依頼組、モンスターの群れとの戦い
・・・状況は最悪、モンスターに囲まれて、前衛は3人。
その内1人は初心者、レベルは非常に低い、もう一方はHPを消耗するバーサーカー。
それに、本人も暴走しやすい性格、そして、俺は最大の武器の回避が出来ない。
「がぁ!」
「ちぃ!」
モンスターが俺に攻撃を仕掛けてきた、俺は普段使わない盾を使い、その攻撃を受け止めた。
「うぉ、重い!」
そのモンスターの攻撃は非常に重く、愛の苦労が何となく分った気がした。
あいつはいつもこんな攻撃を食らってたのか、キツいだろうな。
「だらぁ!」
しかし、ただ受けてるだけでは駄目だ、俺は剣を振り、そのモンスターを斬った。
手応えは十分だ、これだけの威力、少しは怯んでくれるはず。
「ぐぅ・・・!」
「頑丈だな!」
「うわぁ!」
俺がそんな事を思っていると、後ろの方から声が聞えた。
「遥人!」
かなり戦闘力が高いモンスターが相手だ、遥人にはやはり荷が重いか!
「兄ちゃん! うぅ、{ヒール}」
「がぁ!」
「くぅ! モンスターが円陣の中に!」
遥人が崩れたことで、道が出来、モンスターが円陣の中に入ってきた、これは不味い!
「てりゃぁ! させないよ!{グランドアックス}」
ミミさんが自分の方のモンスターを吹き飛ばし、円陣の中に入り込んできたモンスターに攻撃を仕掛けた。
「ぐらぁ!」
「頑丈な!」
しかし、そのモンスターはミミさんの攻撃を受けてもひるみはしなかった。
だが、その攻撃は無駄では無かったようだ。
「ナイスかもね」
「ぐがぁ!」
モンスターの足下が爆発した、どうやらこの魔法はリエさんのエネルギーホールだ。
やっぱり保険に仕掛けていたんだろう、流石はリエさん、抜け目ないな。
それに、ミミさんの攻撃でダメージを受けたお陰かモンスターは怯んだ。
「少し守りを強化する{マナエネミー}」
リエさんはマナエネミーを使い、周囲に共に戦ってくれるお供を出した。
これはありがたい、さて、俺も目の前のモンスターを何とかしないと。
「てい、てい」
「癒子?」
俺が前を見てみると、癒子がモンスターの腕を何度か蹴っていた。
でも、大したダメージは無いだろう、なんせ癒子は癒やしの妖精、戦うのが得意なはずはない。
「俺ももう一回攻撃するか{火炎斬り}」
「ぐがぁ!」
「おぉ、すごい、怯んだ」
俺の攻撃が当たり、目の前のモンスターは大きく怯んだ。
予想以上に退いたな、もしかして、癒子の蹴りが効いてたりして、いや、まさかな。
「よし、少しだけ魔物の群れが離れた、移動するぞ!」
「は、はい!」
「遥人はうちが運ぶよ」
そして、ミミさんは遥人を素早く抱き上げ、俺達と共に移動を始めた。
当然と言えば当然だが、モンスターは追いかけてくる。
でも、移動のお陰でモンスターは固まった、これならいける。
俺はモンスターの前に立ち、スキルを発動させた。
「こい!{剣士の意地}」
これでモンスターの注意は俺に向く、そうすれば安定して攻撃が出来るだろう。
俺も最大の武器を使えるし、でも、俺が危険な状態に陥ったって事だがな。
「じゃあ、援護頼む!」
「うん、援護する」
「私も頑張ります」
「後衛はリエさんの指示に従って行動してくれ、前衛は俺の指示で」
「分ったよ、任せてくれ」
「頑張るよ・・・」
さてと、最初に比べれば状況は好転したと言えるかな、でも、ヤバいのには変わらない。
俺が崩れれば全滅の可能性が濃厚になる、しれっと俺は1番ヤバくて重要なポジションになってしまった。
ミミさんに敵の注意を惹きつける技は無い、遥人もまだ剣士の意地は覚えてない
結構回避の可能性が落ちるが、盾を装備した状態で立ち回る、そうしないと最悪の場合が怖い。
「ぐらぁ!」
「同時かよ!{カマイタチ}」
同時に攻めてきたモンスターに対し、カマイタチを使うしか無い。
と言っても、この程度で怯んでくれるわけが無いよな。
「花梨、私に合わせて攻撃魔法を撃って」
「は、はい!」
「行くよ{フォースキャノン}」
「はい!{フォース}」
後方から2発の攻撃魔法が飛んできた、そして、その攻撃魔法はモンスターに直撃した。
当ったのは2体だけ、後一体ほど残っている。
「ミミさん!」
「任せな!{クラッシュ}」
ミミさんがクラッシュをそのモンスターに当てた、チャージクラッシュじゃ無いのは良い判断だ。
なんせチャージクラッシュは少し発動に時間がかかるからな、威力は十分だけど。
この状態ではクラッシュの方が出しやすく、当てやすい。
「ぐがぁ!」
その攻撃を受け、モンスターは横に吹き飛ばされ、倒れた。
しかし、もう1匹のモンスターがまだ来ている、花梨のフォースでは怯まなかったか。
「遥人! カマイタチいけるか!?」
「うん、大丈夫!{カマイタチ}」
遥人がカマイタチをモンスターに当てた、そこまで強力というわけでは無いが
俺のカマイタチ、花梨のフォース、そして遥人のカマイタチの3発が当ったんだ。
この一撃で流石のこのモンスターも怯んだ。
「食らえ!{稲妻斬り}」
「ぐがぁ!」
遥人のカマイタチで怯んだモンスターに瞬時に近寄り、俺は稲妻斬りを放った。
そして、その1匹は更に大きく怯み、倒れた。
まだ息はあるみたいだな、流石はモンスターだ、頑丈で厄介だ。
「ぐらぁ!」
今度はリエさんの一撃で怯んだモンスターがこっちに突撃してきた。
体勢的にこの状態から回避するのは難しいだろう、だったら、ピンチをチャンスに変える!
「ミミさん! 俺がこいつをそっち側に押します、そん時にチャージクラッシュを!」
「任せてくれ!」
「よし!{影走り}」
俺はモンスターを影走りで回避し後方に回り込むように移動した。
「食らえ{影斬り}」
「ぐが!」
そして、回り込む間に影斬りでモンスターの足を斬った。
その一撃を食らい、このモンスターは前に押し出された。
「だりゃぁ!{チャージクラッシュ}」
「がぁ!」
そして、俺の指示通り、ミミさんはチャージクラッシュをそのモンスターに直撃させた。
その一撃を食らったモンスターは最初にクラッシュで叩き込まれたモンスターの場所に吹き飛ばされた。
これはもしかしたら出来たら良いかもと思ってたことだ、多分、ミミさんもそう思ってたんだろう。
「チャンス!{テンペスト}」
「こっちも行く{フォース}」
「「が、ぐがぁ!」」
モンスターが密集しているんだ、範囲魔法も当てやすい。
リエさんは本当はフォースキャノンを撃ちたかっただろうがさっき撃ったからな。
ここはフォースで妥協という感じか。
俺も、本当はファイアートルネードが撃ちたかったが、場所が悪い、木が燃えたらヤバすぎる。
建物は問題無いのに木はすぐに燃えてしまうらしいしな。
「おし!」
「がぁ!」
「げ! さっきの! もう動けるか!?」
さっき3人で協力して怯ませたモンスターがもう立ち上がり、こっちにやってきた、これは回避できない!
「ぐらぁ!」
「く、くぅ!」
や、ヤバい!




