異世界へ行った過去なんて役に立ちません!
早乙女 蘭、西大学3年生。
私には、今、大きな夢がある
それはー
遊園地でキャピキャピ遊んで、
浜辺であはははって追いかけっこをして、
水族館できらきら海の生物をながめる。
私の憧れデートの数々…
「そうっ!今年こそ、今年こそは!!
彼氏つくるんだからっ!」
右手を拳にして力強く握りしめる
「蘭ーっ!!!聞いて聞いてー!!」
私の幼馴染で大親友
木藤 沙織
が猛ダッシュで向かってくる
「合コン!!やっとあんたのためにセッティングできたから!!」
満面の笑みで沙織は言う
「え!私のために!?ほんと??ねぇ、ほんとなの!?」
思わず私は沙織の肩をがんがん揺するのであった
「もう!!蘭、落ち着いてよ!」
沙織が私の手を止める
「あっ…ごめん…信じられなくて」
まあ、しょうがないかという顔で
「蘭の周りを囲んでた女子達はようやくみんな彼氏を捕まえたわけだから、もう当分あんたにひっついてこないでしょ。理想像押し付けられるのも終わり!自分の彼氏捕まえにいくよ!!」
「沙織〜!!ほんとありがとね!!」
潤んだ目で私は沙織に感謝を伝えるのであった。
なぜ、女子に囲まれるようになったのか
なぜ、彼氏ができなかったのか
少し過去を振り返ろう
彼氏いない歴=年齢の私だけど
高校2年生まではモテない訳ではなかった。
くるんとカールした茶髪に、ぱっちり二重、身長体重は平均的で、性格に難がある訳でもない。
告白されることだって度々あった。
モテない訳ではない、これから先、本当に好きな人ときっと付き合えるんだろう
今思えば、自分はモテる方なんだ、
そんな変な自信があったのかもしれない
この時の自分が今は、ものすごくものすごく、憎い
自分の未来図に異変が起きたのは、あの時だった
高校二年生の夏
私は異世界に行っていった。
そこはまるでゲームの世界
魔王を倒すまで永遠に終わらない世界
王様に呼び出された私たち5人は魔王討伐を命令される。
女は私1人だった。
そして魔王を倒す伝説の剣が使えるのも私だけだった。
どこかでジョブを間違われたらしい、
4人の男の子は格闘家、僧侶、賢者、踊り子となり、そして私が勇者となってしまった。
何度も何度もループして力をつけ私たちは現実の世界へ戻れることになった。
夢だったのだろうか、そんなことを思っていった。
だが目が覚め現実へ戻った日
あり得ないことに、あの時鍛えあげた力が現実に付与されていることがわかった。
正直いらない…
いらないのだ…
剣を振り回して鍛えた腕力も、
重いものが持てるよ♡
攻撃を避けるために鍛えた脚力も、
100メートル走世界記録更新よ♡
いらない、いらないの…
女子高生には不必要なんじゃーっ!!!!
ついたあだ名は王子様
今日は合コン、素敵な殿方とエンカウントする日!
1人と目が合う。
どこかで見たことあるような…
向こうも似たようなことを考えているのだろう
会った気がする、どこかで、でもはっきりと思い出せない。
遅れてやってきた。
顔を上げた瞬間、気づく
そのキラッキラの瞳に、星が飛ぶウィンク、世の女性を魅了するであろう顔面
踊り子じゃんっ!!!
向こうも気づいたようだ。
「久しぶり!!うわーっ、本当に本当に現実で会えるなんて夢かと思う!」
「な!ほんとに!」
合コンにいたのは現実世界に戻った踊り子と賢者だった。
踊り子と賢者は元の世界に戻ってから大学で再会したのだとか。
聞けば格闘家と僧侶とも2人は再会を果たしているらしい。
「次の休みにみんなでまた会おう!!!」
また、あのパーティのみんなと再会できるなんて…
こんなに嬉しいことはないな!
勇者の喜びようとは裏腹に賢者と踊り子は
静かににらみ合っていた。
あの時、最後の魔王戦の時、パーティ皆が彼女に落ちた。
恋に落ちた。
現実でもし出会えたのなら、この気持ちを伝えよう
皆が考えていた
彼女の唯一の特別な人になるため、
新たな戦いが始まろうとしていた…
そんな戦いが起こるなんて思ってもみない勇者ときたら
彼氏っていうか、うーん、みんなのことはほんとに親友以上、大切な大切な仲間たち、
付き合うとかそういうので崩れたくないし、崩したくない思い出なんだよな
イコールパーティの誰かと付き合うとかないわ!
ないない!!!
早くいい人と出会えないかなー
「あ!沙織!!
次の合コンなんだけどさ!」




