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8/11

歪んだ幸福

リアルが忙しくて死んでいました。

お待たせして申し訳ないのですが、持病の新作書きたい病がやばいので次は新作を書くかもしれない…………

「〜〜♪〜〜〜♪」


 点滅する電子機器の光のリズムに合わせ鼻歌を歌う。

 この歌は何の歌だっけ?

 どこで聞いたんだっけ?

 うまく思い出せない。

 うーん…………

 まぁ思い出せないということは、そんなに大事なことじゃないのだろう。


「前方から敵接近、数11、各員迎撃準備」


 オペーレーターから通信、同時に前方で飛行する鳥形屍械がモニターに映る。

 屍械は私たちの存在に気付いていないのか、呑気に羽を広げて飛行していた。

 屍械が私たちの存在に気付いていないのは無理もない、ここは海上国家からは遥かに離れた地点、いつも私たちが戦闘する防衛地点よりもさらに遠方の場所だった。

 屍械からすればこんなところに人類がいるとは考えもしないだろう。

 今回の作戦はいつもの都市防衛戦ではなく、敵が都市に上陸する前、陸と都市の中間地点で奇襲をかけるというものだった。

 いつもは待ち構えているのに、こちらから攻めるとは珍しい作戦だよね。

 高度もいつもよりも高く海上からはるか上空、高度おおよそ8km。

 ここまでの高度になると駆動騎兵単独での航行は難しい。

 駆動騎兵は高起動、高火力をコンセプトとした短期決戦兵器だ。

 実は高い高度まで上昇したり、長距離を移動することは不得意な兵器なのだ。

 そのため、今回のような高高度や碧斗から遠く離れた地点での作戦では長距離運行に特化した運搬機に作戦地点まで運んでもらうことになる。

 ガ○ダムでいうゲタというやつだ。

 もっともあれは機体が乗るのに対してこちらは機体が吊るされるタイプという違いがあるが。

 このポイントまではただ運ばれるだけだったので、正直暇なんだよね。

 だから先ほどから一人鼻歌でカラオケ大会を開催していたのだ。


「機体切り離します」


 私の機体を運搬する友軍から通信が入り、機体が切り離される。

 重力によって宙に落下する機体、すぐに自律飛行へと切替え体勢を整える。

 私の周りには同型の駆動騎兵が横一列に隊列を組み飛行していた。

 量産型の駆動騎兵、通称『八型』。

 ほとんどの軍人が搭乗する駆動騎兵だ。

 クセがなく扱いやすい機体、オプションパーツも豊富であり個人個人の特徴にあった武装が選択できる。

 その分性能は低めではあるが、パーツの選択次第では尖った性能にもできる、量産機としては優秀であると言えるだろう。

 私が操縦しているのは何の改造もされていないドノーマル、新人に与えられる機体だった。

 私の専用機である黒鉄は現在修理中だ。

 その代用機として用意されたのがこの機体だった。

 私にあった高機動機に改造したいのだが……そんな予算はない、代用機なのだからそれで満足しろ、と一蹴されてしまった。

 仕方ないので、設定だけいじって装備はそのままだ。

 まぁこの機体も悪くはない。

 私の思った通りに素直に動いてくれるし…………ただ欲を言うなら機体のカラーリングが気に入らない。

 空での視認性を下げるための無彩色塗装、なんかしっくりこない。

 黒く塗りたいなぁ…………

 そんなくだらないことを考えているうちに敵は目と鼻の先まで迫っていた。

 数も多くないし今回は楽な戦闘になるだろう。

 敵を殺せ。

 命令が下される。

 私はその命令に従い、機体を加速させる。


「ふふっ」


 私の口からは、自然と笑みが溢れていた。



……



…………………



……………………………



 時は出撃前に遡る。


 私は食堂でご飯をいただいていた。

 頼んだのは日替わりBセット、今日はトンカツだ。

