第2のダンジョンの最奥へ
今回のお話は少しホラー要素を用意しました。
ただ、ホラーと言っても気持ち悪いだけだと思いますが。
それでは、ご覧ください!
かなり面倒だった大型の魔物、レイジホムンクルス。
その魔物を撃破し、俺達は更に奥地に進んでいった。
あれがボスじゃ無くってかなりショックだったが、まぁ、それは良いだろう。
俺達は更に奥地、まるで血のような液体が散乱している場所に居る。
「なんだよ、まるでホラーだな」
「そうよ、このダンジョンは結構なホラーダンジョン、たまにあるのよ」
「あ、あの、私は怖いの苦手なんですけど」
明美は少し震えた声でそう言った。
まぁ、ホラー嫌いにはこの場所は恐ろしいだろうな。
赤黒い液体、たまに化け物の声が聞こえたりだからな。
「まぁ、こんな場所はホラー嫌いには恐ろしいだろうな」
勇次は軽く明美を挑発している。
そんなんだから嫌われるんだろうに。
「あ、そういえばここのボスは恐キモいわよ」
「う、ん、かなり、怖いって、噂」
「それも画面越しでね、それが今は生で見るのよ、この場所も予想以上に臭いしね」
「風呂を求めて臭い場所に行くってのも変な話ですね」
「なぁ、お手軽な場所がここしか無かったし」
「全然お手軽じゃありませんよ!」
この場所の臭いは非常に強烈で、まるで腐敗臭って奴の様だ。
こんなに臭いとは思わなかった。
まぁ、進むしか無いが。
しばらく歩くと、ここ以外の場所からベチャ、ベチャという足音のような音が聞こえてきた。
「何だ?」
「きっとここのモンスターね、警戒しましょう」
俺達はピチャ、ピチャと出来るだけ足音を立てないようにして、近寄った。
「そこか!」
俺は足音がした場所を見てみたが、そこには何も無かった。
「あれ?ここじゃ無いのか?」
「警戒しなさい、ここのモンスターは奇襲が得意よ」
「奇襲ですか・・・まさか!」
「キシャーーー!!!」
俺が明美達の場所の上を振り向くと、そこには天井からぶら下がっている化け物が居た。
「きゃーーーー!!!」
「この!」
俺は明美に飛びかかってきたモンスターに一気に近寄り、その化け物を攻撃した。
そいつに攻撃したときの感触は非常に奇妙だった。
生き物と言うには柔らかすぎる、普通はここまで柔らかかったら動けないはずだ。
「明美ちゃん!大丈夫!?」
「は、はい、大丈夫です」
「勇次、援護頼む!」
「任せな!」
「キシャーーー!!!」
気持ち悪いモンスターが結構な勢いで突撃してきた、そして、ある程度近寄ったときに
こいつの姿をハッキリと視認することが出来た、そいつの顔には気持ち悪い卵が見えた。
こんな奴をリアルに見ると、本当に気持ちが悪い!
「キシャーーー!」
「うわ!」
あのモンスターは顔にあった気持ちが悪い卵をこっちに飛ばしてきた。
俺と勇次は焦って身を引き、攻撃を回避できたが、その避けた卵がウネウネ動いているのを見ると
軽く吐き気がする、誰だ!こんな気持ち悪いモンスターを考えた奴は!
「気をつけなさい、このモンスターは拘束した相手に卵を植え付けるって言う
恐ろしく気持ち悪いモンスターよ!」
「マジっすか!じゃあ、速攻で潰さないと!おら!」
「くしゃ!」
攻撃して吹き飛ばすと、あのモンスターは周囲に卵をまき散らして吹き飛んでいった。
キモすぎて笑えない、こんな化け物を間近で見る羽目になるとか、最悪だ。
「キモっちぃ!遠距離で潰すか!「バインドナイフ」これで痺れな!」
勇次の投げたバインドナイフはあのキモいモンスターに見事着弾した。
それにより、あのモンスターの動きが止まった。
「チャン、ス!「フォース」吹き、飛んで!」
「ぎあぁぁぁ!!」
リエさんが放ったフォースがあのモンスターに直撃した。
すると、モンスターは爆散し、周囲に卵という置き土産を置いていった。
距離があったお陰で、俺達には当らなかったが、もしも、近距離で潰してたらと思うと・・・
俺は鳥肌が立ちまくった、これがゾッとするって感覚だろう。
「ふぅ、良かったわ、あれ食らうと寄生状態になるのよね」
「何ッスかそれ!すげー怖いんスけど!!」
「異常状態を直すには特別な薬が必要だし、もし治さなかったら大ダメージを食らうわ」
「ど、どんな風にですか?」
「聞きたい?」
「いえ、遠慮しときます」
少し気になったが、聞きたい?なんて聞かれると、ぜってぇえぐいに決まってる。
