舞踏会の代償
周りも暗くなってきた、少し城に長居しすぎたな。
これはりえるさんに怒られるかも知れないな・・・と言うかほぼ確定のような気がする。
面倒ごとの種まで連れてきてるし・・・ま、まぁ、うん、多分許してくれるはず・・・だ。
「いやぁ、暗くなりましたね」
「そうだな、こんなに遅くなるとは思わなかった」
「むきぃ! 離せぇ!」
「暴れるなよ」
こいつはまだ大暴れしているしな、と言うか、こんな状況で街とかに帰ったら誤解されそうだな・・・
まぁ、こいつの見た目からして、多分ギルドのメンバーでそれを連れ帰ってるように見えるか。
でも、あまり暴れられると周りの目が痛いし・・・どうするか・・・
「暴れてはだめですよ」
「うっさーい! 良いし! モンスター呼んじゃうし!」
「まぁ、呼ばれてもすぐに掃討してやるから大丈夫だ」
「く、くぅ!」
そして、少しだけ静かになった、今のうちにギルドに戻るか。
「いやぁ、かなり暗くなりましたね」
「あぁ、まさか街に殆ど人がいないような時間帯だとは」
「えっと、時間は・・・あぁ、深夜の1時ですね」
「もうそんな時間か!?」
「はい、まぁ、あの国からこっちは結構距離がありますからね、所々で休みながらだと
こんな時間にもなるでしょう」
予想外だ、まさかもう深夜1時だなんてよ・・・さ、流石にこれはりえるさん達も寝ているだろうな。
まぁ、そっちの方がまだ良いかもしれない・・・うん。
「ふぅ、それじゃあ、入るか」
「そうですね、お布団が恋しいです」
そして、俺はギルド内部に帰った、すると意外な事にギルドの電気はまだ点いている。
もしかして、まだ起きているとか? こんな時間に? ま、まさかそんな・・・
「えっと、これはまだ起きているのか?」
「多分そうじゃ無いですかね・・・」
りえるさんが起きているなら戻ったと報告しないといけないな。
でも、その前にこの子を他の奴らと同じ様に檻に入れておかないと。
「勇次、いるか?」
俺は勇次がいるかを確認するために、軽く叫んでみたが、返事が無い。
どうやらグレン達の部屋にはいないようだな。
そして、俺はその扉を開けてみた、するとかなり変わった光景がそこにはあった。
「・・・なんだこれ、随分と荷物が多いな」
グレン達の部屋はかなり沢山の荷物に囲まれていた、こんなにあるとは思わなかった。
そして、中心には大の字で寝転がっている勇次の姿が見えた。
「おい、なんでこんな場所で寝てやがるんだ?」
「あ、そ、その声は・・・しゅ、修介・・・よ、よく帰ったな」
「何があったんだよ」
「じ、実はな、ついさっき大量の荷物が送られてきたんだ」
「何処からだ?」
「お前が行った国だ、そこから大量の荷物がな・・・その中には食い物とか、少々の財宝が入ってたんだ
それに、沢山のお礼の書類とか、そういうのが入っててな」
あの王様、舞踏会の準備をしながらそんな物をこっちに送ってきたんだな。
てか、どうやって分かったんだ?
