りえるチーム、難しい判断
作戦開始の合図をして、しばらく経つけど、まだ来ないわね・・・
そんなに距離があったかしら? うーん、状況を知りたいけど、無理ね。
司令官のサブはパーティーが分断されている状態で指示が出来るだけ。
ここが面倒な所よね、どうせならギルド全体とかなら良いんだけど。
私がそんな事を思っていると、グレンに乗った勇次君が走ってきた。
おかしいわね、足音はグレンと美香のダイアだけ?
「りえるさん!」
「どうしたの? モンスターは?」
「それが、モンスターが部隊別になってバラバラになっんっすよ!」
「はぁ!? 何でよ!?」
「俺にもよく分かって無いっす、あ、修介達には先に言って、ますんで、迎撃に動いてる筈っすよ!」
「お姉ちゃん! 急ごう!」
「そうね、それが良い」
「修介先輩達、無事だと良いけど・・・」
「モンスターが部隊別に別れる? そんな事があるの?」
「俺達はミミさん達に伝えてくるっすよ!」
「そうして!」
勇次君達はそう言い、ミミ達がいる方に走っていった。
モンスターが部隊別に別れるなんて、間違いなく指揮官がいないと無理。
恐らく、指示を出したのが総指揮官の誰か、推測としては1番頭が良いであろうモンスター。
で、部隊別って事は、その部隊にも指揮官がいる、要するに群れの長。
だとすると、修介君達はかなり危ない、ボスに対する攻撃手段が乏しい。
だけど、その援護に向かえば他の国に被害が及ぶ・・・ど、どうする・・・
「お姉ちゃん! 何を考えてるの、急ごう」
「ま、待って、今考えをまとめてるから」
「考えって、修介先輩達を救うんでしょ?」
「それもある、だけど、それだと他の国が・・・」
仲間を助けるか・・・国を助けるか・・・プレイヤーを助けるか、NPCを救いに行くか・・・
む、難しい・・・距離的に考えると、修介君達が迎撃に行ったのは西の方かしら・・・
もしかしたら、東? そういえば、指揮官のスキルに仲間の状態を見る能力があったはず・・・
いや、あれはパーティー限定・・・本当にこう言うときに不便な能力ね!
「く、修介君達がどこにいるか分からない以上、私達は行動するしか無いわね」
「そうだって!」
「私は分かるよ?」
「へ!?」
「私達ホムンクルスは仲間の位置が曖昧だけど、分かるんだよ」
「じゃあ、どこにいるの!?」
「待って・・・地図ってある?」
「あるわ」
私は作戦会議の時に使った地図を広げた。
「えっと、気配を感じるのはここだね」
水尾はここから反対側の森の方を指さした。
「ここにいるの?」
「うん、でも正確には分からないから、いる可能性がある範囲はこれ位だね」
水尾はそう言うと、森と道を含むくらいの大きさの円を指で描いた。
この範囲の何処かにいるって事ね、でも、探すのは厳しいかしら・・・
それに、部隊が散らばったって行ってたわね、どういう風に散らばったのかは分からないけど
この状態でモンスターが行ったら困る場所は・・・この国かしら。
「よし、考えが纏まったわ、私達はこの国の方に行く!」
「ちょっと! 修介先輩達を助けに行かないの!」
「そうだよ!」
「私だって助けに行きたいわ、でもね、国が襲われたら大変よ」
「兵士がいるんだから大丈夫だって!」
「推測だけど、例えモンスターの群れが一部だとしても国の兵士だと太刀打ちできない
でも、修介君達なら一部隊相手でも倒せる可能性は大いにある!」
「でも!」
「修介君達を信じましょう、大丈夫よ、彼がいるんだから」
「う・・・うぐぅ・・・」
愛とリエはもの凄く悔しそうな表情を見せた・・・当然かしらね。
でも、国を守らないと行けない、NPCでも、この世界では普通の人間だから。
この世界はゲームだったけど、今はゲームじゃ無いから。
「まぁ、そうだね、大丈夫だって、あっちには真奈もいるし、私達を倒したお兄さんもいるんだし」
「・・・・・・分かった、うん、そうだね、あっちには修介先輩がいるし、きっと大丈夫」
「修介を信じる・・・分かった、国を守りに行こう」
「そう、分かってくれて良かった、じゃあ、急ぎましょう!」
そして、私達はこの付近の国の方に走っていった、あまり走るのが速くないのが難点ね・・・
私達が着くまで、あの国は大丈夫かしら・・・分からないけど、とにかく急ぐしか無いかしらね。
「クソ! モンスターの群れだ!」
「数が多いぞ! 何でここに!」
「依頼を受けた探検家達はどうなったんだよ!」
「ぜ、全滅したという話があります!」
「な! あんなにいたのに!? 探検家でも勝てないモンスターに我々が勝てるのか!?」
「勝てる勝てないの問題じゃ無いだろ! とにかく時間稼ぎだ! 国民が避難するまでの時間を稼げ!」
「了解です!」
「お前ら! 死ぬ可能性が非常に高いこの戦い! 覚悟して戦え!」
「は!」
私達がその国の近くに来たときには、もうすでにモンスターの群れと国の兵士が戦っている。
でも、耐えている! 間に合った!
「リエ!」
「分かった!{マナエネミー}」
リエのマナエネミーがモンスターの群れの方に突っ込んでいった。
何体も連続して生成する魔法、継続能力はかなり高いし、戦力にはなる。
「なんだ!?」
「助けに来たわ! あんたらも手伝いなさいよ!」
「なんだ!? 生き残りの探検家か!?」
「ちょっと違うわね、ただの通りすがりよ、でも、助けてあげる!」
数が多いモンスターの群れ、私達はそこまで殲滅力が高くないけど、兵士と協力すれば行けるわ!




