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幼稚園からやり直し

数日間、ご飯を食べてマチルダさんとお話をする生活をしていたら、

集会所のようなところへ連れていかれた。

そこには幼稚園くらいの3人の子供たちがいた。


女の子2人と男の子1人で、それぞれジョアンナちゃん6歳、クリスちゃん5歳、そしてトーマス君5歳、元気いっぱいのジョアンナは面長でちょっと吊り目、鼻筋が通っていて色白で、明るい茶色の髪が背中位まで伸ばされた印象的な美人さん


クリスは明るいブロンドに真っ白い肌綺麗なブルーの瞳で大きな目がくりくりと輝いている

背はまだ小さいけれど、本当に可愛くって、飾っておきたくなっちゃうお嬢さん


この二人が、施設の事とか色んなことを思いつくままに教えてくれる、

特に二人で同時に話されると、

私の脳みそでは理解できなくて、チンプンカンプンになってしまいます。


でも優しい女の子たちだから、一所懸命に話しかけてくれて、それが本当に可愛いです。


そして腕白なトーマスは子供の中に大人が混じって勉強している事が嫌なのか隙を見てぶってくるのです。

まだ5歳で、背も一番小さいんだけど、男の子だから力は強い

髪は黒に近い茶色で、かなり短く揃えていて、でも服は洗ってあるんだろうけど、なんかよれよれしている感じで、放置子なのかな・・・って言う印象


この子は早いうちにぶつ事を止めさせないとよろしくない。

どうやらここで3人と一緒に勉強するようにって事らしい。


ナタリー先生と言う綺麗なブロンドを肩まで伸ばしてちょこっと結んである、ちょっと年配の凄く真面目そうな女性が先生をしてくれています。


幼稚園から小学校低学年くらいの授業を一から続けたおかげで、普通に集落のみんなと会話が出来るようになった。


こうして大分上達したはずの私の言葉ですが、今一つ発音がおかしいらしくて、時々会話している相手が真っ赤になったり、大笑いされたりする事があった。


ナタリー先生やマチルダさんに正しい発音をして貰うんだけど、自分の間違ってるヵ所が、良く分からない事も多かった。


一緒に居る子供たちは、正しく発音をして「いい子ね」って褒められてるのになぁ

子供たちの耳と私の耳はちょっと違うんだなぁって、悔しかった。


トーマス君は、からかう材料が出来たので、思いっきり馬鹿にした態度で、私の間違いを真似し続けてくれた。

でもそんな彼のおかげで、大分正しい発音を覚える事が出来たよありがとう。


そんなある時、手をグーに握ったトーマスが私に向かって飛び込んで来た。

ぶたれない様に手を掴んでトーマスの身体を思いきり抱き締めた。


ヤダヤダヤダって喚いていたけれど、それでも抱きしめたまま背中をトントンと叩いていたら

そのうち泣き始めてしまった。


10分位ずっと泣いていたので、私の服は彼の涙と鼻水でぐちゃぐちゃになってしまった。

やがて、ぽつりぽつりとお母さんの具合が悪くてずっと寝込んでいる事


お父さんは仕事の為に集落から出ていってしまってるから

いつも一人で、ご近所さんの差し入れてくれたご飯を食べて、洗濯や掃除とか家の事をやってるんだって事を知った。


ナタリー先生に許可を貰って、トーマスの家で食事を作るようにした。

スーパーが無いから、献立は畑に行って野菜を見て考える。

知らない素材も多いしトーマス君のご近所さんに料理を習った。

時々ジョアンナちゃんやクリスちゃんも一緒に来て、夕食を作るのを手伝ってくれた。

トーマスは、ぶって来なくなって、大人っぽい顔つきをするようになった。


ある日「お母さんとお前を守ってやる」なんて言って、白い小さな花の花束を渡してくれた。

あの乱暴だったトーマスが、かっこつけちゃって、嬉しくって涙が出てきちゃって

「ありがとう」って言ったら、恥ずかしかったみたいで顔を横に向けてました。



毎朝少しだけ早起きして、自分の家の周りと、数軒先のご近所さんの所まで大まかに掃き掃除をして

自分の家の傍まで回収してきてゴミを燃やした。

かまどに出来たらこの熱を有効利用できるんだけどなぁなんて思った。

行った事は無いけど、日本の清掃工場には温水プールとかあったなぁなんて思い浮かべていました。

