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恋が潜む食卓  作者: 稲井田そう
春野菜プレートとチョコチップマフィン
2/21

甘い隠し味


◆◆◆



「ご、ごめん瑞香ちゃん、私真木くんのところ行ってもいい……?」


 昼休憩が終わり調理実習が始まった。調理台を前に材料の確認をしていると、同じ班の芽依菜ちゃんが顔を青くしながら隣の班と私を交互に見る。


 彼女に倣うようにして隣の班に視線を向けるとやはりというべきか、そこでは彼女の幼馴染の真木くんの姿があった。


 やや長めの黒髪を揺らしながら包丁を洗う彼は、刃物側を指で摘んでいて本当に危なっかしい。手を切っていないのが奇跡だと思うほどだ。見ているだけでお腹の奥が浮いたような落ち着かない気持ちになる。


「勿論だよ! いってらっしゃい」


「ありがとう瑞香ちゃん……! 洗い物は絶対にするから、そのままにしておいて……!」


 顔を青くしたまま申し訳なさそうに謝る芽依菜ちゃんを見送る。彼女の幼馴染であり斜め隣の班にいる真木くんは、入学当初からずっとあの調子だ。


 一昨日は通学途中どこかから転がり落ちたらしく葉っぱだらけで学校に来たし、昨日は体育の後水道で水を飲もうとしてずぶ濡れになっていた。


 芽依奈ちゃん曰く、階段から落ちかけるなんてこともしょっちゅうあるらしい。だから彼女は真木くんを守るために傍にいる。二人の姿は、しっかりしたお姉さんとその弟のようだ。


「さて、作るか」


 調理台に向き直り、私は卵を手に取った。そしてガラスボウルに割り入れ、中身を掬うようにして菜箸でかき混ぜていく。


 この卵液は後で使うからよけておいて私はバターを取り出した。


 バターをもう一つのボウルに入れ、ゴムベラでクリーム状になるまで練り上げていく。そこに砂糖や卵液を少しずつすこーしずつ加え、ゆるくなったら計量済みの粉類を入れてダマにならないよう混ぜる。


 このまま作れば普通のプレーンな生地だけど、今日の調理実習は生地をプレーンかココア、チョコを入れるか入れないかを選ぶことが出来る。


 となるとやっぱり甘いココアのしっとりしたスポンジや、サクサクのチョコレートの苦みを楽しみたい!


 ココアパウダーと砕いたチョコレートも加え、今度は生地を潰さないようにふんわり焼き上がるよう、さっくりとゴムベラを入れていく。


 生地が均一に染まって、チョコレートが行きわたったらバターを塗った型に紙カップを敷いて、そこに生地を流し込んでいく。


「よし」


 オーブンに型を入れた。焼き上がりの時間まで片付けだ。ふいに芽依菜ちゃんの方を見ると、真木くんの手が粉まみれになっていて彼女は一生懸命それを拭いてあげていた。


 多分芽依菜ちゃんが居なかったら、真木くんは全身粉まみれになってたんだろう。


「ねえ日野くん、日野くんて一人暮らししてるんだよね! 普段料理とかするの?」


 溌溂とした声が聞こえてきて、反射的に視線が向いてしまう。そこには両手に花、な如く女の子に囲まれ困ったようにしながら卵をとく日野くんの姿があった。


 周りの女の子たちは皆彼に夢中で、顔を赤くしながら小麦粉をふるいにかけていたり、牛乳の計量をしている。目は彼へと向いているのに溢したりする様子はなくてただただ感心してしまった。私なら絶対大惨事を引き起こすだろう。