 食堂の料理は美味しいし栄養バランスもバッチリだ。

 日替わりを頼めば飽きることはないし、私は一生ここで食べるわ。

 前の私はなんでここの食事を拒んで自室でエネルギーバーなんてかじっていたんだろうね。

 何か理由があった気がするんだけど…………よく思い出せないな。

 うーん…………

 まぁ思い出せないということは、そんなに大事なことじゃないんだろう。

 食堂で食事しろと命令が来てよかった、やはり食事は心を豊にするね。


「今日もいい食いっぷりだな兵器ちゃんは」


 同僚の一団から声をかけられる。

 同じ部隊に所属する軍人さんたち、名前は……確か……なんだっけ?

 まぁ、いいや。


「どうも」


 最近ではこのように同僚たちと少し言葉を交わすようになった。

 私が能面みたいな無表情ではなくなったのが大きな要因だと思う。

 言葉も前のようにうまく喋れない、なんてことはなくなったし。

 ただ…………私語は禁止されているので話せることは限られているんだけどね。

 特に、頭につけているカチューシャ、そして私の変化に関することは喋るなと命令されている。

 それでも思った通りに言葉がでる、出ないの違いは大きい。

 そもそも前はなんでうまく喋れなかったんだ?

 よく分からん。

 よく分からないけど、以前感じていたストレスはほとんどなくなった。


「兵器ちゃん、この後シミュレーションつきあってくれねぇ?」


 食事を続けていると同僚の一人から訓練のお誘いが来る。


「いいですよ」


 特に断る理由もないため承諾する。

 自室にこもって読書するよりもずっと有意義だろうから。

 シミュレーションのスコア最高記録の保持者である私の操作は結構参考になるらしい。

 だからなのか最近よくお声がかかるようになった。

 もう私はボッチではない、そういうことだ!

 屍械を殲滅するのも楽しいし、以前私を不安にさせていた悩みの種もほとんどなくなった。

 以前までの私は軍の脱退を考えてたらしいけど、今ではそんなこと考えられない。

 今の私はすごい恵まれている。

 我が世の春がきたとはまさにこのことよ。

 にこりと、口角が上がるのを自分でも感じた。





―――――――――――――――――――――――――――――――





「…………」


 俺は同僚たちと笑いながら食事をする月宮をぼんやり眺めていた。

 ついこの前には想像もしなかった光景だった。

 俺にはあれが月宮だと断言できる自信がなかった。

 彼女は、本当に月宮なのだろうか。


「どうした?そんな風に眺めて、嫉妬か?」


「はぁ!?」


 成田大尉が俺の前に座る。

 大尉は何を勘違いしているのか俺を見ながらニヤニヤと笑っている。


「春か、春なのか?」


「そんなんじゃねーですよ」


 俺は大尉を睨むがまるで意に介さない。

 なんなんだこの人。

 上官がこの食堂に姿を現すのは珍しい。

 いつもはここよりグレードの高い上官専用の食堂にいるはずだ。

 わざわざこちらに顔を出すということは何か用があるということだろう。


「いったい、どうしたんです?」


 こんな下級兵のたまり場になんの用があるんだか。


「なに、部下が悩んでそうだったからな、話ぐらい聞けるが」


 そう言って大尉はにやけ顔をやめ、俺の顔を覗き込む。

 俺?

 俺が…………悩んでいる?

 そうなのだろうか……自分でもよく分からない。

 ただ、なんとなく嫌な気分だった。

 今の月宮を見ていると。


「月宮は…………今幸せそうですね」


 そんな言葉が、俺の口から漏れた。

 俺が月宮を前と同一人物だと思えない理由。

 彼女は……今幸せそうに笑っていた。

 前まで、戦いたくない……死にたいと、嘆いていた少女が。

 彼女の状況は何一つ変わっていないのに、仲間から兵器と言われ、戦場に出て…………なぜ笑う?


