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ゲームによく似た異世界で最高の幸運を使い最強を目指す  作者: オリオン
第8章、ホムンクルス
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騒がしい朝

朝、目を覚ますと目の前で癒子が焦ったように飛び回っていた。

普段は俺よりも起きるのが遅いくせに今日はやけに早いな。

それにしても、なんで俺も周りを飛び回っているんだ?


「あわ、あわ、あわわぁ・・・」

「何だよ、随分早起きじゃないか」

「あ! 修介! 起きた!」


俺が起きたのに気が付くと、癒子は俺の方に降りてきた。

何だかすごい切羽詰まっているが、一体何だってんだよ。


「大変! 外が何だかおかしい!」

「おかしい? どこら辺が?」

「大きな音がするの」


外がおかしい? 癒子はそう言うが、周りは全く騒がしくない。

むしろ静かだ、でも、癒子の態度を見る限り嘘ではないだろう。

そもそも、こいつは今まで嘘を吐いた事なんてあったか?

俺はこいつを信じる事にした。


「で、どんな風に騒がしいんだ?」

「ドカン! ドカン! って感じ」


爆発音か? まぁ、やっぱりこれだけじゃ分からない。

とりあえず俺は素早く着替え、外に出る準備を整えた。


「あら、どうしたの?」


いつも早起きのりえるさんがリビングで俺に話しかけてきた。

俺は事情を話した、すると、りえるさんの一緒に来てくれるとのことだ。


「本当に何かあったら1人じゃ危ないからね」

「ありがとうございます」

「良いのよ、じゃあ、後から起きてくるリエ達の為に軽く書き置きをしとくわ」

「はい」


りえるさんは軽く書き置きを書き、素早く準備を整えた。

そして、俺達はギルドから出た、そして、驚いた。

大きな物音が響いてきたのだ、それも確かに癒子が言っていたドカン! と言う大きな物音だ。

これはもしかして、ホムンクルスの襲撃だったりして!