「料理――あんまりしないかな。食べることは好きなんだけど、仕事で忙しくて作れないから」

「えー! じゃあ私差し入れとかするよ?」

「あっずるい。私も作ってくるよ! オムライスとかしか作れないけど!」

「はは。でも事務所に怒られるから、気持ちだけ受け取っておくね」


 日野くんは女の子たちと話をしながらこちらに視線を向けた。私も彼に顔を向けていたからばっちりと目が合ってしまう。


 どうしよう。あいつめっちゃ見てくるとか思われたら……でもそんなの慣れっこか。女子の皆……芽依菜ちゃん以外の皆は、ほぼ日野くんを見ているわけだし。


 感じの悪い印象は与えないよう注意をしつつ、彼の方向から周りへ自然と視線を移していく。そして少しずつ他の班を見ていって、あたかもクラス全員を見ている雰囲気を出しながら、最後にオーブンに顔を向けた。


 マフィンはむくむくと膨らみ、甘いチョコレートと香ばしいバターの香りが漂ってくる。


 幸い焦げたり縮んでいる様子もない。私は安心しながら傍の椅子に座った。


 オーブンの中のマフィンは芽依菜ちゃんの分もある。一人だけ食べるものを作るのと、誰かが食べるのはやっぱり責任が違うし。綺麗に焼けて嬉しい。このまま綺麗に焼けるといいな。


 椅子に座って完全に焼き上がるのを待っていると、オーブンからマフィンの焼き上がりを知らせる電子音が鳴った。


 早速取り出し、机の上にある金網に並べて冷ます。生地はふっくらと膨らみ濃い煉瓦色に焼け、チョコレートは角の方がとろけまた固まってきていた。


 私と芽依菜ちゃんが実習中に食べる用で一つずつ取って、後はラッピングだ。用意されていたビニールに一つずつマフィンを詰めていく。


 もし家で食べるのであれば、あまり砂糖を加えていない甘さ控えめのホイップクリームを作ってそれをつけて食べていたかもしれない。



「あの、五十嵐さん」


 マフィンのアレンジを考えつつ袋詰めをしていると、いつの間にか同じクラスの佐々木さんが私の前に立っていた。


「ん? どうしたの?」


 彼女は芽依菜ちゃんの席の最前列の子だ。華奢でぱっちり二重の可愛い子で「佐々木ちゃん」と呼ばれいつもクラスの女の子の視線を集めている。休み時間には自分のペンケースの見せ合いっこをしていて、お洒落な子だなあという印象だ。


 けれど私が一方的に知っているだけで、佐々木さんとは話をしたことが全くない。班も違うし何の話だろう。


「あの、良ければなんだけど、マフィン、一つ分けてくれないかな?」


 気まずそうに佐々木さんはさらさらの黒髪を垂らし、私に頭を下げた。


 ……もしかして、自分の分失敗して、何もないとか? 沢山食べたい! みたいなタイプには見えないし、自分の分で何か起きちゃったのかな。


 佐々木さんの班を見るとそこには誰もいなくて無人だった。皆日野君の周りに集まっているらしい。でも確かに焦げた臭い匂いは漂ってきているから、お菓子作りを任されて、そして失敗してしまったのかもしれない。


 だとしたら、すごく可哀想だ。上手く出来過ぎて独り占めしたいくらいだけど、一口も食べられないクラスメイトを放置するほど私は食欲の鬼じゃない。


「私ので良ければどうぞ」


 丁度包み終わったマフィンを佐々木さんに渡すと、彼女はほっと安心したような顔をして笑った。ふんわりした雰囲気で、見ているこちらも柔らかい気持ちになってくる。


「ありがとう、すっごく助かるよ」


「いいえ」


 佐々木さんは先程とは違うとても軽い足取りで自分の班へと戻っていった。人の役に立てたことで、私も満たされた気持ちになる。私を頼ってくれたのってもしかして私が作ったマフィン、美味しそうって思ってくれた……とか? だとしたら嬉しいなあ。