「そうだな、あいつは変わった…………今もあいつを解放したいと思うか?」


 その言葉に、顔を上げる。

 俺は、あいつを戦場から解放してやりたかった。

 戦場に出るような年じゃないから、彼女が…………苦しんでいたから。

 でも、今はもう苦しんでいない。

 彼女はなぜか毎日楽しそうにしていた。


「わからない。わからないんです。もう、あいつは解放されるのを望んでいない気がする」


 今の月宮からは以前のような苦しみを感じることはできなかった。


「助けを望んでいないから、手を差し伸べるのを止める。そういうことか?」


 そうなのか?

 …………そうなのかもしれない。

 少なくとも今の月宮は助けを求めていない。


「助けを求めていないなら、助ける意味ってないですよね」


 そんな無駄なことをするのなら、助けを求める人のために時間を割いたほうがいいだろう。


「助けが必要な者が必ずしも助けを求めるわけじゃない」


 それはそうかもしれない。

 そうだけど、じゃあどうしろというのだ。

 助けを求められなきゃ、どうすればいいのか分からないじゃないか。


「以前、自殺しようとした人間を助けたことがある。そいつは命を救った私のことを大層恨んでいたよ」


 自殺…………

 確かに、それは助けられた人間からしたら余計なお世話かもしれない。

 月宮も以前は死を願っていた。

 その時だったなら彼女を助けると胸を張って言えていたはずなのに。


「でも、そいつだって最後には大尉に感謝したはずです。自ら死を選ぶなんて、一時の気の迷いだったんですよきっと」


 生きていれば、いいことは沢山ある。

 成田大尉のその助けは救いになったはずだ、例え相手が望んでいなくても。


「いや、そいつはその後再度自殺を試みて、今度は成功したよ」


「え…………」


 それじゃあ、成田大尉の助けは全部無意味なものになってしまったじゃないか。

 短い間、その命を長らえさせただけだ。

 しかもその命は存在することを拒んでいたのに。


「私がしたことは無意味だったと思うか?」


「そ…………れは……」


 無意味だったかもしれない、そうは思うがそれはあまりにも非情な回答だ。


「救いとは望む者だけではなく、必要な者に与えるべきだと私は思う」


 救いが必要な者…………

 月宮には救いが必要なのだろうか……?

 分からない、だって…………


「俺が人を助けたいと思うのは、笑って欲しいから…………幸せになって欲しいからだ」


 結局俺は偽善者なんだ。

 俺は…………彼女に笑って欲しかったんだと思う。

 無表情に敵を屠る兵器ではなく、普通の女の子のように。

 助けた人間には笑ってほしい、助けてもらえたことに感謝して欲しいんだ。

 俺は大尉のように恨まれてでも人を助けようとは思えない。

 そんな風に強情にはなれない。


「そうか、まぁ私のようにしろとは言わない。だが後悔のないようにはしろよ」


 成田大尉はそういうと立ち上がった。

 俺はその背中を黙って見ているしかなかった。



……………………………



…………………



……



「各員、一時戦闘を中止してください」


 屍械との交戦、その最中にいきなりオペレーターから通信が入った。

 なんだ?

 屍械ももう数えるほどしかいない。

 作戦は順調に進んでいるはずだ。

 ここで戦闘を中止する理由がわからず混乱する。


「戦闘区域に民間船と思われる船舶を確認」


 なん……だと?

 そんな馬鹿な!

 どうして民間人がここにいるんだ!?

