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能ある鷹は・・・大丈夫?

こうして、侯爵様のお屋敷で夕食を頂いて、和やかにお話をして

そして広すぎる心地良いベッドで眠る事になりました。

しかし、夕食が豪華すぎて・・・お腹を壊してしまいました。


こんなお食事食べた事無いって位に美味しかったのに

この1年で私はすっかり、粗食に慣れてしまっていました。

でも接待の時なんて、つまみとウーロン茶とか

思い返すと、碌なもの食べて来なかったなぁ、なんてお腹を壊してお手洗いでそんな事を思うわけでした。


さっきは、怒りましたけれど、公爵邸のトイレが水洗になっていて本当に良かったと思います。

早くおしりも洗えるようにしなくては・・・


思えば、美容院で染めてもらった髪は明るめの茶色だったけど

この一年ですっかり根元から肩くらいまで黒髪になってしまった。

本当に色々変わっちゃったなぁ、なんてことを鏡を見ながらしみじみと思う。


翌朝、朝食を食べ終わると同時にアルと呼ばれる男がやってきました。

「今回、皆様を弁護させていただくことになりました、アルベルト・モーガンという者です宜しくお願いします」

男はそう言うと、軽く礼をした

「時間が無いので、直に始めさせていただきます」

アルは直に鞄から書類を出し始めた。

話を聞くと、私達が、彼らの持つ電球の特許を使って勝手に商売を始めたので、

訴えられているという事

彼らの研究は3年前から始まっているそうだ、私達が彼らの研究を盗んだのは確実だと思われている事

そして、こちらは侯爵様が私たちをサポートしてくれているという事で


私達平民 対 相手研究者は伯爵で、相手の方が格上

サポートしてくれている侯爵様 対 相手のサポートは公爵様で、相手の方が格上


という事で、相手が特許を取っているという事実だけでも こちらの立場が悪い上に

身分でも相手の方が上だという事で、なんとか良い材料が無いだろうかと今は、

必死に探している所だという事でした。

アルによると、貴族の力関係は裁判の結果に大きく影響するらしい

かなり分の悪い裁判になりそうなことだけは分かった。


という事は、私達の電池・電球製造は葬られてしまうの?