もちろん、いつでも消火できるように水の入った樽は傍に置いてましたよ。


そのうち、家の周りが綺麗になったからって、差し入れを貰ったり、朝の掃き掃除を一緒にしてくれる人が出てきてくれた。

一緒にやってくれる人が出てきたので、毎朝少しずつ場所を変えながら、掃除する範囲が広がって来ると一緒にやってくれる人も少しずつ増えて行った。

おしゃべりをしてくれる相手が増えたので、言葉の練習にもなって、大分言葉が上達した気がする。


文字の読み書きも大分出来るようになった。

もっとも、集落は貧乏だし筆記具なんてなくて、土の床に木の棒で字を書いてたし


本も新聞どころか回覧もない、集落の入口になにか書いてあったけど、殆どかすれていて読めない。

「誰も来ないから良いんだよ」って誰かが言ってた。


だから文字の方は使う機会が少なくて苦戦してる。

紙とペンがあればせめて、日記をつけようかと思ってたんだけどね。


ナタリー先生に、そんな事を言ったら、寂しそうな顔をされた。

王都に行けば筆記具もあるけれど、とても高価でこの集落の人には手が届かない代物なのだそう。


子供たちと勉強する時間は楽しくてあっという間に毎日が過ぎて行きました。


そう言えば、朝の掃除のメンバーがどんどん増えて行って、集落の端っこの方まで掃除をするようになったある日、トーマスが掃除をしているのを見つけて、思わず朝からみんなの前で彼を抱きしめたら、恥ずかしかったみたいで、赤くなって嫌がっていました、可愛い




算数はナタリー先生はそんなに得意ではないっていう事で、マチルダが教えてくれた。

最初は数え方を覚えるだけなので良かったのだけど、この世界は12進数だった。


1ダースと同じ12個でひとくくりっていう考え方だって事はすぐにわかったけど、

12まで数えたら桁上がりなので数え方がややこしくて”13”だったら「1つの12と1つ」って数えていって、47までは「3つの12といくつ」って数えるのに、48からは「12が4つといくつ」といくつって12に掛かる数字の順番が前後入れ替わるのでややこしかった。


だから100個だと「12が8と4個」って言う

これに慣れるのは時間掛かりそう。


日本式の10進数で考えていると、口で言う前に割り算しないといけないから、桁の上がり下がりをしょっちゅう間違えた。


その度にマチルダが大笑いしながら訂正してくれてた。私もつられて大笑いしてた。

腹筋が大分強くなった気がする。

算数の授業にはクリスは最後まで1回も出て来なかった。

ジョアンナは半分位出て来て、

トーマスは頑張ったね。算数の授業全部出た

その上、私のやっていた10進数の計算もマスターした


マチルダも、つっかえつっかえの掛け算割り算も10進数で計算してから12進数へ変換する事もあっさりとやって見せた。

あまりに凄いから、因数分解とかπとか覚えていた事はじゃんじゃん教えてあげた

数列なんて私もうろ覚えだったけれど、忘れかけの知恵を何とか思い出しながら教えてあげました

難しい話になればなるほど、トーマスは目を輝かせてドンドン覚えてしまった。


この子天才かもしれない。って思ったから街に出て仕事を探した方が良いかなって思った。

けど、お母さんが心配で街に出て仕事なんてできないかなとも思った。


ある時、また位上がりをミスった私にマチルダが驚愕の事を言った

「12以上は沢山(たくさん)で大体済んじゃうんだよ」


「おーいそんなので良いのか?」って心の中で突っ込んだ。

「良かった、大分助かるかも」って一瞬喜んだけど、それじゃ勉強にならないわね。


ここの集落は殆ど外部との行き来が無いし、お金のやり取りも無いから、計算が必要無かったのですね

大工さんは計算が必要だから、多少は日常的に数字が必要な人はいたけれど、

数字を全く理解していなくても生きて行けちゃう世界だったんです。


計算する時には、二度手間になるけれど、10進数に直して、計算後に12進数に直せば間違えないので、時間掛かってもそうすることにした。

そんなに沢山数える事もないだろうけどね。


横でトーマスが、「僕が計算してあげるからカオリは、計算しなくて良いよ」なんて言ってくれるんだけど、「いやいや私が計算を忘れちゃったら困るからそれはやめとくれ」って、思ったよ