 警報はどうした。

 屍械との戦闘に巻き込まれないため民間船には警告が出ているはずだった。

 それなのに、なぜ進路を変更していない。

 俺は機体の望遠機能を使い、モニターに拡大映像を映す。

 そこに映し出されたのは確かに民間船だった。

 距離があるせいでよく見えないが、武装しているようには思えない。


「あ!」


 手負いの屍械が高度を落とし、民間船へと接近している。

 いつもだったらこのような屍械の処理は後回しだった。

 止めを刺すより無傷の屍械を攻撃した方が安全性を確保しやすく戦闘で優位を保てるからだ。

 飛行能力を欠いた屍械海へ沈み二度と戻ってくることはない。

 だが、その落下地点に民間船があるのなら話は別だ。

 手負いといえどそれが船と衝突すれば十分脅威となりえる。

 船が沈没するだけならまだいい、民間人が捕食されでもしたら最悪だ。

 銃を向けるが、この距離では射程外だ。

 手負いの屍械は想像しているよりもはるかに下方にいた。

 まずい、直ちに機体を海上へと傾け高度を下げる。

 なぜこんなところに民間船がいるのか、その謎は気にかかるがそんなことを考えている場合ではない。

 自由落下に背中のスラスターを吹かし、推進力を加えて加速する。

 手負いの屍械が船と接触する前に射程距離圏内まで接近し、屍械を撃ち落とすしかない。

 急加速によるGにより機体が軋むが、それを気にする余裕はない。

 屍械と船の距離、屍械と私の機体の距離、それがどんどん縮まっていく。

 ギリギリ間に合うか……!

 機体に負荷はかかっているが、この速度なら屍械が船にたどり着く前に射程距離内に捉えることができる。


 そのはずだった…………


 唐突に鳴り響く警告音。

 突如スラスターが逆噴射を開始し、機体の落下を食い止める。


「は?なんだ…………なんで止まるんだよ!?」


 機体は急激に速度を落とし、屍械との距離が開く。

 警告の表示を見て俺は事態を理解する。

 機体が歪むほどの急加速。

 その加速を身体に危険ありと判断され安全装置が作動してしまったのだ。

 パイロットを守るための安全装置。

 それが裏目に出てしまった。


「くそっ!」


 直ちに安全装置を解除し、屍械を追いかける。

 今度は安全装置が作動しないよう、速度を落として。

 遅い、遅すぎる。

 これじゃあ、間に合わない……

 焦りだけが募っていく。

 そして……射程距離に入る前、機体の遥か下で屍械は民間船に接触した。

 船の甲板に屍械の巨体が着陸し、船が大きく歪む。

 うねる捕食触手が見える。

 有効射程まではあと少し、だがその少しが果てしなく遠い。

 触手が、傾いた船橋へと向けられる。

 だめだ、喰われる。


 そう思った時、俺の横を物凄いスピードで機体が通り過ぎていった。

 無改造の八型、月宮機だ。

 なぜあんな速度が出せる?

 あの速度だと、先ほどの俺の機体のように安全装置が作動するはずだ。

 なんだ作動していないんだ…………

 まさか…………あいつ…………


「安全装置を切っている!?」


 なんてことをしてやがる!

