りえるチーム、蜘蛛型モンスターの襲撃
あの巨大な蜘蛛・・・あんなモンスターは見たことがない。
だから、行動パターンも分からないし、情報も不明・・・
分かっているのは蜘蛛型のモンスターと行動パターンが似ていると思われる事だけ。
正確な情報にはならないでしょうけど、大まかの動きを予想することは出来るはず!
「きしゃぁ!」
「わぁ! い、糸!?」
あの蜘蛛型のモンスターは愛ちゃんに向って蜘蛛の糸を飛ばしてきた。
やっぱり蜘蛛型のモンスターって訳ね、蜘蛛の糸での先制攻撃!
「きしゃぁ!」
「わぁ! う、動けないぃ!」
蜘蛛が愛ちゃんに飛びかかった! まずいわ、拘束されてる以上、回避も防御も出来ない!
「この!{トリプルショット}」
「きしゃぁ!」
蜘蛛は私の攻撃を蜘蛛の糸を細かく編んだ網でそれを防ぎ、弾いた!
この動きもヒューマン・イーターと同じ様ね・・・やっぱり注意を何処かに惹きつけないと、防がれる。
「お腹が、がら空き!」
「ぐぎゃ!」
「ナイスよ!」
水尾の隙を突いた的確な一撃は、あの蜘蛛型モンスターの腹に完全に入った。
その威力の高さは、あの蜘蛛のぶっ飛んだ高さで分かる。
「ぎしゃぁ!」
「うわぁ!」
だけど、素早く糸を飛ばし、すぐに体勢を立て直した。
頭が良いわね、やっぱり蜘蛛は面倒な物よ。
それにしても、愛ちゃんはまだ拘束から抜け出せないのかしら?
「愛ちゃん! まだ抜け出せそうに無い!?」
「う・・・か、体に力が・・・うぅ・・・」
「まさか!?」
私は愛ちゃんの状態を確認してみた、そして、分かったことは
愛ちゃんは今、衰弱状態! あの蜘蛛の糸! 異常状態にするっての!?
それも、衰弱なんて・・・最悪の組み合わせじゃ無いのよ!
あの糸は少しだけどダメージを与える・・・それで衰弱状態は最大HP、攻撃力、精神力を奪う!
あの糸を振りほどく為の数値は攻撃力! 防御は精神力! 最悪ね!
「最悪の組み合わせを・・・水尾! ナイフとか無いかしら!?」
「そんなのないよ!」
「きしゃぁ!」
「また来る!{パワーショット}」
「きしゃ!」
またネット! く! このままだと近寄れないわ・・・
愛ちゃんのHPはゆっくりとだけど確実に減ってきている!
最大HPも減ってる以上、あまり時間は掛けられない!
でも、私が接近しても、攻撃される!
「どうする・・・どうすれば良い・・・」
「我々に任せろ! あの子の糸を切れば良いんだろう!」
私達が危機的状況になっているのに気が付いたのか、兵士達が動き始めた。
「確かにあの糸を切れれば良いわ、でも、あなた達は危ないんじゃ!」
「構わん! 我々は兵士になった時にもう命は捨てた!」
兵士達はそう言うと、一斉にあの蜘蛛に突撃していった!
NPCは私達とは違って復活できない! 私達も復活できる数に限度はあるけど、復活は出来る!
だけど、あの人達は・・・だけど、いま、この状態で頼れるのはあの人達だけ!
「きしゃぁ!」
「来るぞ!」
「援護するわ!{チャージショット}」
「きしゃ!」
「逃さないよ!」
「くしゃぁ!」
「えぇ!?]
あの蜘蛛! 蜘蛛の糸で反撃できないって分かって、お腹から子どもを出して水尾に攻撃した!
「うわぁ!」
水尾はその蜘蛛の子どもを回避するために後ろに飛んだ。
そして、蜘蛛はそのすきに、水尾に向って糸を飛ばした。
「あぁ! し、しまった!」
その糸を回避することが出来ずに、水尾はその糸に捕まってしまった!