更に日が進んで暑い季節の夕方、学校が終わって、今日はみんなで集まる日だからって、

マチルダが、ちょっと綺麗な服を着せてくれた。

マチルダも、同じような綺麗な服を着て、頭に花で作った冠を乗せてた。

マチルダが私に向かって、同じ花の冠を手渡して

「あなたも被る? きっと良い事あるよ」って言うから、喜んで花の冠を被った。


トーマスのお母さんは家で寝ているので、トーマスは参加しないで家に帰ろうとしていた

なんかかなり寂しそうな姿だったので、声を掛けたら嬉しそうにやって来て、

家の事済ませたら、後で行くからねと言って帰って行った。

ジョアンナとジョアンナのお母さん、マチルダとみんなで手を繋いで、初めて集落に連れて来られた時の広場に向かって歩いて行くと、ドンドン人数が増えて行った。



みんなでかがり火を囲んで、輪になった

マチルダが「今日であなたとお別れなの」と言った。


「マチルダ、それどういう事なの?」

「結婚するの、この集落の中だけど、今までみたいに毎日は会えないわ」

「今日は楽しくお祝いしましょう」


マチルダ結婚するんだって、お別れって言われてるのに、明日からはどうなるのかなぁって、この時はあんまり考えてなかった。

自分の事なのにね。


総勢12が11と3人つまり135人、ここの言い方じゃなくても沢山の人が集まった

この集落に初めて連れて来られた広場を久しぶりに来たなぁって思って周りを見渡した。

135人集まると、凄く賑やかだった。


この4か月近くで、かなりの人達と顔を合わせた気がする。

私があっちもこっちもゴミをかき集めて燃やしたからだけど、


みんな綺麗になった事を喜んでくれて、仲間に認定してくれたみたい

ここの集落の人達は、みんな明るくて、人を大事にしてくれる。


赤ん坊から老人まで含めてみんなとっても陽気な人たちが集まった。

賑やかにフォークダンス風のダンスをみんな一緒に踊った。

とっても沢山笑ってばかりの毎日


マチルダが背の高いがっしりした男性と仲良く手を繋いで、みんなから祝福されている。

私も「おめでとう」って大きな声で呼びかけたら、マチルダが笑顔を向けてくれて、大きく手を振ってくれた。


そして、そのまま、その男性と一緒に行ってしまった。

初めて見た男性だった、あんな人いたんだなぁ って思った。



でも結婚式って言う割に、厳かじゃないので、ちょっぴり寂しいなって思った。

誓いとか、儀式っぽい物とかも無かったし、みんなへお披露目っていう感じもあんまりしなかった

ウェディングドレスも無かったなぁ・・・

って あの新しい服が、ウェディングドレスって事だったんだ。って気が付いた。

割と鈍いですね私・・・


そりゃ総勢百数十人しかいない集落だから、みんな知り合いだし、大々的に紹介しなくても大丈夫なのかな?

そんな事を思っていたら、同じような感じで、2組の新婚さんが手を取り合って、みんなからおめでとうって言われて、会場から出て行った。


すっかり星空が綺麗に見える時間になって、空を見上げながらぼーっとしてた。

今日は新月なのかな? そう言えばここに来てから月を見た事無いな、もしかして地球じゃないのかな? なんてことを思って割とぼーっとしていました。


考えてみたら夜に空を見た事が無かった気がする、日本に居た頃も空なんて見ないで、夜は営業さんと一緒に接待で飲み屋街に連れていかれてたっけ。


横から突っつかれて前を見たら、笑顔の30歳くらいの男性が前に居て私の手を取ろうと手を伸ばしている。

何だか分からないけど、手を繋げって事なのかな?


