勝訴・・・しました ょ
昨日夕方に、短い話を投稿してあります。
裁判官が戻って来て、扉が締められました。
マムシヴェルズ伯爵が何か言いたげな表情で、こちらを見ています。
裁判官が、「それでは」と言いかけた時に、マムシヴェルズ伯爵が「なぜ、その平民たちに発言の機会を与えるのですか」
と、大きな声で尋ねました。
裁判官が、「マムシヴェルズ伯爵、発言を許可していない、そもそもまだ開廷していない」
と不快そうに言いました。
「でも・・・」とまだ何か言いたげにマムシヴェルズ伯爵は声を出していました。
裁判官は、苦虫をかみつぶしたような表情で
「マムシヴェルズ伯爵、 被告に対して、平民と言っているが、被告の一人カオリ卿は、非公式ながら聖女の称号を与えられている事を知らないのですか?
あなたは公爵家の馬車を自由に使っていながら、王族の決定を通知されていないのですか?」
傍聴席にいる貴族は既に知っている話だったようで、大した反応も無かったけれど
一般人の席からは、こんなすごい事聞いちゃって良かったのというような、ため息のような声が漏れ聞こえてきた。
「カオリ卿って誰って感じだし、聖女だなんて、私も初耳なんだけど・・・いつ決まったの? いつの間に・・・」私がつい声を漏らして戸惑っていると、右隣にいる領主様が小声で「この後王宮に行った時に正式に発表されますよ」と教えてくれました。
マムシヴェルズ伯爵は、聞いてはいたようだけれど、知ってるのは自分だけで、まだ周りの人間は知らないと思っていたようでした。
俯いて、なにか言いたそうだったけれど、椅子に座り直した。
「そろそろいいでしょうか?」
裁判官が周りを見てから、「それでは、再開いたします」と、宣言されました。
「判決を言い渡します ・・・ 無罪 特許についても本件の対象となっている特許は全て無効とする」
私達は、ホッとした表情でお互いの顔を確認しました。
「今回の特許は、違法に取得されたものであり、通常数か月から2年かかる審査を、たったの3週間で終えているなど、考えられない事が行われている。
特許事務所の業務も、改善が必要であり・・・」
判決の内容は10分以上も、延々と読み上げられていた。
良くあの短時間の間にこれだけの判決文を書き上げたものだわと、ひたすら関心してしまいました。
きっと朝方に来ていた王宮のマルコム・ヴァヴィンティヨ伯爵やもう一人の男の人も、裁判官に何か言ってくれたんだろうな、なんて思った。
想像でしかないけど
「以上で閉廷します」 裁判官が言うと、扉が開けられてみんなぞろぞろと出て行った。
私達は、疲れてそのまま帰りたい気分でしたが・・・
裁判所から出たら、大勢の人たちがみんな「おめでとう」って大きな声で大騒ぎで
ちょっとしたお祭りみたいになっていました。
こりゃ 疲れた顔をしていられませんね。
来る時には集中していたせいで、気が付かなかったのですが、「健康になりましたありがとう」「頑張ってください」「必勝」などの垂れ幕があっちにもこっちにも出ていました。
レオナルド先生が、「水洗トイレをありがとう」「明るい電球をありがとう」というプラカードに交じって「カオリ卿」とか「聖女様叙任おめでとうございます」「勝訴」と書かれたプラカードを見つけて教えてくれました。
これは・・・工場を早急に稼働させて、早く製品達を普及させないといけませんね。
カオリ卿って、私は何者になっちゃったのかちょっと怖い気分です。
皆で領主様の馬車に乗る事も考えたのですが、沿道の人々にお礼を言った方が良いような気がしたので、
私達は歩いて領主様のお屋敷に戻る事にしました。
その後は、着替えてお城に行かないといけないから、結構忙しいけど。
アルさん達は、事務所へ戻るという事なので裁判所の前でお別れをしました。
これだけ注目を浴びた裁判の弁護をしたのだから、今後は超大物弁護士って事になるんだろうなぁ
最初からこの結果を思い描いていたのだとしたら、アルさんは物凄い人だ
って思いながら、歩いて行くアルさん達を見送りました。
帰り道は、警察の人達が交通整理をしてくれていて、行きのように馬車が通れないという事も無く、普通に歩いて戻る事が出来ました。
沿道の人達から、沢山の「おめでとう」の声を頂いて、多分人生で初めてこんなにおめでとうって、言われたんじゃないかなって思いました。
行きの様子を知らないウィリアムは、目を丸くして驚いていました。
でも本当に誰も傷つかなくって良かった。
あの女の子も、死ななかったしね。
領主様のお屋敷に到着したら、既に湯あみの準備が整っていて、「カオリ様お帰りなさいませ、時間がありませんので」と言われてメイドさん達に拉致されるように連れていかれてしまいました。
私は直ぐに裸にされて、お風呂に押し込まれて、3人のメイドさん達が頭から全身くまなく洗ってくださって、その後は超高速全自動お着換えマシーンと化したメイドさん達が待ち構えていまして
お風呂から出ると、5人くらいにもみくちゃに、いえお化粧から着替えから何から何まで、やって頂いて
全くの別人に化けさせて頂きました。
ありがたや、ありがたやです。
夜のパーティーなので、露出多め、恥ずかしいです。
鏡に映った姿を見ると、えええええええ こんなに綺麗にして貰っちゃって、虚偽でしょこれ
いくら何でも私じゃないわこの姿・・・
侯爵家のメイドさん達の能力は伊達じゃないですね。
ウィリアムもメイドさん達に、フルパワーで改造していただいて、
ええ、もう、なんていうか、どっかの映画から抜け出して来た俳優さんみたいに綺麗なんですよ。
いや~なんて言うか、眼福って言うんですか? おい そういえば、私の旦那さんでした、
ああ、カッコいい旦那様を見られただけで、私はもう、満足でございます。
このまま ベッドにダイビングして、明日の朝までゆっくり過ごしたい・・・
嗚呼、もたもたしているものだから、メイドさんに強い力でお屋敷の外まで引っ張られて来ちゃいました。
外には既に2台の馬車が用意されていて、領主様とヨッシーさんはもう馬車の傍でお待ちになられていらっしゃいました。
私とウィリアムとレオナルド先生は、急いで後ろの馬車に乗り込みました。
馬車に乗り込むとなんだか疲れてしまっていた私は、ウィリアムにもたれかかるように、眠ってしまいました。
明日明後日の連休も朝からお仕事で、なかなか小説のストックが書けていません。
まだ暫く、短めの投稿になりそうですが、読んでくださって ありがとうございます




