長い1日の終わり
防具の錬成もようやく終わった。
武器の生産も任されてはいたが、正直、今より質の良い武器は無かった。
ゴブリン達はあまり強力な装備は無いって事だろう。
俺は取りあえず、このことをりえるさんに告げた。
「ふーむ、そう、あまり無かったのね、まぁ、防具が増えただけでも嬉しいわ」
「そうですか」
「それじゃあ、今度は軽く情報収集と行きますか」
「はい」
そして、俺はホムンクルスの3人を捕らえた牢屋がある勇次の動物園に入った。
「お? 修介、終わったのか?」
「あぁ、次はホムンクルスの尋問だ」
「はは、大変だな、錬成にもそれなりに時間が要るってのに」
武器の錬成時間は1つを作る度に難しい物なら1時間程度だ。
簡単な物なら10分くらいで出来るんだがな、レベルが上がると錬成速度も上がるのかもしれない。
今回は防具と弾丸を作ったから、およそ7時間程度だろう。
その間、あいつらはジッと俺が防具を錬成している姿を見ていたって事だ。
良くそんな長い間飽きないで見ていられたもんだ。
「で、グレンは寝てるんだな」
「もう時間的にな、こいつは早寝早起き健康的だから」
「いつ寝ているんだ?」
「午後8時だな、いやぁ、本当に早いぜ、俺だったら時間を無駄にしているようで眠れ無いって」
「お前はいつもどれ位に寝てるんだ?」
「深夜3時に寝て、朝6時に起きてる」
「遅寝早起きは体に悪そうだな」
「時間を無駄にはしたくないだけだぜ!」
勇次は変なところで変な特技を発動する奴だ。
と言うか、こいつは6時に起きてるのか、でも、俺とりえるさんが起きてるときに姿を見ない。
多分、倉庫でグレンやチャチャと交流を深めているんだろうな。
「そういえば修介、今日は随分と忙しそうじゃ無かったか?」
「まぁ、そうだな、朝起きたら騒ぎになってたホムンクルスを退治して
そのホムンクルスの尋問をした後に
ゴブリン系の簡単な装備をいくつか作って、新人の指導中にギガンテスに襲われて
弾丸と矢と難しめの装備を6つ作って、今度はまた尋問か」
「お前、絶対に損な役回りだよな、辛いって感じたら行った方が良いぜ?
りえるさんなら問題無く了承してくれるって」
「・・・そうだな、ホムンクルスの奴らも寝てるし、今日は休むか
じゃあ、りえるさんに言ってくる、ありがとな」
「気にすんなって、じゃあ、体に気を付けろよ」
「あぁ、そうするよ」
そして、俺はりえるさんにこの事を伝えた。
「あぁ、あの子達は寝ちゃったのね、じゃあ、今日はもう休んで良いわ
何なら、明日も休んで良いわよ、流石にお願いし過ぎちゃったわ」
「いえ、大丈夫です」
「そう、じゃあ、後もう少し待ってなさい、そしたら明美ちゃんが料理が完成するからね」
「はい、そうします」
そして、俺の今日の仕事は終わった、後はのんびり休憩タイムだ。
しかし、あれだな、あの一連の出来事が今日1日で起きたのか・・・
幸運って何だっけ? むしろ不運の部類に入ってるんじゃね?
あはは、この数値、少しくらいはリアルの方で出てほしいものだ。
「修介、回復する?」
「回復って、意味あるのか?」
「少しは、癒やされると思うよ?」
「そうか、じゃあ、頼むよ」
「うん、回復する!」
そう言い、癒子は俺を回復してくれた、さっきよりは少しだけ癒やされた気がする。
これが癒子の回復能力か、傷以外にも聞くんだな、と言うか、もしかしたら
こいつが俺の頭にいたから俺はそこまで疲れてないのかもしれない。
だったら存在しているだけでヒーリング効果を発揮しているのかもな。
まぁ、確証とかは無いが、でも、本当にありがたい。
「どう? 癒やされた?」
癒子は俺を回復した後、ゆっくりと降りてきた、そして、俺が手のひらを出すと
そこにちょんと座った、こう見てみると、やっぱり小さいな。
「あぁ、癒やされたよ」
「えへへ、良かった」
癒子は俺の手のひらに座りながら笑っている、可愛らしい笑顔だな
この笑顔を見ているだけで癒やされるような感覚だ。
「修介君、そろそろ出来るみたいよ」
「おぉ、待ってました」
「ミミ! 勇次君を呼んできて!」
「はいはい、分かったよ」
「それと、亜那ちゃんはリエを花梨ちゃんはクロナさんを呼んできて頂戴」
「分かりました!」
「俺は、俺は何をすれば良いんですか!?」
「そうね、遥人君はこれをリビングに運んで頂戴」
「はい!」
色んな声が聞えるな、何だか賑やかになった物だ。
「勇次さん、ご飯が出来たそうですよ」
「そうか、分かった」
「ご飯だって!」
「お腹すいたよ!」
「食べさせろぉ!」
「なんだお前ら、起きたのか」
「晩ご飯食べたい!」
どうやらホムンクルスの3人も目が覚めたようだな。
そうか、あいつらは飯を食ってなかったのか。
「りえるさん、ホムンクルスの3人が起きた見たいっすよ」
「そう、まぁ、今日はもう良いわ、修介君には休んで欲しいし、明美ちゃん、あの子達のご飯は?」
「用意してますよ、誰が食べさせます?」
「それは俺がやりますよ、それ位はね」
「でも、あなたは休憩中でしょう?」
「良いですよ、明日の尋問を考えると、少しは優しく接した方が良いでしょうしね」
「そう、何だか悪いわね」
「いえ、大丈夫です」
さ、俺はあいつらに飯を食わせるかな。
「よし、飯だぞ」
「うぅ、ご飯の時くらい拘束を解いてよ」
「駄目だっての、お前らは怪力だ、下手したら牢を壊される」
「くぅ・・・悔しぃ!」
「ほら、飯だ、口を開けろ」
「うぅ・・・」
結構反抗的だけど、そこは言うことを聞いてくれた。
「どうだ? 明美が作った飯は?」
「・・・美味しい」
「それは良かったな」
そして、ホムンクルスの3人に飯を食わせ、俺も飯を食うことにした。
「ん? 何で皆食べて無いんだ?」
「一番疲れてる奴を差し置いて飯を食うのはあれだろ?」
「そうですよ、だから待ってました」
「ほらほら、食べようぜ!」
「そうだな、いただきます」
「よし! 食うぞ!」
そして、俺達は11人で飯を食い始めた。
と言うか、ちゃんと癒子用の薬草も調理してるんだからな、薬草は料理できたんだな。
もしかしたら、こっちの方が回復したりしてな。
にしても、今日は今まで以上に美味しいな、やっぱ、疲れた後だからかな。
さて、長い1日も今日で終わり、明日は楽な1日だったら良いがな。