私が彼の手を取ると

わーという歓声と「おめでとう」って言う声が周りから上がった。

遠くでトーマスがギャーッと泣き叫んで周りの人たちから慰められていたらしいけど


何が何だか良く分からないまま私は、その男性の手を握って広場から出て行きました。


そのまま、その男性の家に連れていかれたんだけど、そこで驚愕の事実を知ったのです。

なんと、私あの場で手を取った事で、私は結婚してしまったんだって。


そう言えば、頭に花の冠被ってるし、服も綺麗な新しい服を着ていた。


政略結婚でなければ、どこでもそうなんじゃないかとは思うんだけどさ


この集落の結婚は、”お互いを尊重して愛する事が大前提”なので、

一緒に暮らしていても()()()()()()()()()()()()()()()()ら、

さっさと分かれてしまうらしい。


だから、何回も結婚して理想の相手を追い求める人もいるという事で、そこまで大々的に結婚式をしていないみたい。


もちろんおじいちゃんおばあちゃんになってもラブラブの夫婦もいるので、本当に人それぞれって事みたいだけど。


かなり言葉が自由に使えるようになった事もあって、私の旦那様ウィリアムからは毎晩のように結婚の仕組みとかを教えてもらった。


そして、みんなが親切で笑顔な理由にも納得いった。

目の前の相手を大事にするのがここのルールなんだって。

そりゃ、みんな相手を思いやってるんだもん親切で笑顔になるよね。


マチルダの旦那さんアーティは、隣国で兵士をしてた人だったらしい、紛争とかの解決で領主様だけでなくて王様からも覚えられているほど活躍していたので、誰でも名前くらい聞いた事のある人だったんだって。この集落はあんまり外との交流が無いから、みんなも知らなかっただけみたい。


だけどある時、人に武器を向ける事を生業としている事に耐えられなくなって、昇格のパーティーの直前に、除隊してしまって、多くの人達から惜しまれ、隊に戻るように言われるのが嫌で放浪していて、この集落にたどり着いたんだって。


結構驚きだけど、ここの集落は本当に温かい人ばかりだから、話した事も無いけれどアーティーさんがどこにも行きたくなくなったのも分かる気がする。


放浪者って言うけれど、本当は逃亡者でアーティって言う名前も偽名だったり犯罪者の可能性もあるっていう事で、最初は警戒されていた人だったんだって。


マチルダは優しくて美人だから余計にどこにも行きたくなくなっちゃうし、アーティが犯罪者じゃなくて良かったよ。

狭い集落だから噂は一瞬で広まるんだよって事を、何度も聞かされた。


そんな話の流れで旦那様に、自分は「中学生から10年付き合ったのに、忽然といなくなった彼氏の話」をしたら、「元彼は皇帝か何かなのか?恐ろしいほどの忍耐力だ、10年も好きだという反応をしてあげなかったのに一緒に居てくれたのは凄い人だ」と呆れたように言われた。


「罰ゲームで付き合ってくれていると思ってたんだもん。」って言ったらそんな思い込みするなんてありえないとかなり冷たく言われてしまった。


ウィリアムは毎日とっても優しくしてくれた。


私は狩猟の一つも出来ないし、もしもウィリアムに放り出されたら、それこそ右も左も分からなくて生きていけないから、一所懸命ウィリアムを大事にして、そして分からない事は聞いて聞いて聞きまくった。


一人の時間は、なるべく外に出てみんなから色々と教わった


朝は目を覚ましたら、軽く身支度をして井戸の水くみ、炊事洗濯はもちろん、掃除用具がそろってなかったから、棒切れとぼろきれを組み合わせて、モップやほうきを作って集落中を掃除して回ったら

器用な人が、使いやすいほうきやモップを作ってくれた。


汚れたものは焼却して、生ごみは発酵させてから土と混ぜて埋めて肥料にした。


それまでもゴミは土に埋めてたのだけど、私が聞きかじりの話だったけど「発酵させた方が土が元気になる」って言ったら、みんな信じてやってくれた。


雨の日も風の日も朝の掃除をしているうちに、沢山真似をする人が出てきてくれて、集落が全体的に清潔に保たれるようになった。

気持ち良く過ごせるようになったのは、私だけじゃなかったらしくて、みんなから声を掛けられるようになった。


この集落で一番嫌だったのが、「人糞問題」これが物陰とか家の裏にこっそりしてある事があった、一応みんな共有のトイレがあって、そこに穴を掘って、いっぱいに溜まったらそこは放棄して、別の場所に深い穴を掘って新しいトイレとして使う仕組みだったけど、なんせ共同だから家から遠いし

ちょっとそこらでやってしまう人も頻繁にいるみたいで、時々どこかに糞が落ちているのでした。


聞いた話では、昔の日本は買い取ったりして集めた人糞を肥溜めで発酵させて、肥料にしてたらしいけど、どうしても寄生虫の原因になってしまうという事で、現代の日本では肥溜めは使わずに、浄化槽か下水道を使ってた。

浄化槽の細かい仕組みは知らないけど、時々お父さんが浄化槽の蓋を開けて点検してたので自分も一緒にのぞき込んだり、Webをみて少し勉強してたから全く知らないって事ではなかった。


