ギルド、シルバーバード
グレンの背中の上で会話をしていると、気が付いたらもうすでに街にまで戻っていた。
あの会話だけで1時間ほど経過するとは思わなかったな。
「よし、それじゃあ、皆、グレンの背中から降りてくれ」
「分かった」
俺達は勇次の言ったとおり、グレンの背から降りた。
「よし、ありがとうな、グレン」
「ぐるぅ・・・」
「よしよそ、後はこの檻の中で休んでくれ」
「がう」
グレンは勇次が開けてた檻の中に入り、その中で休み始めた。
「それじゃあ、ギルドの方に行きましょうか」
「そうですね」
そして、俺達はギルドの前までやって来た。
「がう」「済まないが、もう一度娘に合わせてくれ」
「勿論会わせるさ」
「がう」「そうか、では私はここで待っている、娘を連れてきてくれ」
「何でだ? 中に入れば普通に会えるのに」
「がうぁ」「私はその中には入らん、だから、娘を連れてきてくれ」
「そうか、分かったぜ、修介はそいつの近くにいてくれ」
「私もここに居るよ、私が離れちゃったらシルスの言葉分からないでしょ?」
「そうだな」
勇次達はギルド内に戻っていった。
しかし、あいつ、結構走っていたな。
「おい、あんた、良いペットじゃ無いか」
「ん?」
俺が勇次を待っていると、何処かの誰かが俺に話しかけてきた。
「何だ? あんたは」
「俺か? 俺はビーストテイマーの隼って言うんだ」
「あぁ、そうかい、それで? 何で俺に話しかけたんだ?」
「俺な、居ないんだよね、相棒が、だからよ、そこの狼と頭の上の妖精、後、そのガキを俺にくれない?」
「はぁ? 馬鹿なのか? 誰がそんなわけ分からん申し出を受けるかよ」
「何だって? 俺はシルバーバードの人間だぜ? 言う事を聞いた方が身のためだぞ?」
シルバーバード? そんなギルド、聞いたことがないな。
まぁ、そもそも他のギルドなんて興味ないし。
「知ったこっちゃ無いね」
「じゃあ、痛い目見やがれ!」
そう言うと、男は俺に殴りかかってきた。
何というか、こっちの世界にも結構活気がある奴が居るんだな。
でも、正直この活気は悪い方だけどな。
「おっと」
「この!」
俺はその男の攻撃を少し後ろに下がって回避した、モンスターの攻撃を回避するよりは楽だな。
しかし、いきなり殴りかかるなんて、喧嘩っ早い奴だ。
「変な事はしないでね」
「な! がふ!」
そして、俺が回避すると同時に、真野がその男の腹を少し強めに殴打した。
その一撃で男は悶絶、その場に倒れ込んだ。
「こ・・・このガキ!」
「大人しく帰れ」
「ち・・・畜生が! シルバーバードに喧嘩売りやがって! 後悔するぞ!」
「喧嘩を売ってきたのはお前だろうが、間抜け」
「畜生が!」
男はそう言い残すと、何処かに走って行った。
そして、少しして、勇次がチャチャを連れて、戻ってきた。
「連れてきたぞ」
「ワン」「お母さん、どうしたの?」
「がう」「あぁ、実は話したいことがあってな」
「くぅん?」「話したいこと? 何?」
「がう」「実は、私もそいつらに協力することにしたんだ、だが、私も群れの長、ずっとこやつらと
共に行動することは出来ない」
「わん」「そうだよね、お母さん、忙しいから」
「がうぁ」「だから、私を呼ぶときに、お前が大きな声で呼んでくれ、そうすれば私の耳にも聞える」
「わん!」「分かった! ご主人様達がお母さんに来て欲しいって言ったときに呼べば良いんだね!」
「がう」「そういうことだ、頼んだぞ」
なるほどな、チャチャがシルスを呼ぶときに叫んでくれるのか。
「そうか、じゃあ、今度からはチャチャも一緒に冒険しないとな」
「ワン! ワン!」「やった! 今度からご主人様達と一緒に行動できるんだ!」
チャチャはかなり嬉しいのか、何度か宙返りをした。
やっぱりシルフの娘ってだけあって結構運動能力高いんだな。