「なんで来たって分かるんだ?」
「りえるさんは分かるらしい、ギルドマスターだから何かが来た場合は」
「そういえばそんな事が出来るって聞きましたね、手間が掛かるそうですけど」
何だか嫌な予感がしてきた・・・
「そ、それでどうなった?」
「その荷物を整理して、運んでの繰り返しで俺は疲れてこうして倒れているんだ」
「あ、あぁ、そうか、大変だったな・・・」
「それと俺からも質問良いか?」
「何だ?」
「お前が抱きかかえている女の子と、クロナちゃんが抱いてる犬みたいな動物は何だ?」
「えっと、話せば長くなるが、聞くか?」
「あぁ」
俺は勇次に1人と1匹について詳しく話した。
「ま、マジかよ、国が襲われてたのか、だからこんなに礼がね」
「そうだ、何か悪いことをしたかな」
「いや、俺は構わない、ちょっと疲れただけだ、でも、その主犯をしれっと取っ捕まえてくるとはな」
「あぁ、モンスターを殲滅したらこいつが固まったからな」
「まぁ、そうだよな、普通そんな群れを簡単に殲滅されたらそうなるだろう」
そこまで殲滅は苦労しなかったし、楽だったんだがな。
「まぁ、そういうことだから、こいつを檻に入れてくれ」
「分かったぜ、そっちの狼は俺が預かる」
「それで良い」
「あぁ! ダイアちゃん!」
「キャイン!」
「あまり暴れるな、大丈夫だって、檻の中にいるか外にいるかの違いだ」
「ダイアちゃーん!」
女の子は必死にその狼の名前を叫んだ、まぁ、その叫び声もむなしく
女の子は檻の中に入れられてしまったがな。
と言うか、基本的に同じ部屋で行動するんだから問題は無いだろうに。
さてと、俺の方が大変かも知れない、これからりえるさんに会わないといけないのか・・・
だ、大丈夫か? 面倒ごとを増やしたし・・・絶対に怒られるわ、これ。
そして、俺は恐る恐るりえるさんの部屋に入った。
「りえるさん、その、ただいま戻りました・・・」
扉を開けると、書類に埋もれたりえるさんと、その近くで眠っているリエさんが居た。
・・・・・・この場合、俺はゆっくりと扉を閉めるのが正解だろう。
寝てるようだし、うん、そうだ、2人は寝ているから俺は閉めるんだからな。
断じて逃げるためじゃない、断じて!
「待ちなさいよぉ・・・」
書類に埋もれているりえるさんがゆっくりと立ち上がった。
起きてた! あの人あんな状態で起きてた!
「あ、あの、い、今戻りました・・・」
「そう、ふふふ、よく戻ってきたわね・・・」
りえるさんから明らかにヤバそうなオーラを感じる。
顔は笑ってるけど、目が笑ってないし、これは完全にキレてる!
「聞いたわよ、隣の国を救ったそうじゃ無いの、流石ね・・・」
「は、はい、そうなんですよ、あはは・・・」
「でも、救ったなら早く帰ってきなさいよ! 何で舞踏会とかやってんの!」
「な、なんでそれを!?」
「何か書状に書いてあったわ! 修介殿には舞踏会という形で礼をしておりますって!」
「そ、そうなんですか!?」
「わ、私達が大変な目に遭ってたってのに! のんびり舞踏会だなんて! 羨ましいわ!」
「あ、あ、あの、ぶ、舞踏会も色々と大変で」
「書類仕事のが面倒よ!」
そう叫び、りえるさんは俺の手をがっちりと掴んだ。
ちょっと気圧されて近寄ってるのに気が付かなかった!
「ふふふ、でも安心なさい、今日は眠らせないわ・・・」
「あ、あの、その、え、笑顔が怖いんですけど・・・」
「ふふ、さぁ! 今日の1日! 一夜漬けで書類処理よ! 手伝いなさい!}
「や、やっぱりですかぁ!?」
「当然! 舞踏会で楽しんでるんだし文句言わない!」
「わ、分かりましたぁ!」
そして、俺は書類の山をりえるさんと1日かけて処理することになった・・・
字が多くて、目が痛い・・・てか、眠い・・・く、くぅ・・・こうなるんなら舞踏会なんて参加しなけりゃよかった! これなら間違いなくモンスターと戦ってた方が楽だ! うぅ、辛い・・・
そして、書類の山と格闘し、朝日が照りつけてきた・・・あぁ、朝日が目にしみる・・・
{現在のレベルと取得スキル}
{柳葉修介}{レベル37}{取得スキル、火炎斬りから焔斬り、影斬りから黒疾風}
{岸田明美}{レベル34}{取得スキル、無し}
{西丘勇次}{レベル34}{所得スキル、突進}
{りえる}{レベル48}{所得スキル、無し}
{リエ}{レベル38}{所得スキル、バースト}
{瑠璃川愛}{レベル34}{所得スキル、無し}
{ミミ}{レベル42}{所得スキル、パワースピリット}
{癒子}{戦闘レベル2}{回復能力30}{知能レベル10}




