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第5話 『チュートリアル終了』

 俺はさっき死んだみたいだ。

 結局、スモールオークのドロップアイテムは拾えなかった。

 目覚めた場所は見覚えのある道だった。

 うむ。あの地獄の道のりをもう一度歩くことにはならないみたい。幸い、スモールオークの生息地点から三百メートルというところか。


 スモールオーク一体分の経験値は消え、所持金はゼロのままだ。

 まだデスペナルティによる大きなショックは受けない。

 しかし、チュートリアルの時点で死んだことに関してはショックが大きいようだ。


「惜しいところまで行ったのですけれど……」

「そう……だな……」


 と、美少女精霊が横から入るように囁いた。

 余計なお世話だ。

 美少女精霊には非がないので黙っておくことにする。


 俺はメニュー画面と頭で念じてみる。と、空間ウィンドウが表示された。

 《クエスト》、《チュートリアル》の順に操作を進める。

 





【クエスト】


『チュートリアルクエスト』

スモールオーク(1/3)


・報酬

経験値150 

1500ソナー

初心者装備セット一式

銅の剣

HP回復ポーション(小)×10

MP回復ポーション(小)×10






 おっ、スモールオークは一体倒したことになっているようだ。

 死んだとはいえ、一体倒しただけでも少し嬉しい。俺でも倒せるのだと。

 そう考えると初心を擽った。


 ついでにステータスも確認しておこうか。





【ステータス】


ナンバハルヒト ♂ 20歳

職業:遊び人(ドリーマー) 


・Lv1

HP 1/1

MP 70/100

EXP 0/100


攻撃:50

防御:50

速度:50

幸運:10




  

 やはり、MPは回復していないのか。

 〝無敵バースト″スキルの消費MP分が減っていた。

 となると、あと二回しか使えなくなるのか。

 ついでに、一定時間の長さも分かったことだし、


 ――十秒。


 この間無敵状態になることができるのだ。それに、次のスキル使用までのクールタイムが十秒。

 連続で同じスキルが使えるだとか上手くいかないのであろう。


 よし行くか。




   *




 スモールオークの生息地点にやってきた。

 スモールオークは二体。仲間は呼んでいないようだ。

 美少女精霊が弱い魔物と言っていただけはある。その魔物に命を落とされたのは誰だったであろうか。


 一対一ならなんとか勝てそうだ。

 さすがの俺も前回の反省点を生かし、木の陰に隠れていた。

 二体のうち、一体は不意打ちで一気に片付けよう。〝無敵バースト″を使うのはそれからだ。


 スモールオークが俺に背を向けた。

 俺は木の剣を構える。


 ――今だ。


「破ッ!」


 木の陰から勢いよく飛び出し、スモールオークの背中を木の剣で一気に開いた。

 ――グシャァァァァァッ!

 残酷な緑の血飛沫が俺の顔にかかる。どうにかならないものかね。


 そうだ。


「〝無敵バースト″ォォォォォォォォ!」


 スキル名の詠唱が終わると、体が赤い魔力(マナ)で覆われる。

 力が漲る予感。


 残すは一体。


 スモールオークは左手に石の盾を、右手に鉄槌を構える。

 俺は木の剣を突き刺すように突進させると、スモールオークは華麗にしゃがみ、かわしやがった。


 ――が、これは俺が予想していたことだ。もらった。


 俺はその場で高く飛び上がると、木の剣でスモールオークの脳天をぶっさしてやった。

 フェイント成功、これではスキル使う必要性なかったな。


 木の剣を突き刺したまま、剣の軸をひねり、一気にスモールオークを真っ二つに切断する。


 飛び散る血飛沫にも慣れてきた頃合だ。


「GUUUUU……」


 この声は。

 スモールオークの声――。どこからだ。


「ハルヒト様! 足元を見てください!」


 足元だと。

 と、そこには匍匐前進で向かってくるスモールオークが一体。背中の傷から、先程、不意打ちで倒したと思われるスモールオークだった。

 