俺達はギルド管理区画から出てみた。


「これは・・・どんな状況よ!」

「ギルド内の探検家か、気が付くのが早いね、もっと遅いかと思ったけど」


そこには3人のホムンクルスが街を攻撃していた。

それもギルドに所属していない初心者の探検家を狙って。

殆どの初心者はかなりの重体だが、まだ息はあるようだ。


「ま、いいや、ひ弱な連中をいたぶるのも心が痛むからな、お前らなら問題は無いか」


3人のホムンクルスが一斉に俺達の方に接近してきた、3対2かそれも前衛と後衛1人ずつか。

これは間違いなく苦戦する、むしろ勝てるのか? いや、考えてる暇はないか。

そんな事を考えている間に、黒い髪の毛の男の子が俺の方に走ってきた。

それも、防御をまるで考えていないような速度で。


「舐めんな!」


俺はその男の子のホムンクルスに攻撃を仕掛けた。

しかし、ホムンクルスは俺の攻撃をすんなり回避、流石反射神経が人間離れしていやがる。


「そら!」


男の子は回避と同時に俺に攻撃を仕掛けた、まぁ、これは予想していたことだ。

人間以上に身体能力が高い相手、それを制するに高い予想能力が必須だからな。

俺はその男の子に蹴りを入れた。


「い!」


この攻撃を予想は出来ていなかったようだ。

俺の蹴りは無事に男の子に当たり、少しだけ宙に浮かせた。


「ナイスよ!{パワーショット}」


俺の攻撃を予想していたようで、りえるさんは素早く合わせてくれた。

そして、確実にホムンクルスの男の子を撃ち抜いた。


「がは!」


男の子はその一撃を食らい、地面に倒れた。

すぐに立ち上がるだろうと予想していたが、どうやら傷の治りはそこまで速くないようだ。

多分、回復能力が異常に高いホムンクルスとそうじゃないホムンクルスがいるんだろう。

これは俺達にとっては好都合だ、なんせ後2体も相手にしないといけないからな。


「よくも仲間を!」


今度は赤髪の少女と青髪の少女がこっちに走ってきた。

やっぱり連戦はキツい、それに今度は同時だ。

同時に身体能力の高いホムンクルスを相手にするのは厳しい。


「これは厳しいかもしれませんね」

「そうかしら? 意外と楽かもよ?{ボムショット}」


りえるさんは2人の足下にボムショットを撃ち込んだ。


「うわぁ!」

「きゃぁ!」


そして、2人はその爆発に巻き込まれ、左右に吹き飛ばされた。

どうやら俺達の方にばかり気が取られ、足下への攻撃に気が付かなかったようだ。

それに距離も密接だったしな、どうやらあの姉妹やあの少年の様に強くはないらしい。


「うぅ・・・」

「一応だ、封じさせてもらう{ファイアートルネード}」

「な! あ、熱い!」


ひとまず赤髪のこの方をファイヤートルネードに封じた。

これは下位職の明美のスキル、炎の渦の上位互換だ。

あの技よりも長い間相手を封じることが出来る。

こういう相手が複数いるときは便利な物だ。

それに、移動されたらアウトの炎の渦とは違い、引き寄せる効果があるからな。


「よくも! はぁ!」


今度は青髪の子の方がこっちに突撃してきた。

普通ならりえるさんの方に行くだろうに、俺の方に一直線だ。

これはチャンスだ。


「周りを見た方が良いぞ? いや、お前の場合は前だな{影走り}」

「消えた! って、わぁ! 引き寄せられる!」


俺は青髪の子の突撃を影走りで回避した、そして、彼女はファイアートルネードに引き寄せられている。

しかし、なかなかの粘りを見せ、ファイアートルネードには入らないように頑張っている。


「おまけだ{影斬り}」

「痛! ひゃぁ!」


俺は彼女の足を軽く斬った、すると痛みに耐えられず、彼女はファイアートルネードの中に入った。

影斬りは影走り中に攻撃する技、相手からしてみれば見えない何かに斬られた感じだろう。

影走りは姿を一瞬消し、別の場所から現われる技だ、その間に攻撃だから、対策は難しいだろうな。

その代わり攻撃力はさほど高くは無く、連撃も出来ない、あくまでおまけの一撃程度しか効果は無い。

しかし、俺の幸運能力と合わせると結構なダメージが期待できるスキルだ。

クリティカルでダメージがかなり上がるからな。


「ふぅ、これで結構なダメージでしょう」

「そうね、本当にあの連中みたいに強くなくて助かったわ」


もしも姉妹やあの少年の様に強かったら、この勝負は苦戦は必至だったろう。

そして、少し経ち、ファイアートルネードが消えた。


「うぅ・・・」


あの炎の中でもまだ息はあるようだ、とりあえず俺達はこいつらを拘束した。

かなり弱っていたためすんなりと拘束することが出来た。

さて、これで情報収集が出来るな。


「す、すごい・・・あれが上級者」

「おい、お前ら、結構怪我してるな、軽く回復してやる」


俺は傷だらけで倒れている初心者プレイヤーを回復させた。

結構な数の薬草が無くなったな、あぁ、こういうときに範囲回復スキルがあれば楽なんだろうな。

でも、仕方がない、俺が使えるヒーリングは自身を回復することしか出来ないしな。


「まだ怪我人がいるのか、もう薬草は無いんだけど」

「あれ? もう終わってます?」

「そうみたいだ」

「ちぇ、折角来たのによ」

「やっぱり強いね」

「眠たい・・・」


丁度皆がやってきた、もう勝負は終わったが、リエさんが来たのは丁度良い。

何だかリエさんはかなり眠たそうにしているな。


「リエ、回復魔法を唱えて頂戴そうね、ヒーリングエリアで」

「面倒くさい、眠たい」

「良いからやりなさい」

「えー・・・分かったよ{ひーりんぐえりあ}」


何だか非常にやる気の無い感じで唱えたがちゃんと回復する場所が現われた。

俺達は皆で協力して初心者プレイヤーをヒーリングエリアに運んだ。

意外と大変だが、まぁ、オールヒールの効果範囲はパーティー内だし、仕方ないか。


「よし、終わった」

「じゃあ、速く戻ろう、眠たい・・・」

「分かったわよ」


そして、俺達はギルドに戻った、少しの間休みたいしな、それに、ホムンクルスの尋問もしないとな。


「ホムンクルスの尋問ってどうやったら良いのかしら?」

「説得とかじゃないですか?」

「それもそうね、あ、じゃあ、修介君がやって頂戴」

「何で俺なんですか?」

「適任でしょ? あなたは懐かれやすいし」


ホムンクルスに懐かれた記憶は一切無いが、仕方ない、やるしかないか。

一応りえるさん達も協力はしてくれるそうだし、頑張ってみるか。

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