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5  会社から皆がお見舞いに。

家族への連絡が終わり、メッセージを開いてレインドロップ先生にメッセージを送る事にした。


「夫が寂しい病になっているようです。私は○○県××市△△町に住んでいます、良ければ直接お話をしたいのですが、お会いできる環境でなければ音声チャットか何かを使ってお話をしたいのですが、お願いできませんでしょうか」

そんなメッセージを送ったのだけれどもなかなか返事は返ってこなかった。


午後になって部屋のチャイムが鳴った。インターホンの画面を見ると同じ会社の総務課のメンバー3人が写っていた。

玄関を開けると3人は物凄く驚いた顔をしていた。

「えっ、病気だって聞いたけれど」「あなた、普段と全然違うじゃない」「まるで別人じゃない全く違いすぎるわよ」

鏡を見ても普段の自分なんだけどなぁ・・・と思ったけれど、5年前ここ日本では3日前まで、ショートボブで茶色に染めていた髪は今では腰まである黒髪ロングだし、寝不足続きで肌がかさついて眼もクマが酷かったのに、健康な食生活と毎日王宮のメイドさん達に磨き上がられてた肌はすっぴんでも綺麗だった。


「あなたそんなモデルみたいな体型だったっけ?」「美人過ぎるわ、そりゃ毎晩接待に呼び出される訳ね。」「っていうかその髪はウィッグなの?凄い綺麗なんだけど」


お見舞いの品っぽい物を持った3人は玄関先で口々に色々言って来た。

まぁここでしゃべっていても、周りにも迷惑なので、一旦上がってもらう事にする。


3人とも急に畏まってしまった感じで、椅子に座ってもらったけれど、とっても緊張している感じ。

結婚式の引き出物で戴いた高級ティーセットで紅茶を入れて、お持たせのお菓子を出してから自分も椅子に座った。

「連日仕事を休んでしまってすみませんでした」と私が言うと


一番先輩の高木さんが「休んだことのないあなたが急に休んだから心配していたのよ」と言った。


私は「急に休んでしまって済みませんでした、でも連日接待に呼び出されて、自分の時間も取れませんでしたし、今では吹っ切れましたが、あまりに会う時間が無い物ですから、中学生の時から付き合っていた恋人からも別れられてしまいました。

そんな事から自分の時間を作れるようになりたいと切に願う自分に気が付いてしまいました。」

そう答えました。


今まで会社内では、殆ど自分の意見を言わなかった私が、はきはきと話したことを相当驚いたようで3人は顔を見合わせて何か頷いていました。

同期の中山さんが

「山田さんの言いたい事すごく分かるわ、連日接待に駆り出されていてほとんど寝てないのは、私達も知ってたし、それでも文句も言わずにちゃんと仕事をしていたのは分かってるし、営業の人達に何も言わなかったのは私達も悪かったと思ってるわ。昨日も今日も営業が総務にやって来て文句を言っていたけれど、私達で追い返したのよ」と言いました。

そう聞くと、なんだか申し訳ない気持になりました。


「色々とありがとうございました、今はもう少しお休みを頂ければと思っている所です」と答えた。


「心が疲れてしまったのね、部長が休ませてあげろと言っていたからね、あなた一度も休んでいないんだし有給休暇もあるはずだから、しっかりと休んで考えると良いわ」高木さんが言いました。


「これ、お見舞い」同期の茂木さんが可愛いポーチをくれました。

「みなさんありがとうございます」私は、日本にもちゃんと私の事を考えてくれている人が居た事に、今更気が付いて涙が出てきました。


「長居しちゃってごめんね、ところで、この紅茶どこの奴?」茂木さんが聞いてきました。

「どこのって、そこのスーパーでも売っている普通の紅茶ですよ」と私が答えると

「そうなの?なんか凄く香りも味も良く出ていて、高級な紅茶を出してくれたんだと思ったわ」茂木さんが答えると、あとの二人も「うん、普通の紅茶じゃないと思ったわ、本当に美味しいわよ」と言いました。


まさかこんな所で貴族教育の成果が出ていたとは思いませんでした。

「それに、あなたの所作って凄く美しいわ、まるで社長令嬢みたい」中山さんが言うと

「あら、うちの会社の社長令嬢よりもずっとお嬢様のようよ」と高木さんが言います

「うん、姿勢も綺麗だし、なんだか女優さんみたい、会社ではわざと変な姿勢してたの?」茂木さんは口をとがらせて聞いてきました。


どうやら3年間の特訓は私を別人にしてくれていたようです。

3人は仕事を午後から休みにしてお見舞いに来てくれた事、私に会った途端になぜか体の不調が治った事等を含めて話し始めて、なんだかんだと、3人の雑談が続いてしまって、日もすっかり暮れた頃、スマホのメッセンジャーに電話が掛かって来ました。 出てみるとレインドロップ先生でした。


「初めましてレインドロップです。今、出版社の打ち合わせがあって、近くの夢が丘公園駅に来ているのよ、この後1時間位後に会えるかしら?」

レインドロップ先生の声が、大きかったので、静かな部屋にいる3人にもしっかりと聞こえてしまいました。

「あ、すみません今は来客が」と答えかけると

3人が「あっ、もう帰るよ、用事があるんだったら、行ってきて、会社にはちゃんと連絡してね。ばいばい」と急いで帰ってしまいました。

私はレインドロップ先生に、「それでは1時間後に夢が丘公園駅前のファミレスにパソコンを持って伺います」と答えて電話を切った。


3人には綺麗と言われたけれど、久しぶりに人に会うために自分で化粧をしよう。。。

と思ったけれど、ファンデーションもなんか違うなぁと感じてしまう。

3年間魔術級の腕前で完璧な化粧を施してもらっていたので、自分でやる化粧が酷すぎると感じてしまう。

結局、顔は作らないで洗い流して化粧水に口紅だけにする事にした。

向こうに行くまで化粧品も揃え直さないといけないかなぁ

レインドロップ先生には、本当に向こうの世界から来たことが分かるように

向こうの世界で着ていた服を着て、髪留めやネックレスもあちらの世界からつけていた物をつけてみた。

聖女用のシンプルなドレスと言っても、貴族の服は宝石が縫い付けてあるし、一人で脱ぎ着するように出来ていないので、一人で着るのはなかなか大変でした。

靴は部屋の中で靴を脱ぐ習慣を取り入れていたせいで、スリッパに裸足のまま日本に来てしまったので・・・やはり感じが違うけど色目が似た感じの物にして、

このヒールは頭が痛くなるんだよねぇって思いながら、車に乗り待ち合わせのファミレスに向かいました。

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