな。


「こんな運のいいことがあるなんてな。聞き込みなんてする必要なかったな」


 騒ぎながら歩いている三人組を追いかけるのは容易だな。あいつらから目立ってくれるおかげで見失う心配もない。俺から見てもちょっと調子に乗りすぎているように見えてしまうな。


 そのままついて歩いていると、三人組は大きな建物に入って行った。


「あそこか。うん? でっかい看板が出てるな……冒険者ギルド? そういえば会話の中に冒険者って言葉が出てたな。それじゃあ、職業名は冒険者ってことかな。ってかこの世界の文字も普通に読めるんだな」


 じいさんが細かいところは心配ない的なことを言っていたのはこういうことだったのか。言葉も理解できたしそのあたりは配慮してくれてるんだろう。異世界に放り出されて言葉が通じないとか笑えないもんな。


「俺も入ってみるか。求人が出てるといいんだけどなぁ」


 解放されたままになっている入口から中へ入る。


 まず目に入ったのは大勢の冒険者たちだった。皆、武器と防具を身に着け今からでも戦闘できるような恰好をしている。

 町を歩いているときに屈強な人間が全然いないと思っていたらここに集まってたんだな。


「ここにいるのが全員冒険者なのか。この町一つだけでもこれだけの人数が居るってことは、モンスターも相当な数が居るってことだよな。だったら俺も冒険者になれそうだ」


 ギルドの中には列ができているカウンターや、冒険者が集まっている掲示板などがあった。酒場のようなスペースもある。外観からわかっていたが、相当広いな。

 ここでモンスターの素材なんかを換金して、その金で飲み食いができるって寸法か。商売上手だな。


「俺はどこに行けばいいんだ? まず雇ってもらわないと話が進まないんだよな」


 誰かに聞いてみるのが一番早いんだろうけどなんか怖そうなんだよなぁ。

 適当に列に並んでみるのもありか? でも違ってたら面倒だし、目立つよな。


 とりあえず中へ入ってきたまではよかったんだけどなぁ。その先を考えてなかった。


「あのぉ、何かお困りですか?」


「え?」


 急に後ろから声をかけられた。

 ビックリして振り返ると、茶色い髪が特徴的な美少女が立っていた。パッと見ただけでも顔立ちが整っているのがわかる。俺の異世界初の会話がこんな美少女になるとは……え? でもなんで俺に話しかけてきたんだ? 俺何かやらかしたのか? 冒険者ギルドって関係者以外立ち入り禁止だったのか?

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