第五話 誰だって間違いくらいするものだ
相棒キャラを活躍させたら主人公の影が薄くなった事に悩む永太。
ならば次の話で主人公を活躍させようと意気込むが……?
どうぞお楽しみください。
『ゲギャギャギャ! 知っているぞ! その刀は霊に対して絶大な攻撃力を誇るが、持ち手の霊力も喰う諸刃の刃! そうそう気軽に振れるものではあるまい!』
「……そうだな」
悪霊の言葉を凛はせせら笑った。
「だから一瞬で斬ればいい」
『あぁ? 何
きぃん。
を?』
勝ち誇った笑い声を上げていた悪霊は両断されていた。
悪霊は霧散する前に信じられないものを見た。
凛の刀がまだ鞘に収まっているのを。
「神速の抜刀納刀術・『鍔鳴』だ。この音が鳴った時点で貴様は斬られていた」
『ば、馬鹿なぁ……』
消えゆく悪霊に背を向け、凛は静かにその場を立ち去った。
「これはなかなかいいだろう!」
我ながら会心の出来に、思わず声が出た。
凛の見せ場としてはこの上ないだろう!
さてこれを更新して、と。
今のところまともに反応してくれるのは遠藤だけだけど、これには感想を書かざるを得ないだろう!
さて、風呂入ってこよう!
……また感想なしかよ!
今回こそは『凛の剣技が冴えていた』とか書いてもいいだろう!
若干苛立ちながら、俺は図書室の扉を開けた。
「やぁ。昨日の更新お疲れ様。予告通り、凛は大活躍だったな」
「……あぁ、そ、そうだったろう?」
それなら何で感想くれないんだよ!
「しかし何故凛はこの技を使ったのかな」
「え、いやそれは魔牙月が持ち主からも霊力を食う刀だから、一瞬だけで斬れるようにって……」
「凛は霊力がなかったから、魔牙月の適合者に選ばれたはずでは」
……あ。
あー!
やっちまったー!
「忘れていたのか」
「……うぅ……」
「一話目を投稿してから間が空いていたから、設定を忘れる事もあるだろう」
「いや、しかし……」
どうしよう!
辻褄が合わなくなってしまった!
幸い叩かれるほど読まれてないけど……。
……悲しいなぁ……。
「やべぇ、どうしよう……」
「訂正すれば良いのではないか?」
「訂、正……?」
いいのか? そんな事して……。
今回の凛の活躍は消したくないから、第一話の方を訂正するしかない、か……?
でも誤字や脱字は今までも直したりしたけど、そんなメインの設定変えちゃっていいのか……?
「で、でも読んでる人からしたら、そういうのってよくないんじゃ……」
「そうかな。矛盾をそのままにしておく方が、読者に対して不誠実ではないのか?」
「う……。確かに……」
「誰だって間違いくらいするものだ。かの有名な少年漫画家も、天涯孤独にしたキャラに子孫がいる事になって、お詫びの上訂正したりしたから、大丈夫だろう」
「う、うーん? そ、そういう問題かなぁ……?」
納得いくような、いかないような……。
「どちらもいじりたくないなら、新しい話で矛盾を補う方法もある。辻褄合わせに設定を足したり、エピソードを加えたりね」
「後付けってやつか……」
「『身喰いの刃』の世界の神は山梨君だ。山梨君が望むまま、自由に世界を変えたり広げたりすればいいのさ。私はそれを楽しみにしている」
「……わかった。やってみる」
『身喰いの刃』の世界の神、か……。
そう言われると、凛や樹、巫女の空に、まだ出していない巌、錘、焔の運命を握っているのは自分なんだと感じる。
恥ずかしいとか情けないとか言ってる場合じゃない!
もう一度一話から読み直して、追加できそうなエピソードを捻り出そう!
読了ありがとうございます。
読み返しは大事。まじ大事。
そこから新たな話の種が見つかる事もありますしね。
それでも矛盾が生じた時は……。
訂正良し!
追加エピ良し!
でも放置はいやっッ!!
リカバリーも作者の腕の見せ所。
さて永太はどうしますか……。
次回更新は来週月曜日の予定です。
よろしくお願いいたします。