依頼組、依頼達成
この攻撃は完全に回避が出来ない! 当れば相当なダメージを食らうだろう。
だったら、多少当ってもそこまでダメージを喰らわない当たり方をするだけ!
俺は左腕をその攻撃の方に思いっきり振った。
「だらぁ!」
俺は左腕につけている盾を使い、モンスターの攻撃を防いだ。
しかしだ、こんな体勢で盾で凌いでも潰されるのがオチだ、力も入らないからな。
だったら、直接、正面で攻撃を防がなければ良い。
「ぐが!」
「っと!」
俺はモンスターの攻撃を正面から防がず、若干斜めにずらして受け止めた。
この行動により、モンスターの攻撃は流れ、その勢いで俺は倒れ、素早く立ち上がった。
危うく吹き飛ばされるところだった、怖いっての。
「す、スゲー、あんな動きを一瞬で・・・」
「盾で流してその時の勢いで倒れて、受け身を取った、すごい判断力」
「やっぱり戦い慣れてるんだね」
一時はどうなるかと思ったが、何とかなって良かった。
あのまま当ってたら相当やばかったかもしれない。
と言うか、頭の方を狙ってきたし、怖いな、全くよ。
「ぐ、るぅ・・・」
「がぐぅ・・・」
あ、やばい、さっき吹き飛ばした2匹が立ち上がりだした。
まだダメージが足りなかったか・・・くそ、また3体同時か、キツいから止めて欲しい。
「ちぃ・・・面倒な」
「修介、ここは逃げよう、ずっと追いかけてくるかもしれないけど、スキルが使えるようになるまでの
時間稼ぎになれば良いから」
「そうですね」
俺達はリエさんの指示通り、一旦距離を取ることにした。
確かにスキルが再使用出来るまでの時間稼ぎになれば良いか。
「また逃げるのか・・・何だか嫌だね・・・」
「状況が悪い、モンスター3体が相手だと安全策を優先した方が良い」
「ちぇ、分ってるよ、逃げるんだね」
「そう、それがこの状況だと1番適切な判断だと思う」
そして、モンスター3体も予想通り追いかけてきた。
モンスター3匹に追われるって言うのは何だか威圧されるな。
ん? 何だかあの時の切り株のようなものがある・・・
でも、この方向じゃ無いと厳しいか? だが、嫌な予感しかしない。
「リエさん、道を変えた方が良いような気がするんですけど!?」
「なんで? っあ! 確かに不味いかも!」
「ん? あんた達が止まっちゃ意味ないじゃ無いか、逃げるって言ったのはそっちだろ?」
「道を変えて!」
「モンスターが近いこの状況でですか? 無理です!」
でも、この方向だとモンスターがあの切り株を踏んで中身に傷が付く可能性が高い。
そうなれば、また別の魔物が合流する危険性がある!
「仕方ない! 足止めします!」
「お願い、このまま逃げるのは危ない」
「はい! おら!{火炎斬り}」
俺は振り返り、モンスターに攻撃を仕掛けた。
このまま逃げて別の魔物と合流する危険性よりは、多少無茶をしてもここで仕留める方が良い!
しかし、群れている状態の奴らに突撃したのは不味かったな・・・
「がぁ!」
「ぐらぁ!」
他の2体が一斉に攻撃を仕掛けてきたがった。
この状況、多分リエさんなら・・・
「倒れて!{フォースキャノン}」
「ぐがぁ!」
予想通り、左の方を狙ってくれた。
俺は素早く右の方のモンスターに対し、盾を構えた。
「ぐ!」
しかし、盾で防いだとしても破壊力はかなりあるな・・・
「やっぱり戦うんだね、そう来なくちゃ!」
後ろから声が聞えてきて、大きな足音がこっちに来くる音が聞えた。
「さぁ、行くよ!{クラッシュ}」
魔物に強力な一撃が入り、大きく後ろにのけぞった。
相変わらず、バーサーカーの破壊力はとんでもないな。
まぁ、そのお陰でもう一撃叩き込むチャンスが出来た、まずは一体仕留める!