「くっ、なんだこいつ!」

 

 スモールオークは俺の足をぐっと掴んでくる。

 俺は何度も何度もそいつの脳天を木の剣で貫いた。

 ――意識を失うまで、何度も、何度も……。

 

 スモールオークは意識を失い、大気の魔力(マナ)となって消滅した。 


 危なかった。無敵スキルの効果も切れていたせいか、攻撃を受けてしまうと思うと――背中に悪寒が走る。


 お、ドロップアイテムだ。





『スモールオークの腹肉×1 80ソナー』

『スモールオークの腹肉×1 70ソナ―』




 

 二つの空間ウィンドウとも『〇』をタッチし、スモールオークの腹肉二個と150ソナーを拾った。

 メニュー画面を念じて《アイテム》を開くと、確かにスモールオークの腹肉はアイテムスロットに埋められていた。右下には150ソナーと所持金が表示されている。

 獲得経験値を確認する為、《ステータス》もついでに開いてみる。





 【ステータス】


ナンバハルヒト ♂ 20歳

職業:遊び人(ドリーマー) 


・Lv1

HP 1/1

MP 40/100

EXP 80/100


攻撃:50

防御:50

速度:50

幸運:10





 あと少しでレベルアップだ。 

 恐らく美少女精霊にこのクエストを報告すればレベルは上がるだろう。

 

「クエストを見せてください」


 美少女精霊に言われるがままに俺はクエストを提示した。





【クエスト】


『チュートリアルクエスト』

スモールオーク(3/3)


・報酬

経験値150 

1500ソナー

初心者装備セット一式

銅の剣

HP回復ポーション(小)×10

MP回復ポーション(小)×10





「確かにスモールオーク三体倒しています」


 いや、あなた見てたでしょ――とツッコミたくなる。


「ではハルヒト様に報酬を送ります」

 

 美少女精霊が一つの魔力(マナ)のオーブを出現させ、俺の体に入り込ませた。

 なんだこれ、力が溢れてくる――! 

 これがレベルアップというものか。





【ステータス】


ナンバハルヒト ♂ 20歳

職業:遊び人(ドリーマー) 


・Lv2

HP 1/1(+0)

MP 120/120(+20)

EXP 130/200


攻撃:60(+10)

防御:60(+10)

速度:60(+10)

幸運:20(+10)





 レベルがあがってらあ。

 相変わらずHPは1のまま変わっていない。ずっとこのままなのかこれ。

 とりあえずレベル100まではいってみたいとか思った。


「レベルアップおめでとうございます」

「どうも」

「チュートリアルはこれにて終了です。ハルヒト様のご検討を祈ります。そちらのワープポータルからベルクの街にワープできます。お疲れさまでした」


 チュートリアルにはとりあえずクリアした。

 しかし、これでこの美少女精霊とお別れとなると少し勿体ない気もする。

 この子はNPCでも普通に意志がある。

 それに俺の(架空の)嫁リリィちゃんと同じ素質を持っている。


「なあ、精霊さん」

「なんでしょう」


 俺は美少女精霊を手招きする。

 美少女精霊が近づいてくると、同時に美少女精霊の手を引いた。


「えっ、ちょっ!」




「お前も一緒に来い!」




 俺は美少女精霊と共にワープポータルへ飛び込んだ。

『チュートリアル』篇完結となりました。

次回より難波晴人の冒険者としての始まりが始まります。(?)



【付録;現在の晴人の状況】

ナンバハルヒト ♂ 20歳

職業:遊び人ドリーマー 


・Lv2

HP 1/1

MP 120/120

EXP 130/200


攻撃:60

防御:60

速度:60

幸運:20


スキル

〝無敵バースト″

 消費MP30 一定時間攻撃無効化


装備

 木の剣


アイテム

 スモールオークの腹肉×2

 初心者装備セット一式

 銅の剣

 HP回復ポーション(小)×10

 MP回復ポーション(小)×10


所持金:1650ソナー

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