「がう」「それではお前達、私は帰ろうと思う、奴らも待っているからな」
「がらぁ!」「でも、分かっているな! 娘に何かがあったら容赦しないぞ!」
「わ、分かってるって、娘さんは俺達が責任を持って育てるからよ」
「がう」「良いだろう、では、また会おう」
シルフはそう良い残し、街から去って行った。
何というか、頼りになる奴が仲間になってくれたな。
「よし、それじゃあ、チャチャ、帰るぞ」
「ワン!」「うん!」
そして、俺達はギルド内に入っていった。
しかし、さっきの男が言っていたシルバーバードってのは何だろうか・・・
そうだな、りえるさんに聞いてみるか。
「りえるさん、聞きたいことがあるんですけど」
「何かしら?」
「シルバーバードって言うギルド知ってます?」
「し、シルバーバード? ごめんなさい、私はギルドに関心が無かったから知らないわ」
「そうですか」
うーん、りえるさんも知らないのか・・・じゃあ、他にそう言う情報に明るそうな奴は・・・
そうだ、クロナだ、あいつなら何か知っていそうだしな。
でも、クロナは何処に行ったんだろうか、俺達が出たときに民間ギルドに情報を貰いに行ったっけ。
じゃあ、そこまでいって話を聞いてみるか。
俺は取りあえず、民間ギルドの場所に移動した。
「誰か居ますか?」
「はい、あぁ、修介さん、どうしました?」
俺が民間ギルドに行くと、グロウブさんが俺を迎えてくれた。
「実は聞きたいことがあって」
「何でしょう?」
「シルバーバードってキルドの事を」
「ふむ、あなた達探検家のギルドの事ですね」
「そう」
「では、クロナを呼びます、あなた達探検家のギルドについてはあの子の方がよく知っていますからね」
「ありがとう」
「では、少しお待ち下さい」
グロウブさんは一旦、奥の方に戻り、クロナの名前を何度か叫んだ。
すると、クロナの声が聞えてきて、クロナが出てきた。
「修介さん、と言う事はホーリーアップルは戻ってきたんですね」
「あぁ、皆戻ってきている」
「じゃあ、私もホーリーアップルに行きます!」
「あぁ、分かった」
「それでは、グロウブさん、私、またホーリーアップルに戻っていますね」
「あぁ、分かった」
「それじゃあ、行きましょう!」
俺はクロナと一緒にホーリーアップルに戻った。
すぐに聞けば良かったんだろうが、どうせなら皆で聞いた方が良いと思ってギルドに戻るまで聞かなかった
「修介君、クロナを連れてきたのね」
「はい、本当は聞きたいことを聞きに行ったんですけどね」
「あぁ、さっき私に聞いてきたシルバーバードの話ね」
「シルバーバード? そんな召喚獣居そうですよね」
りえるさんの言葉に、明美が反応した。
確かに何かそんな召喚獣がいそうだよな。
「シルバーバードは召喚獣じゃ無いんだ、確かにそれっぽいが、ギルドの名前らしい」
「シルバーバードですか・・・あのギルドかな」
「知ってるのか?」
「はい、勿論です、と言うか、かなり有名ですよ? 皆さんは知らなかったんですか?」
「あぁ、基本的に街にいないし、俺達は」
「私は興味が無かったからね」
「私も知りませんでした・・・」
「それじゃあ、話しますね、シルバーバードについて」
シルバーバード、結構有名なのか・・・気になるな。
一体、なんで有名なのかも気になるし。
「シルバーバードは結構な極悪ギルドですよ」
「極悪ギルド? そんなのが居るの?」
「はい、最近出来たギルドらしいんですけど、かなり暴走しているギルドです」
「本当? どんなことをしたの?」
「それも全部話しますね、結構情報集めているので」
暴走しているギルドか・・・それに、極悪ってよっぽどだな。
一体、どんな悪行をしたのか、気になるな。
しかし、クロナに聞いたのは正解だったな。