「瑞香ちゃん一人でさせちゃってごめんね……! 今洗い物するから……わ、綺麗に焼けてる……美味しそう!」


 誇らしい気持ちで自分の作ったマフィンを眺めていると、芽依菜ちゃんが戻って来た。彼女は佐々木さんの去っていく方向を見て、「どうしたの?」と首をかしげる。


「さっき佐々木さんがマフィン分けてって来たんだ」


「それでかぁ、あっちの班焦がしてたっぽいもんね。最初真木くんが何か燃やしちゃったかと思って、すっごくひやっとしたよー」


「さっき粉まみれになってたよね、お疲れ様」


「ありがとう、でも本当に良かった……火事にならなくて……」


 芽依菜ちゃんは弱々しく笑う。本当に、大変だったと思う。真木くんのほうを見ると、彼も疲れたようで机に頭を伏せていた。私は彼女の分のマフィンを手に取り、芽依菜ちゃんに差し出す。


「このマフィン食べて疲れ取って。甘いものは疲れにいいっていうから」


「ありがとう……! 大事に食べるね。……はぁいい匂い……!」


 マフィンを手に取って嬉しそうにする芽依菜ちゃん。やっぱり作ったものを人にあげたりするのっていいな。そう考えると献立を自由に出来ると言えど、一人で食べるのはしんどいかもしれない。


 それに色々制限も出来て完全な自由じゃないし。これからの時期は物が腐りやすいか

ら、また制限も増えるだろうし。


「瑞香ちゃん?」


 いつの間にかずっと私は考え込んでいたらしい。芽依菜ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込んでいて、私はすぐ首を横に振った。


「うん、食べてもらう人がいるのっていいなって。今うち親二人とも出張しててさ、家に私一人だから」


「そうなんだ、大変だね……。何か困ったことがあったら教えてね」


「ありがとう」


 お礼を言うと芽依菜ちゃんは優しく笑う。私たちはマフィンを食べる為、一緒に席に座った。うん。こんなにいい友達も出来たんだし大丈夫だ。寂しさは慣れるはず。今日は美味しいもの作って沢山食べよう。


 私はわくわくしながら焼けたマフィンを持ち、袋の包みを解いていったのだった。





 調理実習が無事成功した放課後、美味しいものを作って食べるぞと意気込み、帰宅を急いでいた私は窮地に陥っていた。


「それでね、日野くん」


 そう言って、アイドル顔負けの可愛らしい笑みを浮かべる佐々木さんの前には……日野くん。早く帰ろうと階段を下りていると、踊り場で佐々木さんと日野くんが何やら神妙な雰囲気で話す場に私は出くわしてしまったのだ。


 この階段は教室から遠いことで人気が無く、駆け下りやすいから絶対に速く帰れるルートだと思っていたのに。これじゃあ普通にタイムロスだ。スーパーのタイムセールが終わってしまう前に、早く材料買いに行きたいのに……。どうしよう、今から戻った方が早い? でも話がすぐ終わるなら、ここでちょっと待ってるほうが絶対に早いはず……。


 じっと気配を殺して待っていると、佐々木さんは鞄からマフィンを取り出した。


「このマフィン、日野くんの為に一生懸命焼いたの。事務所のこととか、あるかもしれないけど、良ければ食べてくれないかな……?」


 いじらしく、日野くんにマフィンを差し出す佐々木さん。その行動に私は頭が真っ白になった。彼女が差し出したマフィンは間違いなく私が焼いたものだ。あの焼き加減、色、膨らんだ感じからして絶対に私のマフィンだ。


 佐々木さんはあのマフィンを、自分で、自分で食べるんじゃなかったの……? 焦がしたのを渡したくなくて私のマフィンを……?


 次々浮かぶ彼女への不信感に悶々としていると、日野くんはマフィンを受け取った。事務所で手作りを貰うことを反対されているはずなのに。


「へぇ、すごい上手に出来てるね」


 彼は嬉しそうに微笑んでいる。佐々木さんとは、特別な関係なのだろうか。だとしたら私は余計この場にいてはいけないのでは……?


