修介チーム、シルバーウルフのボス
さてと、どうするか・・・シルバーウルフの相手は中々に骨が折れそうだな。
数も多いし、何よりボスがかなり凶悪そうだ。
「ぐがぁ!」
「来るか!」
俺がそんな事を考えている間に、シルバーウルフの長がこっちに走ってきた。
かなりの速さだ、この上攻撃力も高いなんてな。
「がらぁ!」
「ぐぅ!」
突っ込んできたシルバーウルフのボスの攻撃を、盾で防ぐ。
もの凄い力だと言うのがよく分かる! これで消耗が一切ない盾じゃなければ、どれだけ傷付いていたか。
でも、この盾は自分で消耗箇所を回復していく、そんな盾、むしろ噛みついた牙を包んで
逃げるのを押さえてくれるはずだ。
「いけ!{焔斬り}」
俺はそのすきに焔斬りを放った、火炎斬りが進化するとは思わなかったがな。
それに、流石は進化形だ、火炎斬りの熱量よりも明らかに高温だ。
これが当れば、流石のシルバーウルフのボスも相当なダメージを喰らうはず!
「が! ぐがぁ!」
「な!」
しかし、シルバーウルフのボスは、俺の盾に飲まれた牙を自分からへし折り、脱出した。
そして、すぐに次の牙に生え替わった、いくらサメでもあんなに速くは変わらないだろうに。
それにしても、やっぱりこの盾には回復する際にその相手を呑み込む性質があるのか。
一瞬だと呑み込めないだろうが、今回みたいにしばらくの時間があれば呑み込めるか。
「まぁ、この攻撃は避けられたが、この盾が相手の牙を押さえるのは分かった」
「アオーン!」
後方に退いたシルバーウルフのボスは大きな遠吠えをした。
すると、周辺に集まっていたシルバーウルフたちが一斉にこっちに迫ってきた。
「ちぃ、数で来るか!」
「行けます!{召喚、ファイアーバード}」
明美はファイアーバードを召喚し、上空に待機させた。
恐らく、あの場所から攻撃をするように戦わせる気だろう。
上空、遠距離攻撃、範囲、この状況下ではファイアーバードはかなり強い。
「邪魔はさせないよ!」
そして真野も俺に近寄ろうとするモンスターを確実に潰してくれた。
これはかなりありがたいな、援護が2つもあるんだ、これならあのボスとの戦いに集中できそうだ。
「ありがとうよ! 俺もあいつに集中する!」
「がらぁ!」
シルバーウルフのボスが俺に向かって突進してきた。
一気に勝負を掛ける気か? なら、俺も同じだ!
「これでどうだ!{稲妻斬り}」
「がらぁ!」
シルバーウルフのボスは俺の稲妻斬りに噛みついた。
この技は電撃を纏わす技、、いくら牙で噛みついても、この電撃だ。
こいつも相当なダメージを受けるはず!
「おらぁ!」
「キャイン!」
確実に狙いを定めたはずだった、しかし、シルバーウルフは俺の攻撃を牙で逸らしやがった。
だが、その勢いでシルバーウルフのボスも吹き飛ばされた。
まさか逸らしてくるとは思わなかったが、ダメージはあるはず!
「このまま行くぞ!{カマイタチ}」
「ばぅ!」
俺の追撃を素早く認識して、シルバーウルフのボスは後方に素早く退いた。
流石は狼だ、判断能力、行動力、素早さ、どれも相当な物だ。
だが、攻撃手段の方は俺の方が上だ!
「追い打ち!{ファイアーストーム}」
「が・・・がぁ!」
俺はシルバーウルフのボスを中心にファイアーストームを展開した。
この魔法は引き寄せる効果もある、それに、多段ヒット!
俺の幸運能力を最大限に利用できる魔法だ!
「追撃だ!{ストーム}」
そこに、ストームの魔法を放った、これで相当なダメージ量になるはず!