大体、寄生なんて言う恐ろしい異常状態でのダメージがエグくないはずがない。
「それと、主に力が弱い人間を狙うの、その力は攻撃力ね」
「何でですか?」
「自分がやられる危険が少ないからよ、当然よね」
何か、000ハザードで出てきそうな化け物だ。
きっと、このゲームを作った人が、その作品に影響を受けたんだろう。
「あ、あの、もう帰りません?もう限界なんですけど」
「うーん、でも、あと少しで最奥なのよね、それに、ボスを倒さなかったらあのキモいのが
戻ってる間にいくらでも湧くし」
「ど、どちらにしても奥に行くしかないんですね」
「そうよ、戻ろうがあのキモいのが来るからね」
最悪だ、せめてこの場所の情報をくれれば良いのに。
「あぁ、せめて情報を教えて欲しかったです」
俺よりも先に明美がその事を言った、まぁ、1番被害を受けてるのは明美だからな。
「うん、実はここまで怖いとは思わなくてね、画面越しじゃ、そこまで怖くなかったし」
「何でですか?」
「ゲームではモンスターの位置が分かるからよ、気持ち悪い背景にさえ慣れれば怖くないし」
やっぱり、ゲームの頃と、今ではかなりの差があったんだろうな。
その感覚でやってたせいでここまで恐ろしいとは思わなかったって事か。
でも、多分、りえるさんはホラーが得意な人だと思う。
だって、弱かったらここまで冷静でいられるわけないし。
「まぁ、私達の事は修介君が守ってくれるでしょ?」
「え?まぁ、前衛の仕事ですし、守りますよ」
「ちょっと待ってください!俺もいるッスよ!」
「そうね、中衛でも私達を守ってくれるだけの力はある物ね」
「えぇ!お任せください!」
勇次は親指をたて、ニッコリと笑った。
こんな状況で良くそんな事が出来るなと思うが、まぁ、こいつらしい。
俺達はそんな会話をしながら奥に進んだ。
「かなり暗いですね」
「だな、あと、明美、俺に引っ付かないでくれ」
明美は俺に引っ付いて移動している。
「良いじゃないですか、守ってくれるんですよね?」
「それはそうだが、俺がいるのは前線だぞ?間違いなく俺に引っ付いてる方が危ない」
「でも、誰かに引っ付いていたくて、その、怖いですし」
「いや、後ろの方でりえるさんに引っ付いてたら良いじゃないか」
「大先輩に引っ付くなんてとんでもない!」
「じゃあ、勇次に」
後ろをチラッと見たら、勇次の奴がウェルカム、みたいに腕を広げている。
下心丸出しだな、全くあいつは。
「あの人は信用なりません」
「え!?」
だからいつまで経っても明美に信頼されないんだろう。
まぁ、あいつがいきなり全ての煩悩を捨てて、下心が消えたらそれはそれで気持ち悪いがな。
そして、しばらく歩くと、ドシン、ドシンと言う大きな足音が聞こえてきた。
明らかに人間のそれじゃない、人間がこんな大きな足音を出せるはずがないからな。
「何の足音ですか!?」
「恐らく、ここのダンジョンボスでしょうね、一応そいつの容姿と名前を教えるわ」
ここのダンジョンボスの名はクリムゾン・ホムンクルスだそうだ。
攻撃力はレイジ・ホムンクルスと比べると低いそうだが、防御、体力は非常に高い。
大きさが非常に大きく、動きは遅いが、攻撃範囲が広い。
中でも最も警戒しないと行けない攻撃は体から変な汁を周囲に飛ばす技だそうだ。
この攻撃はプレイヤーに当れば寄生状態、落ちた場合はそこからあのキモいのが出るらしい。
対処法としてはモーション中にクリティカルを出すか、出た直後にフラッシュを当てることだそうだ。
弱点は炎で、当てれば大打撃を与えられる、しかし、とどめで使ってしまうと爆発し
周囲にダメージを与えるため、警戒しないといけない。
ただ、爆破の時に当ったとしても受けるのはダメージのみで、異常状態には掛からないそうだ。
「さて、大まかな説明は終わったわ、さて、頑張りましょう」
「はい」
「いい?こいつとの戦いでは、明美ちゃん、修介が生命線よ
この2人がやられたら、全滅は避けられない、それだけ、寄生の異常状態は恐ろしいの」
「はい」
「じゃあ、作戦を軽く説明するわ」
りえるさんの作戦はこうだった、基本的な行動は普通の戦闘と同じで。
俺が前衛で足止め、他は援護だが、違うのはあの範囲攻撃のモーションが入ったら
俺が一気に攻勢に出る、しかし、もしも駄目だった場合は明美のフラッシュで対処だ。
内容的にはそんなに難しい物じゃないが、実践ではどうなるか。
まぁ、やるしかないな!