1日だけの開店
店が開店して、お客さんがかなり入ってきた。
予想以上の反響だな、ここまで入ってくるとは思わなかった。
「お、これ美味そうじゃないか」
「ちょw、見ろよこの武器w、10000とか高すぎw」
「オイオイ、あの性能で10000とか妥当だろう、ってか、安い方じゃね?」
「そうなんか?」
「あの武器のカンスト性能だぜ? よくこんなの作れるわ、こわ!」
中でもかなり人気なのは俺が作ったゴブリンの武器らしい、ただ、値段が高く、手を出したいけど
手持ちにないしな・・・と言う理由で買うのを諦めている人が多かった。
10,000って言うのはやっぱり高いんだというのがよく分かった。
それにしてもだな、この店はもはや何でも屋だよな、料理も出すし、革もあるから防具屋でもあって
武器を置いてあるから武器屋でもある、本当に手広いよな、そりゃあ、書類も多くなる。
「こっち、カレーライスお願い!」
「こっちはラーメンだ」
「はい! 明美さん! カレーライスとラーメンです!」
「じゃあ、花梨ちゃんはラーメンを、私はカレーライスを作るから」
「分かりました!」
「なんでうちが掃除なんて・・・まぁ、確かにメイドだけどさ」
「お、メイドさんじゃん! 可愛いね」
「あまりなれなれしいと容赦しないよ?」
「おぉ、怖いな」
花梨は料理人、遥人は鍛冶屋、亜那はメイドのサブ職業だ、この状況に合わせて取ったんだろうな。
りえるさんは指示を出してはいないが。
にしても、りえるさんの接客はかなりトゲがあるな、でも、そのキャラは受けているみたいだ。
「・・・はぁ、なんで私はまた後ろで管理仕事をしているのかしら」
「俺もですよ、まぁ、接客よりは楽なんで良いんですけどね」
「接客は元気な人達だけでやって貰えば良い」
武器や革のレジには勇次、遥人は勇次の補助、食堂の方は料理は明美、その補助に花梨で
レジ、注文は亜那、掃除にミミさんか、で、俺とりえるさんは裏方で在庫管理。
愛は裏で革を縫ってるし、クロナは料理のサポートか。
「と言うかリエ、あなたには購買のレジをお願いしたと思うんだけど?」
「私は人と会話するのが苦手、知ってるでしょ? 最近は少しよくなったけど
修介達が来る前はかみかみだったし」
「治ったなら良いんじゃないの?」
「まだギルドメンバー以外と話するのは苦手、NPCなら問題ないのにね」
「NPCも何人か来てるわよ?」
「何人かじゃん、嫌だ」
確かにリエさんは昔はすごくかみかみだったな、今はかなり改善されているけど。
そうか、俺達とNPC限定なんだな、噛まないのって。
「じゃあ、俺がレジやりましょうか?」
「うーん、そうね、あのままだと亜那ちゃんがパンクしそうだし」
確かに亜那はレジ、注文をやってるからな、ミミさんは注文聞くの嫌がるし。
でも、今更だが、あの女達が接客から料理している場所で男の俺が入るのは勇気がいるような・・・
ま、まぁ、うん、亜那にパンクされても困るし、仕方ない、堪えるかな。
「亜那、レジは俺がするから、お前は注文を聞いて、伝えることを優先してくれ」
「あ、分かりました、すみません」
「いや、気にするな、パンクされても困るからな」
「あはは、そうですね」
そして、俺は食堂の方のレジに入った、結構な人数が入っているから、レジも大変だ。
てか、今まで亜那はこれに注文を聞く行動もしていたんだよな、そりゃあ、厳しいな。
それにしても、食堂もすごい人気、武器、革の方もすごい人気だ。
あ、俺が作った武器が売れた、よく買うな、10000ゴールドも払って。
「り、りえるさん、そろそろあたしは革を縫うの止めたいんだけど・・・指がすごく痛い」
「まだ、指を刺すの?」
「うん、やっぱり裁縫は難しいよ」
「裁縫のレベルがもう23なのに、指は刺すって、不思議ね」
「あれはあくまで数値だから、多分あたしは天才的に裁縫が苦手なんだと思う、不器用なのは辛い」
「あぁ、ま、まぁ、うん、そんなに指に絆創膏を貼ってるのを見ると、否定できないわ・・・
あー、じゃあ、革の裁縫はもう良いから、修介君と替わって食堂の方のレジを頼むわ」
「分かった」
あぁ、愛の奴、裁縫終わったのか・・・
「修介先輩、替わるよ」
「あぁ・・・なぁ、愛、その指大丈夫か?」
「あぁ、駄目かも」
「じゃあ、私が回復する」
「う、うん、今日はお願い」
「分かった!」
癒子の回復は少し発光するんだっけ? じゃあ、ちょっとレジの陰に隠して回復させた方が良いか。