「今のうちに食べちゃおうかな。このマフィン、すごく美味しそうに出来てるし」 


 日野くんはそのまま袋を開けマフィンを取り出した。じっと見つめた後一口頬張って

頷きながらささやかに笑う。その表情にこの間とは違った違和感を感じた。なんか、きゅっと喉が詰まったような、胸のあたりが苦しいような。ぼーっとしているといつの間にか二人はいなくなっていて、私は急いで階段を駆け下りていった。



 その翌日。私は昇降口のベンチでお弁当を広げていた。今日のお昼は一人でだ。芽依菜ちゃんは真木くんが日直と言うことで手伝いに行っている。何となく人の多い食堂で食べる気にもなれなくて、お昼の場所を探し歩いていた私はここに辿り着いた。


 でも、なんだか箸が進まない。


 昨日は胸が苦しく頭がぼーっとして、スーパーのタイムセールに行くこともできず、うどんを茹でて、お肉屋さんで買って来たコロッケを乗せて食べただけだった。


 鰹出汁がしっかり効いたつゆに、からっと揚げられたコロッケを浸しつつ、うどんをすする。サクサクの衣と、じゃがいも、出汁ともちもちの麺が合ってとても美味しかった。


 普段は一玉しっかり食べて、足りなくて半玉追加するくらいなのに、昨日は半玉だけ茹でて充分足りた。


 というか、昨日は正直どうやって帰ったかすら記憶が無い。最早うどんを食べた記憶しかない。


 朝もぼーっとした気持ちが抜けることはなかった。卵焼きも焦がしかけてしまったし。

 私は溜息を吐いて、手元のお弁当を見つめる。


 今日のお弁当は青じそごはん、揚げ天と刻みわかめを入れた出汁巻き卵、アスパラの肉巻き、蒸したブロッコリーだ。おかずを足そうか悩んでやめたけど正解だったかもしれない。


 青じそは中華ドレッシングに漬けたものを刻んでご飯に混ぜ込んだ。出汁巻き卵はたぬきうどん風で、アスパラの肉巻きは隠し味にはちみつを入れている。いつも、美味しく食べているメニューだ。


 でも、箸が進まない。なんとなく昨日の日野くんの表情が浮かぶばかりだ。


 っていうかなんなんだろう。昨日、彼がマフィンを食べたときのあの顔は。悲願を達成したみたいな、心から嬉しそうな表情だった。菓子パンは無感動な、ただ手と口を動かしているだけの感じだったのに……。あの菓子パンが好きじゃなかったのかな。お箸をただ握っていると、不意に足元に横から影が伸びて来た。


 顔を上げていくと、そこにはすらりとしたモデルみたいな人――日野くんが立っていた。太陽の光を受ける髪はさらさらで、少し茶色がかった瞳が私を見下ろしている。


「五十嵐さん、隣座ってもいいかな?」

「え、え、ど、どうぞっ」


 日野くんの言葉に慌てながら、私は詰めて座り直す。彼は「ありがと」と大層甘い声で私の隣に座った。声もかっこいいなんて言われてたけど、確かに低すぎず高すぎない、いい声をしている。


 何なんだろう。私に用事があるのかな。提出物が出てなかったとか? 日野くんって委員会とか係何に入ってたっけ……? あれこれ原因を考えても何も浮かんでこない。私はそもそも彼の情報が少ない。恐る恐る様子を窺うと、彼は私に真剣な目を向けた。


「あのさ、五十嵐さんの時間、俺に売ってくれない?」

「へ」


 言われた言葉の意味が分からず絶句した。混乱しながら「ど、どういう?」と聞き返すと彼は私の弁当を指し示した。


「俺のお弁当、作ってほしいんだ」


「な、何で? ど、どういう話の流れ、で?」


「マフィン作ったよね。佐々木さんに」


 一切の躊躇いも迷いもない日野くんの言葉にまた驚いてしまった。あれ、もしかして私がマフィンを渡すところを見てたとか? それとも佐々木さんに直接聞いた?