 なんのために安全装置が付いていると思ってんだ。

 捕食触手が放たれる、その刹那の瞬間に銃声が響いた。

 高速で落下する機体から放たれた銃弾、それは正確に屍械の頭部を貫く。

 たった一撃で、それは絶命した。

 月宮はそれと同時に逆噴射し、機体を止めようとしたが、勢いを殺しきれず機体は半分ほど着水してしまっていた。

 安全装置が働いている状態なら、絶対起こらない現象だ。

 海面を感知し、事前に機体を浮かせていただろう。

 やはりあの機体は安全装置が作動していない。

 その危機感のなさに腹が立つ、だが安全装置が作動していれば俺のように間に合わなかったというのもまた事実だ。

 文句を言いたい所だが、今はそんな場合じゃないだろう。

 民間船がまずい状況だ。

 屍械の巨体を受け止めた船は大きく歪み、まともに航行できるようには見えなかった。

 船倉は浸水もしているかもしれない。



……………………………



…………………



……



 船状況は俺が考えていたよりも酷かった。

 怪我人多数、船倉部分にいた数人は助けることができなかった。

 運悪く船倉の歪んだ壁に挟まれ、身体が潰されてしまったものもいる。

 死者数は、不明。

 現在船員リストと照合中らしい。

 船内は酷い有様だった。

 天井の照明が割れ、船体の至るところから海水が入り込んでいる。

 これはもう航行不能だろう。

 今すぐというわけではないが、近いうちに沈むのは確実だった。

 生存者は救命ボートに避難させればいい。

 問題は重傷者だった。

 この船には船医がいたが、船がこの有り様では治療も難しい。

 必死に止血をしているが、このまま出血が続けば確実に死ぬ。

 輸血と緊急手術が必要だが、海の上にそんな設備はない。

 俺たちをここまで運んできた運搬機を呼びよせる。

 こんなところまで救急車は来ない、俺たちが海上都市まで搬送するしかない。

 俺は救助作業の手伝いをしていると、視界の隅に月宮が映った。

 月宮は、重傷者の横でぼんやりと立っていた。

 なにしてるんだ、あいつ。


「おい、月宮どうした」


 声をかけると彼女はこちらに振り向いた。

 その顔には薄い笑みが浮かんでいた。


「死んだ」


「え…………」


 一瞬、何を言っているのか理解できなかった。

 彼女の表情と、発言が噛み合っていなかったから。

 彼女の視線の先にいるものを見て、ようやく理解できた。

 月宮が見つめているものは、右腕を失い腹部に大きな穴の開いた男性だった。

 船の破損に巻き込まれたのだろう。

 苦悶の表情をした男性は、床にその身を横たえ、冷たくなっていた。


「失敗した、私が間に合わなかったから……死んだ」


「違う!」


 彼女の言葉を即座に否定する。


「お前が、助けたから、間に合ったから誰も喰われなかった。こんなにも生存者が残っている!」


 月宮が動かなければ、もっと死傷者は増えていた。

 むしろ間に合わなかったのは…………俺の方だ。


「そう」


 そう言って彼女は笑った。

 その顔はどこか歪んでいる。


「なんで…………無理に笑うなよ。なんでお前はそうやって感情を隠すんだ」


 ずっと彼女に笑って欲しいと思っていた。

 でも、こんな場面で笑って欲しくなんてない。


「無理に笑ってないよ、今私は幸せなんだ」


 幸せ…………どこがだよ!?


「前の私はとても不安定だった。いつも何かに恐怖し、苦しみ、怒っていた。でも今の私はとても安定している。


私が助けられず死んだ人間を見ても、悲しみも、憤りも感じなかった。…………だから私は笑っているんだよ」


 それは歪んでいた。

 まともな感性をしていなかった。

 少女の頭につけられたカチューシャの液晶が瞬き、色が踊っている。

 俺が、月宮に感じていた違和感、嫌な感じ。

 彼女は、ずっと笑っていた。

 どんな時でも、その口は弧を描いていた。

 どこか狂っていた。

 俺が助けたいと思った彼女は無表情で、でも怒りも、悲しみも、きちんと持った人間だった。

 だから笑って欲しいと思った。

 今の彼女は違う。

 彼女は笑う、同僚と会話して、屍械と戦って、助けられなかった人を前にして。

 人間らしさを、奪われていた。


「俺は前のお前の方が良かった。今のお前は……」


 まるで本当の兵器だよ。


『救いとは望む者だけではなく、必要な者に与えるべきだと私は思う』


 成田大尉の言葉が蘇る。

 その言葉の意味を俺はようやく理解した。

 幸せだと嘯く彼女は前の状態に戻りたいとは思わないだろう。

 それでも、彼女を助けなくてはならない。

 人間に戻さなければいけない。

 たとえそのことで彼女に恨まれたとしても…………





―――――――――――――――――――――――――――――――





月宮來羽

施術により、負の感情を感じなくなった。

不安、恐怖、怒り、悲しみ、様々なマイナス感情が幸せへと変換されている。

作戦に不都合な記憶は消去されているため、記憶に穴が目立つ状態だ。

頭に装着されたカチューシャから下される命令に従うことで多大な安心感が得られるようになっている。

今、彼女は幸せだ。

桐島霧子ちゃんの影が薄いのですが……?

なにやら影で動いている模様。

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