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最終話 結婚は人生の墓場ではなさそうだ。少なくとも私にとっては

 私が先輩と付き合うようになって、1年。ついに私の左手の薬指にダイヤモンドがはめ込まれたプラチナの指輪をはめることになった。相手はもちろん先輩、いやカケルさんと言えばいいだろうか?




 カケルさんはお父さんみたいに怒鳴ることはここ1年間、1度も無かった。


 もちろん私が怒鳴られないように細心の注意を払って落ち度がないようにしているのもあるが、それでも怒鳴らないのは内心ほっとしている。


 式は勤めている会社とは別の会社や施設を使っての物だった。カケルさんはブライダルプランナーであるがゆえにその御眼鏡に適うとなればかなり上位なのだろう。式は欠点らしい欠点も、とどこおる事も無く無事に終わった。


 そして私は寿(ことぶき)退社で会社を辞めて家庭に入ることになった。表向きにはカケルさんは既婚者だという嘘を隠し通すことは難しいと思ったからだ。カケルさんと結婚したことは会社の人たちには内緒だ。




 結婚前に私はカケルさんを裏切らない事、代わりにカケルさんは私に対して怒鳴らないことを何度も何度も、しつこいくらいに繰り返し誓い合った。


 お互いにとって一番されたら嫌な事だというのをこれでもかと確かめ合った。他の人からしたらその程度の事で、と思うかもしれないが私たちは真剣そのものだった。


 それこそ人生を狂わされる、と言えば壮大すぎかもしれないが、そう言ってもいい位には真剣な話だったからだ。


 式を終え新婚生活に入ったカケルさんは相変わらず怒鳴らない。ようやく安住の地を手に入れたと思ってほっとしている。カケルさんも信じられる相手を見つけて幸せそうだ。


 子供が出来たら忙しくなるのかな? まだ妊娠の兆候はないがそのうち妊娠出産子育てという一大イベントがやってくるが、彼と一緒なら乗り越えられるしお母さんのアドバイスもある。何とかなりそうだ。




「今日は夜の7時ごろには帰れそうだ」


 彼からのメッセージが夕方の5時ごろ届く。いつもこの時間に決まって何時頃帰れるかを仕事に出かける日には必ず知らせてくれる。ブライダルプランナーたるものここまできめ細やかな対応が出来ないとやってられない、というのはあるだろう。


 しかも大抵は帰宅予定時刻ピッタリに帰ってくるからおそらく移動時間なども逆算した上で言ってるのだろう……凄い人だ。




「お帰りなさい、カケルさん」


「ただいま。今日も何とか片付いたよ」


 そう言ってお帰りなさいのキスを交わした。

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