そして、そのファイアーストームの魔法が切れ、その真ん中には・・・何も居なかった。
「く!」
俺はすぐに理解できた、竜巻などの性質上、あの引き寄せる効果から脱出できるのは
高く飛び上がることだ! あのシルバーウルフのボスの力ならそれ位出来るはず!
俺は急いで上を向いてみた、そこにはシルバーウルフのボスが居た。
でも、そこは上空だ、上空にはファイアーバードが居る!
「キョーン!」
ファイアーバードは高く飛び上がっているシルバーウルフのボスに向けて、攻撃を仕掛けた。
正確な火炎攻撃、上空で身動きが取れない状態なら、回避は出来ない!
「ばう! きゃぅん!」
しかし、シルバーウルフのボスはその火炎攻撃を1回転し、回避した。
とんでもない動きだ、動物ってのはあんなに動けるのか・・・
だが、火炎攻撃が少しだけ擦れ、シルバーウルフのボスはダメージを受けたようだ。
それに、地面に着地したシルバーウルフのボスの毛に火が付いている。
「がぅ・・・」
シルバーウルフのボスはその火を地面を転がることで消化した。
なるほど、やっぱり頭も結構良いんだな。
「ばぅ!」
そして、素早く立ち上がり、再び俺の方を向いた。
まだ、戦うつもりらしい、プライドか?
「アオーン!」
更に、大きな遠吠えを連続で行ない始めた、これは、何かを呼ぼうとしてるのか!
何だか面倒なことになりそうだし! 速く倒さねーと!
「さっさと倒す!」
俺は剣を握り直し、シルバーウルフのボスに向かって走って行った。
「ぐらがぁ!」
「はぁ!?」
しかし、シルバーウルフのボスに近寄ったときに、大きなトカゲが姿を現した。
良く羽が生えたドラゴンをトカゲに羽が生えたと言うが、こいつは完全にトカゲだ。
と言うか、地面から出てくるってどんなトカゲだよ!
「ぐぎゃぁ!」
「何あれ!?」
「トカゲ! トカゲですよね! せめてドラゴンなら良いですけど! これは完全にトカゲですよね!」
「こんな禍々しい色した馬鹿でかいトカゲが居てたまるかよ!」
「ぐぎゃぁ!}
その馬鹿でかいトカゲは俺達の方に向かって、手を使い、攻撃してきた!
前足が異様にデカいせいでその攻撃はかなり範囲が広い!
「この!{焔斬り}」
俺は2人が回避することが出来ないと判断し、その攻撃を迎え撃った。
しかし、腕を斬ったときに変な異臭がするのに気が付いた。
これは・・・何だか嫌な予感しかしない!
2人も距離を取っている、仕方ない!
「く!{影走り}」
俺が影走りを使い、その場から回避した直後、あのトカゲの腕から紫色の汁が出てきた。
そして、下にあった植物が枯れ果てた。
「この!{黒疾風}」
火属性攻撃に反応したのか、斬撃に反応したか分からない、だから、これで判断しないと!
俺の黒疾風はその気持ちの悪いトカゲの体を何カ所も切り刻んだ。
すると、その傷から紫色の液体が吹き出した。
なるほど、斬撃の方だったんだな、しかし、それだとあまり攻撃が出来ないか・・・
「がぐらぁ!」
「全く、厄介な」
「がぁ!」
「な!」
俺はあいつに気を取られすぎて、シルバーウルフのボスのことを忘れていた。
いきなり現われたせいで、反応が遅れたが、俺には盾がある。
俺はその盾で何とかシルバーウルフのボスの攻撃を止めた。
そして、学習したのか、素早く後ろに飛び下がった・・・クソ!
最悪だな、毒の液をまき散らすトカゲに、俊敏で攻撃力の高い、頭の良い狼の同時交戦・・・
他のシルバーウルフたちも依然俺達を取り囲んでるし・・・状況は悪化する一方か・・・