「そのマフィン食べてさ。久しぶりに味がするものを食べたって言うか、もっと五十嵐さんの作ったもの食べたいと思ったんだ。それに色々事情もあって、どうしてもお昼作ってもらいたくて……」


「……事情?」


「うん。五十嵐さん食堂使ってるから、見たことあるよね。俺の周りがどうなってるか」


 そう言われて、彼の食堂での様子を思い出した。人に囲まれて、満足に食事が出来そうもない環境ではあった。普段の移動教室では、日野くんの周りに集まる女の子によって道が塞がれ廊下が通れない、なんてこともある。でもいまいちそのことと、私がお弁当を作るというのが繋がらない。


「……見たことはあるけど……」


「食券買うのとかも、すぐ人だかりができてほかの人の迷惑になるから選べないんだよね。いつも同じパン食べてて、外で買ってくるにも写真を求められたり勝手に動画撮られてっていうのがあってさ」


 確かに食券の券売機はいつも並んでいる。そこに人を伴ってしまったら邪魔になってしまう。だからパンをあんなに不味そうに食べてたのかと納得した。きっと日野くんは飽きてしまったのだろう。


「仕事上仕方ない、ってのはあるんだけど。……食事が苦痛になって来ててさ。そんな生活してる中で、五十嵐さんのマフィンを食べた時だけはただ美味しいって、幸せだって思えたんだ。だから五十嵐さんの時間を俺に買わせて欲しいんだ」


 彼は、じっと強い目で私を見る。

 食事は楽しいもののはずなのに。それに毎日三食だ。日に必ず苦しい想いをしなきゃいけないなんて辛すぎる。突拍子もない話だけれど彼のあまりの状況に私の心は決まった。


「まずお試しで一週間、お弁当作ってくれないかな。それで、どうしても負担に思えるようなら、断ってくれていいからさ」

「私でいいの……?」

「え、受けてくれるの?」


 日野くんは私の言葉に目を見開いた。頷くと、それまでどんよりしていた顔色が幻だったみたいにぱっと顔を明るくさせ、私の手をとった。


「本当! 嬉しい、ありがとう!」


「でっ、でも、凝ったものとか、全然出来ないよ? 本当に普通の感じのしか作れないし……」


「ううん。大丈夫だよ。いつも五十嵐さんが作ってるのでいいから。……あっ、お金は一日ずつ、先払いってことで。明日の分、今渡しちゃうね」


 彼は目を輝かせて封筒を取り出し、「はい!」と渡してきた。ここまで喜ばれて嬉しいと同時に、あまりの嬉しそうな様子に戸惑ってしまう。おずおずと封筒を受け取ると、彼は封筒を指で示した。


「使い捨ての箱代っていうの? お弁当の容器のお金も入れたけど、足りなかったら言って」


「え、っと、う、うん……」


「じゃあ、俺仕事だから、また明日昼休みここで落ち合お。またね」


「ば、ばいばい……」


 私が封筒を受け取るのを見計らって、彼は軽やかに立ち上がるとそのまま去っていく。校舎へ向かう背中を見送って、ふと冷静になった。


 日野くんに、ご飯を作る。


 食事が苦痛になったなんて聞いて、勢いで引き受けてしまったけれど。一体何を作ればいいんだろう。相手は、モデルで、ドラマなんかも出ている。こちらとは完全に世界が違う人だ。


 彼から渡された封筒を開くと、そこにはお札が一枚、ゼロが、四つの……。


「いちま……! ええええ?」


 中に入っていた金額に絶句した。これ、お年玉の金額だ。なにこれ、どうしよう、この金額。絶対におかしい。高級なフルコース料理とかの値段だ。でもそんなの作れない。明日のお弁当、何を作ればいいんだろう。というか、何で日野くんこんな金額をさらっと渡してきたの……?


 私は愕然とした気持ちになりながら、ただ茫然と金額のおかしな封筒を見つめていたのだった。


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