これじゃあ、あの子も愛ちゃんと同じ様に衰弱状態になる!
「くぅ・・・こ、こんなの・・・」
「不味いわ・・・リエ! そこで頭を抱えてる場合じゃ無いわよ!」
「で、でも、姉ちゃん、私、蜘蛛だけは・・・蜘蛛だけはどうしても駄目なの・・・
ゴキブリとかならまだ良いんだけど・・・蜘蛛だけはぁ!」
「仲間がピンチなのよ! あなたの力が必要! 私達だけじゃ勝てない!」
「うぅ・・・う・・・うぅ!・・・む、無理・・・無理だよ・・・」
この子の蜘蛛嫌いは本当に筋金入りね! でも、何とか説得しないと・・・状況は悪くなる一方!
「さっさとしなさい! 命が掛かってるのよ! 嫌いなもんの為に! 大切な物を捨てんな!」
「くぅ・・・くぅ・・・く・・・うぅ! わ、分かった! 分かったよ! やるよ!」
よし! これで何とか状況を打破する手が打てる!
「まずはファイアーバレット!」
「分かった!{ファイアーバレット}」
これで私の弾丸に炎の力が宿る・・・炎を纏わせればあの蜘蛛の糸をぶち抜ける可能性がある!
「次! オールヒール」
「うん!{オールヒール}」
これで愛ちゃんの回復をする・・・そうすれば、まだ助かる可能性がある。
「次にマナエネミー」
「了解{マナエネミー}」
これで手数確保、これで何とか注意を逸らす。
「一気に行くわ!{バレットパーティー}{パーフェクトスナイパー}」
もう、SP消費は気にしては居られない! 相手は1体だ 最高火力を叩き込む!
「これからラッシュを掛ける! ストックで援護して!」
「任せてよ・・・援護する・・・」
「行くわよ!{トリプルスナイパー}{ダブルパワーショット}{ボムショット}」
「ぎしゃぁ!」
もう、消費は気にしては居られない! 消費SPがもの凄く高い攻撃を出しまくる!
「きしゃぁ!」
「無駄よ! 炎を纏った私の弾丸は! あなたの網をぶち抜く!」
「ぎ、ぎしゃぁ!」
何発も何発もぶっ放した弾丸は、網を貫き、何発も何発も蜘蛛に当った。
その威力は相当な物! 単体相手なら! 仕留めきれない物は無い!
「私達を舐めるなぁ!」
「ぐ・・・ぎ・・・」
私とリエのSPとMPを全部使った攻撃は完全に蜘蛛を仕留めた。
「や、やったわ・・・」
「あ、あはは、やったね・・・」
撃破したのは純粋に嬉しいんだけど・・・やっぱりSP全部は厳しいわね・・・
あ、足がガクガクして立てなくなっちゃったわ・・・
それはリエも同じね・・・衰弱状態って、こんな感じなんでしょう・・・
「おい、お前さん達、大丈夫か?」
「はぁ、はぁ、だ、大丈夫・・・・・・あたし、何も活躍できなかった・・・」
「うー、何だか体がだるいな・・・」
「あぁ、リエ先輩・・・りえる先輩!」
あ、愛ちゃんと水尾ちゃん、良かったわ、間に合ったようね・・・
「良かったわ・・・無事で・・・」
「ごめんなさい・・・あたし、何も役に立てなくて・・・」
「気にしないで・・・相性が悪かっただけよ・・・」
あの蜘蛛は間違いなく愛ちゃんよりも修介君の方が相性が良いわね・・・
回避が得意な修介君、守りが頑強な愛ちゃん、あの蜘蛛は守っても糸が絡まってくるから
愛ちゃんとの相性は悪い・・・ああなるのは、回避できなかったことなのかも知れないわね・・・
「2人とも大丈夫? 顔色悪いよ?」
「大丈夫・・・疲れただけ・・・」
「なら良かった」
でも、何がともあれ、これで問題は解決ね・・・あの蜘蛛は子どもとかもう出さないのかしら・・・
「ぎぶしゃぁ・・・」
「うわぁ! 何か出したぞ!」
「応戦しろ!」
「突っ込んでくるだけだ! 冷静に対処すれば敵では無い!」
「分かったぞ!」
子ども、やっぱり出すのね、でも、ヒューマン・イーターの子どもよりは弱いみたいね・・・
兵士達だけで簡単に倒せるレベルだし・・・じゃあ、私達は少し休もうかしら・・・
「ぐごごあがらぁ!」
「くぅ! な、何!?」
「何だ! あの大きな化け物は!?」
国の近くの森の方から、大きな化け物が姿を現した・・・
体は真っ黒・・・長い尻尾で、直立で立っている・・・
あ、あんなモンスター・・・見たことがない!