不安がますます大きくなってきましたが、アルさんが頑張ってくれているんだもの

きっとなんかいい方法が見つかるよって考える事にしました。


日本で暮らしていた10年間、沢山支えてもらっていたのに、いつもふられる未来しか考えていなかったアンポンタンだからこそ、前向きに考えようって思ったし

お腹の子供に「お母さん頑張ったんだよって」胸を張って言いたいもの


とにかく思いつく事、できるだけの事はやりましょう

という事で、先ずは研究開発のレポートなどの資料を取りに、ウィリアムと、レオナルド先生はアルさんと一緒に馬で資料一式を取りに戻った。


私は、お腹が大きいので、こちらで休ませてもらう事になった。

と、言っても私も、全く何もしないで、のんびりしている気分にもならないので、

私のカバンに入っていた銀行との契約書を読み返したりして、なにか打開策になる物は無いか探してみた。

けれど、何度読み返しても、良いアイディアは一つも出て来なかった。


メイドさんに読める本はあるのかと聞いてみたら、侯爵様の蔵書を拝読させて頂けることになりました。


個人のお宅なのに、本当に凄い蔵書です。文字が読めるように勉強していて良かったです。

この世界、平民だと特に文字は読めない人の方が圧倒的に多いので、ナタリー先生に感謝してもしきれません。


たまたま最初に手に取った本は、おとぎ話とか神話のお話でした。

その本によれば、この世界にも”聖女”がいるっぽい

ただ、海を越えた東の果ての国に行かないと、聖女様はいないんだとか

なぜか海を渡ると”魔法”が使えないらしい。


なんとなくだけど、やっぱりおとぎ話のようなので、裁判には使えそうにない


メイドさんが、お風呂の用意をしてくれたので甘える事にしたのですが、

服を洗ってもらったら、乾かないし、替えの服は持って来て無いしという事で、

折角なのでメイドさんの格好をさせてもらいました。


侯爵様が服を買ってくださると言われたのですが、服屋さんに出掛けるのも体力的にキツイかなって思っていたら、なんと服屋さんが来てくださりました。

これで、裁判まで服の問題はなさそうです。


翌日夕方前に、ウィリアムとレオナルドはアルさんと共に戻って来た。

3人とも物凄く疲れた様子で、ぐったりとしていた。

アルさんは、「仲間たちと相談したい事があるから、急ぎます時間が無いので」と到着したばかりなのに、直ぐに後ろに向き直って

レオナルド先生に「よろしくお願いしますね」と言うと、出て行ってしまった。



ウィリアムは残された工員や集落の人達に指示を出して来たりしてくれたようで、かなり疲れていた。

自分の着替えは持って来たのに、私の着替えを見てみたら、寝間着しか持って来ていなかったんです、ウィリアム様も相当お疲れですね。


でも、新しい洋服を買ってもらったことを言ったら、驚いた顔で喜んでくださいました。


眼のうつろなウィリアムに少し寝るように言って、眠ってもらった。

少しすると、どこから持って来たのか、レオナルド先生はイーゼルに板を載せて

水で板を濡らしてから、紙をぱんと貼り付けました。


そのまま、レオナルド先生は、お仕着せを着て座っている私に、「良いですね、とても素晴らしい」

などと言いながら、「カオリさん動かないでください」と言いながら

目を輝かせながら絵を描き始めました。


流石お医者様、普段から色々な物をスケッチする事に慣れているのだ思って見ていますが

「素敵です」「素晴らしい」「美しい」などと言いながら、鉛筆っぽい何かを動かしています

さらさらと描いているその様子は、まるで絵描きさんのようです。


1時間ほどたったでしょうか、同じ姿勢を続けるのって、結構疲れるんだなぁと

あらためて思っていた頃に

「出来ましたよ、マダム」 レオナルド先生はこれ以上ないというような笑顔で私の方へ

下書きを持って来てくださいました。 見せてもらって、思わず絶句した。

なぜ、顔だけ完成と言えるほどに細かく描かれているのですか…

という疑問もですが、


なぜか、超有名なモナ・リザに酷似してたから・・・

どこをどう見間違えたら、世界一有名な絵画になるんだろう、本当にこの数日旦那様とレオナルド先生は頭がおかしい。


鏡を見てみると・・・

うーん、この一年すっぴんだったから、眉も無いし。

いつもは後ろで結んでいた髪を、メイドさんが着替えさえせてくれたので、両分けにしているし

、似ていると言えば、確かに似ているなって思ったけど、今まで似ているなんて思った事無かったからとても変な気分です。


私はどうしたら良いのかしら、というかもう何も言いたくないわ。

明日から法廷なのに、何やってるんでしょう…

と、一人トオイメになっていました。


レオナルド先生は、アルにその下絵を見せるんだと言って部屋を出て行ってしまいました。

「ちょっと・・・」

呼び止める間もなく、出て行かれてしまった私は、一人裁判について悶々とするのでした。


ウィリアムも寝ているし、私もソファに深く腰掛けていると

お腹の中から散々蹴られて、疲れてしまったようで

いつの間にか眠っていました。


気が付くと、ウィリアムとレオナルド先生が、テーブルをはさんで打ち合わせをしていて

目が覚めた私に気が付くと、笑顔で「できるだけの準備はしたんだ、後は、アルに任せて上手く行く事を祈ろう。」


と言ってくれました。


メイドさんに食堂へと案内されて、夕食になりました。

今日はヨッシーさんにもお会い出来なくて、3人だけで食事でした。

昨夜私がお腹を壊したことを考慮してくれて、今日は大人しめの料理でした。


本当に至れり尽くせりで、ありがたい事です。

なんとしても、この裁判に勝って、領地の皆さんにいえいえ、この国の皆さんに安全な灯りを

便利な生活を提供しなくては、なんて思ったのです。

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この小説に登場する侍女アイシャの物語を掲載しています。 バールトン侯爵家は今日も楽しく暮らしています。
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