ここの集落にも綺麗なトイレは絶対に必要だわ、と水洗便所と、浄化槽の大まかな仕組みをウィリアムに話して、これを実現させたいのよって言ったの。


便器の形を紙にスケッチして、これは陶器なのって言ったけれども、

みんな首をかしげて、こんな大きな焼き物見た事無いし作った事もないって言うんです。

仕方が無いので先ずは、木で拵えてみる事になりました。


大工さんが私のスケッチをもとにして、それらしい水の溜まる椅子を作ってくれました。


水が漏れないように何層にも樹脂を塗りつけて、桶に汲んだ水を流して、ちゃんと排出されることも確認できました。


出来上がったらかなり高級感ある便器になりました。

いや、日本にもこんな便器あったらおしゃれだと思うよ。


便器の周りに囲いを作って貰ったら、もう良い感じの水洗便所になりました。

そのうちに水道も作って、タンクから水が流せるようにしてもらおう。


次に浄化槽の中の絵、Webで見た外側の絵とかも何枚も描いて、沈殿させる層、バクテリアに食べさせる層、別のバクテリアに食べさせる層とか、Webで見た知識を絞り出しては書きこんでいった。


 翌日からお医者さんのレオナルドさんや、大工のオリバーさん達とあーでもない、こーでもないってやって、遂にたったの一ヵ月で水洗お手洗い+浄化槽が出来上がってしまいました。


本当は浄化槽のメンテナンスとして、定期的に溜まった汚物を吸引しないといけないんだけど。


アメリカのコンポストでは、全くごみが出ない方式があるみたいだし、全部の汚物を分解する方法もそのうち出来るのかな?なんて思っていた。

そんな事を言ったせいで、旦那様ってば、超絶実験開始してしまいました。


そしてほとんどゴミが出ない浄化槽にしてしまいました。

日本よりも層の数は増えたけれど、ごみ0って言うのは凄すぎだよ

ただ・・・自宅の周りには、無数に掘られた穴と沢山の実験浄化槽、気をつけて歩かないと

この罠のように置かれた浄化槽を踏み抜いてしまいます。


日本では電気のポンプで絶えず空気を流し込んでバクテリアに分解させてたんだけど、

ここでは風車を使って空気を送り込んだり攪拌させてる、電気が無くても何とかなるもんなんだなって思ったし、見た所ちゃんと綺麗になった水がちょろちょろと出て来るようになった。


旦那様、レオナルド先生・オリバーさん本当に凄いです。


飲んでみようって言う気にはならないけど、見た目は本当にきれいになった。

臭いもしないし


たまに蓋を開けて、全体的に攪拌してあげた方が良いみたいだけどね。

それでもメンテナンスが楽って言うのも凄く良いと思う。


トイレの横に階段が設置されて上の方に水のタンクを置いて、水道のように蛇口から出る水で手を洗えるようになった。

凄いよみんな。私の超絶大まかな図解と説明だけで、日本に居た頃のようなトイレになった。


後は電気が登場したら、おしりも洗えるようになるのになぁ。

臭くない&綺麗って事で、みんなが交代でトイレの掃除や水の補充をするようになったので、ますますトイレは綺麗に保たれるし、井戸端会議がトイレの前って言う変な環境になった。

行商の人から石鹸を購入出来たので、トイレには石鹸と手拭きの手ぬぐいも常備されるようになった。


そのうち液体せっけんも作ろう


話の流れで、毎年流行る病気が今年は起こっていない事をお医者様から教えられたので、「菌やウイルスを無くす、清潔は大切です」って言ったら、新しい事を知ったという風に驚かれた。

百数十人しかいない集落なのにお医者様がいる事の方が驚きなんだけどなぁって思った。


病気も減ったので、お医者さんは暇になったのかと思ったら、トイレの研究をする時間が出来たと喜んでいた。そのうちトイレットペーパーを教えてあげたいと思う。



という事なので、今年は薬草が余っているらしい。

薬草をちょこっと分けてもらって、料理に使ってみた。

結構いい具合にハーブとして使えたので、食事会を開いたら好評でご近所さんも真似を始めた。

お医者様は、薬草の新しい使い方が出来たと喜んでいた。

「医食同源」が流行り言葉になった。

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この小説に登場する侍女アイシャの物語を掲載しています。 バールトン侯爵家は今日も楽しく暮らしています。
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