「うん、回復した」
「ありがとう、痛みがなくなったよ、やっぱりすごいね、癒子は」
「回復なら誰にも負けないよ! 1日3回だけだけど」
「あはは、そうだね」
「じゃあ、レジ頑張れよ」
「分かった」
そして、俺はまた在庫管理の方に戻った。
まぁ、分かりきってることだが、愛が革を縫わないから、革の在庫はすぐになくなるな。
確か、裁縫師が少ないんだっけ? だから革の需要は結構あるんだよな。
だから、意外と売れる、それが理由で、革の在庫はすぐになくなる。
「うーん、革がないわ」
「愛が抜けましたからね」
「まぁ、あんなに指先に絆創膏を貼ってるのを見ると、流石に強制は出来ないからね」
「書類仕事とかは強制で押しつけるのにですか?」
「まぁ、うん、悪かったわ、あの時は私も疲れててね、もう藁にもすがる思いだったから」
「お姉ちゃんは追い込まれると暴走するからね」
「その追い込む理由を作ったサボり魔が言うんじゃないわ」
「ごめん」
あぁ、りえるさんを追い込んだ理由はリエさんだったか、そういえば寝てたしな、あの時
この人は1度寝たら中々起きないし。
「と言うか、リエ、謝罪の意があるなら仕事して欲しいんだけど?」
「人と接しないで良い仕事ならやるよ」
「学者のサブで人と接しないで仕事が出来る仕事はないわ、裁縫師なら革作をやらせるけど」
「なら駄目だね」
「・・・じゃあ、素材集めでもして貰えば良いんじゃないですか?」
「素材集め?」
「魔物とかの素材集め、それか依頼をこなして貰って、稼いで貰うとか」
「そうね、それが良いわ、1人でも出来るかも知れないし?」
「も、勿論誰か付いてきてくれるよね? 流石に後衛1人って色々と厳しいと思うけど・・・」
「無理ね、皆手一杯だから」
「く・・・くぅ・・・流石にそれは不味い、死にたくないし・・・わ、分かったよ、愛の補助をするよ」
「そう、じゃあ、お願いね」
「うぅ、容赦ないな、お姉ちゃんも修介も」
そう言いながら、リエさんは愛のサポートに着いた、サポートって言っても計算間違いを指摘する程度か
でも、まぁ、ここでごろごろしているよりは良いだろう。
そして、その状態で時間が経ち、店は開店4時間で在庫切れだ。
やっぱり生産と消費が成り立ってないな、人数が少ないし、仕方ないが。
それにしても、まさか俺の作った武器が全部売れるとはな。
「はい、皆お疲れ様! 今日はもう終わりよ」
「はぁ、疲れましたよ、こんな長い間料理を作ったのは初めてです」
「私も料理って大変なんですね」
「食材の名前を覚えられた気がします」
「接客って大変でしたけど、楽しかったです!」
「うるさいのが多かったね、と言うか、何であいつらはうちに貶されて喜んでたんだい?」
「裁縫をするよりは簡単だった」
「もうしんどい、てか眠い」
「食堂の方と比べれば楽だったな、俺達は」
「あまり人気がなかったし」
「ふぅ、ちょっとだけいて、後は戻って寝るつもりだったんだがな」
「じゃあ、さっさと帰って寝た方が良いわね、まぁ、明日は店は開けないし、存分に休めば良いわ」
「はい」
そして、俺達はギルドに戻った、ついでにホムンクルスに飯をやらないとな。
「明美、ホムンクルス達の飯って?」
「朝、昼はりえるさんが、後は晩ご飯だけですね」
「じゃあ、料理を作ってくれ」
「分かりました」
俺は明美からホムンクルスの飯を受け取り、拘束している場所に行った。
「おーい、お前ら、飯だぞ」
「よかった、忘れられたのかと・・・」
「ここのご飯は美味しいよね」
「うん、美味しい」
「なんでダイアちゃんはあなたに懐いちゃってるの! ダイアちゃん!」
「ほら、明美の手作り料理だ」
「あ、あれ? お昼に食べたときよりも美味しい気がする!」
「おぉ、スゲー!」
「お、ちゃんと言葉を理解できる、やっぱり修介がいたら言葉が分かるんだな」
「あぁ、今まで分かってなかったのか」
「あぁ、ずっと意味が分からない音だった」
「そうか、ふーん、じゃあ、このダイアは?」
「聞えるぜ? 普通に狼の鳴き声だし」
ふーん、ホムンクルスの言葉は分からないけど、そのペットの鳴き声は変わらないのか。
「じゃあ、とりあえずこいつらに飯食わせたら俺も飯食いに行く」
「あぁ、分かってる、それまで待ってらぁ」
「分かった」
そして、ホムンクルス達に食事を与え、俺も明美の料理を食った。
やっぱり明美は確実に上手くなってるな。
今日のご飯も美味かった。