さっきの蜘蛛と言い、1体どうなってるのよ!
「不味い・・・今の状態だったら・・・勝てない!」
「もしかしたら、修介先輩達が来るかも知れない・・・ここはあたしが何とか時間を稼ぐ!」
「無茶よ! 大きすぎる!」
「前衛は仲間を守る盾! 守ってみせる! 今度こそ!」
「愛ちゃん!」
愛ちゃんは盾を握りしめ、その大きなモンスターの前にまで走っていった。
こ、こうなったら、多少無茶をしても・・・あの子の援護をしないと!
「掛かってこい!{ビッグウォール}」
「ぐがぁらぁ!」
「ぐあぅ!」
「愛ちゃん!」
あの大きなモンスターの攻撃を、愛ちゃんは盾で凌いだ。
だけど、モンスターの攻撃はもの凄く苛烈だ!
「くぅ! う! ぐぅ!」
「愛ちゃん! 下がりなさい!」
「下がってたまるかぁ!{ホーリースタンス}」
「がらぁ!」
「くぁう・・・ぐ、くぅ!」
「リエ! 回復できる!?」
「待ってて・・・今、MPを回復してる!」
マナチャージは結構時間が掛かる・・・だけど、このままだと愛ちゃんが持たない!
狙い撃とうとしても・・・SPがないせいで狙いが定まらない・・・
「よし、回復{ヒール}」
何とかヒールで愛ちゃんのHPを回復させたけど・・・あまり回復はしない・・・
回復しても、すぐに体力が奪われてる・・・どうすれば良いの!
「私が攻撃する!」
水尾があのモンスターに接近して、攻撃を始めたけど、あまり応えてはいないようだ・・・
あの感じ・・・あのモンスターは恐らく防御特化型・・・水尾には厳しい!
「はぁ、はぁ、ぐぅ!」
愛ちゃんのHPも残り僅か・・・このままじゃあ、愛ちゃんが死ぬ!
「うおぉぉ!」
愛ちゃんに最後の攻撃が当りそうになった直前、白い影が見えた。
その影はもの凄い速さで大きなモンスターに接近していった。
「食らいやがれ!{焔斬り}」
「ぐがぁ!」
あの攻撃は・・・間違いない! 修介君!
修介君の攻撃を受けたモンスターは後方にのけぞった!
やっぱりとんでもないわね!
「良っけぇ! グレン!{体当たり}」
「がらぁ!」
「ぐが!」
そして、のけぞった場所に、グレンの体当たり! と言う事は勇次君! いや、皆・・・皆来たわ!
「どんなモンスターかは知らんが・・・」
「俺達が来んだ、もうこれ以上は暴れねーぜ!」
「ぐらぁ!」
「なんでりえるさんがここに居るかは分かりませんが、指示をお願いしますね!」
「分かったわ、任せなさい!」
見えていたのね、あの一瞬で・・・流石の動体視力・・・
ふふ、まぁ、この状況なら勝てる可能性があるわ!
この状況、何が何でも打破してみせる!