「喰らえ!{稲妻斬り}」
「がぐぁ!」
俺とミミさんの連続攻撃を受け、正面のモンスターはぶっ倒れた。
よし、どうやら倒せたようだな、やはり単体ボスと比べれば弱い部類なのか。
「よし、流石だね、あの状態で合わせるなんてさ」
「連携は慣れてますからね、でも、ミミさんも少しは連携できるようになりました?」
「さぁ? どうなんだろうね、今回はギルドから追い出されるのが嫌だから従ってるのかも?」
うん、多分そうなんだろうな、だって、ミミさんだからな。
でも、普通にこの人は連携できるんじゃ無いか? ただ我が道を行きすぎてるだけで。
まぁ、どっちでも良い、少なくとも今は協力してくれるんだからな。
「グ・・・ウ・・・」
「がぁ・・・」
やはりまだ他の2体は起き上がるのか・・・でも、まだあまり動けにと言うなら追い打ちをするか。
距離的にも両方に当てることが出来る。
「追い打ちだ{カマイタチ}」
「がぁ!」
「ぐがぅ!」
カマイタチの範囲には予想通り2体とも入った。
でも、まだ倒し切れていない、体力があるな、やっぱり。
でも、動きから察するに、もう殆ど体力が無いだろう。
「うん、花梨、フォースを当てて」
「分りました{フォース}」
やっぱりリエさんも初心者に倒させるつもりだな。
「あぁ!」
「修介! 後ろ!」
「ん? おわ!」
花梨が放ったフォースは俺の方に飛んできた、まだコントロールが出来てないな。
でも、癒子のお陰で何とか回避できた、それに、ちゃんと俺の正面の方にいる
モンスターに当った、多分だがフォースってホーミングするんだろうな。
そんで、制御できてないから狙いとは逆のモンスターを追いかけるんだろう。
「がう・・・」
そして、フォースを喰らったモンスターはこの一撃で倒れた。
やっぱり相当ギリギリの状態だったんだな。
「良かった」
「うぅ・・・また仲間に当ててしまうところでした・・・」
「そうだね、まずは制御をしないといけないかも、いつかやろうか」
「はい、お願いします・・・」
さて、もう一体は遥人に倒して貰いたいが、前衛は危険だろう。
モンスターに接近しないといけないんだからな、レベル的にこいつはまだ厳しいはずだ。
ここは俺が仕留めた方が良いかもしれない。
「よし、後1体は俺が仕留めよう、遥人には危険が大きいからな」
そして、俺はもう1体のモンスターを攻撃し、仕留めた。
ふぅ、何とかなったな、3体に囲まれたときはどうなるかと思ったが。
ま、何とかなって良かったか。
「よし、それじゃ、このモンスターの素材を取って、後はあの切り株を壊して終わらすか」
「そうね、じゃあ、終わらせましょうか」
俺達はモンスターの素材を取り、切り株の方に近寄った。
「癒子、この切り株は合ってるのか?」
「うん、合ってる、大丈夫だよ」
「よし」
俺は切り株を蹴り、破壊した、そして、中にある薬草を採取して、これで依頼完了だな。
やれやれ、今日もなんか疲れたな。
「これを何処に持って行けば良いの?」
「民間ギルドじゃないですか?」
「そうだね、と言うかそれ位しか無いだろう」
「よし、じゃあ、行くかな」
俺達が帰っていると、何だか後ろからすごく視線を感じた。
後ろを振り向いてみると、源川兄妹がこっちをジッと見ている。
「な、何だ? どうした?」
「あ、いや、すごいなーって思って・・・」
「うん、本当にすごかった、あんな風に戦うんだ・・・」
「そうだね、基本はあんな感じに戦う、1人で出来ることはほんの少しだから、協力しないと駄目なの」
「そうなの? 1人で暴走しても結構戦えると思うんだけど?」
「それは皆があなたを助けてるだけ、だから戦える、でも、1人だとすぐに倒れるに決まってる
間違いない、断言する、あなたはそんな人」
あのそこまで喋れないリエさんがすごく喋ってる、表情はあまり変えてないが
もしかして、かなり怒ってる? そうだよな、怒ってないとこんなに相手を貶さないよな・・・
「ちぇ、分ったよ、だからそのあまり表情を変えてない目で睨まないでくれよ
普通に顔を赤くして怒ってる奴よりも怖いからさ・・・」
「あなたはちゃんとしないと早死にする、そこを覚えていて」
「わ、分ったって、はは」
あのミミさんが珍しく少しだけ反省している。
それだけリエさんの目は怖かったのか、もしかして、リエさんは怒らせたら不味い人なのかもな。




