表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/101

3年後には、大好きな日本??

私が聖女になって、あっという間に3年が過ぎてしまいました。

母親業は、乳母(ナターリア)がかなりやってくれてしまうので、正直母親としての実感が薄いかも知れない。

作って欲しい物は、レオナルド先生かウィリアムに言えば、最近は会社の開発陣が物凄くなっていて

色んなものが生み出されています。


気になる事と言えば、えみりが初めて私達の事を呼んだ時

ランス語(ここのくに)の「パッパ・マモ」ではなく、英語で「ダディ・マミィ」と呼ぶのです。

もちろんこの世界に英語は存在してないので、もしかしてこの子、地球からの転生者なのかしら?

などと考えています。

だとしたら、いつかえみりがしっかり大人として会話が出来るようになったら、聞いてみたいなと思っています。


そして、えみりに弟が生まれました。彼にも日本で通用する名前をと思い丈二(ジョージ)と名付けました。

漢字の部分は私の頭の中だけですけれど、

私に一途だったウィリアムは・・・私の顔を見ると「愛しているよ」という割に、すっかりえみりに鞍替えしてしまって、私の傍に居ても「ダディ」と呼ばれるとすぐ飛んで行ってしまいます。


私も毎朝王宮からの迎えが来るまでの時間を子供たちとのスキンシップの時間に充てていました。

どんなに忙しくても、出来るだけ子供たちには楽しく過ごして欲しいからね。


そして、レオナルド先生は殆ど無理やりですが、毎月アイシャさんの休みの日にはデートをするように仕向けた成果が出て、この所二人きりで過ごすようになったみたいです。

先日、アイシャさんが悩みを打ち明けてくれたのですが、呪いに掛かっているので、結婚できないと言っていました。

でもね、

「その呪いは私と初めて会った時に解除しておいたわよ」

って言ったら


アイシャさん、突然げんこつで殴られたような驚いた顔をして、慌ててレオナルド先生とお付き合いする気になったようです。


そんな訳で、この世界もドンドン変わって行っています。

家電製品もテレビやラジオはありませんが、洗濯機・冷蔵庫・掃除機・エアコンとか色々出来ました。

電車も着々と線路が伸ばされていて、なんというか昭和の世界っぽいかなって思います。


そんなある日、えみりが私の元にやって来て、「お母さん大好きだよ」って言ってくれました。

私も大喜びで、えみりを抱きしめて「お母さんも大好きよ」って言いました。


するとえみりは、「お母さんの事大好きだから、お母さんの一番行きたいところへ連れて行ってあげる」って言いました。

一体何のことかなぁ?って思っていると

一瞬気を失ったような感覚になりました。

そして、目を開けると数年前に見た自分の部屋でした。

右手にはマウスを握っていて、画面にはライトノベルサイトのページが表示されていました。

ただ、違っていたのはオリーさんの話のページではなくて

私の個人ページが表示されていました。

そして、そこには自分が投稿した小説が表示されていたのです。

もちろん今まで一度も小説なんて書いた覚えがありません。


何が書いてあるの? 私は自分が投稿した事になっている小説を読み始めました。

そこには、中学一年生の夏休みが終わった時からの自分の生活が10年分書かれていたのです。

いじめられた時の事、それをかばうために西田健太がみんなの前で告白してくれた事

雨の日も雪の日も毎日家まで迎えに来てくれてた事、全部忘れていた事が詳細に書かれていました。


「勝手に悪く受け止めて、悪いことしたな」今では素直にそう思えますが、あの時の自分には周りにいるすべての人が意地悪をしているように思えていたのです。


話を読み進めていたら、電話が鳴りました。

「もしもし・・・お前何時だと思ってるんだ、さっさと出てこい」会社からでした。

「なんだか、具合悪いので今日はお休みさせてください」と答えると

「ふざけるな、休みの申請は1か月以上前にするもんだ、お前は無断欠勤だ」

そう言ってガチャリと受話器を叩きつける音と共に電話が切れました。


ああもう九時過ぎてるんだ、テレビをつけると昨日の台風の被害が映し出されていました。

テーブルの上には用意しかけていた夕食が載っていました。

コロッケの入った袋だけがどこにもありませんでした。


電子レンジに入れて温め直してから、夕食なのか朝食なのか分からない食事を食べてから、また自分の小説を読み進めました。

やっと大学生も終わるころにまた電話がかかってきました。

「おい、山田 今夜も橘会長の接待だ、商店街のバー秋桜に来いよ」とだけ言って電話は切れました。

電話の事は気にせずに、さらに小説を読み進めると、部屋に雷が落ちた瞬間に、私はヴァヴィンチョの集落に召喚されてしまったと書いてありました。


やっぱり私はヴァヴィンチョに住んでいたんだ・・・涙が出てきました。

えみり・丈二・ウィリアム・・・

皆に会いたい私は、なにかヒントが無いのか部屋の中を探し始めました。

第一部終わりました。

第二部は少し書き溜めてから始めようと思います。


今まで読んで頂いてありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この小説に登場する侍女アイシャの物語を掲載しています。 バールトン侯爵家は今日も楽しく暮らしています。
https://ncode.syosetu.com/n7281hz
こちらも、よろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