街への帰路
旅行から帰ってきました、本当は昨日戻ったのですが、体力的な意味で今日更新となります。
・・・・・・あ、明るくなっちまった、結局あれから一睡も出来ないで朝まで起きていた。
常に右から聞える勇次の大きないびきで一切眠れなかった、耳栓があればな。
これなら外で寝ていれば良かったかもしれない。
「朝食ですよ」
外から明美の声が聞えてきた。
「飯か!」
その声を聞いて勇次が飛び起きた、どんだけ飯を食いたいんだよ・・・
「あ? どうした修介、随分とくたびれた顔をしてるな」
勇次の奴が俺の方を向いてそう言いやがった、全部こいつのせいだっての。
「お前のせいだよ、いびきがデカすぎて一睡も出来なかったろうが」
「え? マジ? 俺そんなにうるさかった? ごめんごめん」
勇次の奴が笑いながらそう返してきた、これはあれだな、反省してないな。
ま、まぁ、いびきを意図的に消すのは困難って聞くし、責めようがないんだがな。
俺と勇次はテントから出た、すると、すごい勢いで癒子が俺の方に飛んできた。
「修介! やっぱりここが良い」
「何だよ・・・」
癒子は俺の頭の上に乗っかった、そして髪の毛を掴んでいる。
「あはは・・・癒子ちゃんは私の頭の上は何だか過しにくいって言ったんですよ」
「にへへ・・・修介の頭の上、落ち着く」
妖精にも好きとか嫌いとかあるんだな、これはこいつが俺に懐いているって認識で良いのか?
それともただ単に俺の頭の上がこいつに馴染みやすいだけか?
まぁ、どっちでも良いか。
「それで、修介さん、その表情から察するに眠れなかったんですね」
「あぁ、そうだ、一切眠れなかった」
「さ、災難ですね、まぁ、美味しいご飯を食べてください」
「あぁ、そうするよ」
俺達は食事の席に座った、席と言っても草むらだけどな。
そして、少し経ち、りえるさん達もやってきた、リエさんはりえるさんに背負われているが。
「あの、どうしたんですか?」
「リエの奴は朝弱いのよ、それに、普段よりも早いしね」
まぁ、そうだろうな、普段はもう少し後に飯が出来る、でも、今日は結構早めだ。
それでリエさんは背負われているのか、なるほどな。
「ほら、起きなさい、ご飯よ」
そう言いながらりえるさんはリエさんの頬をペチペチと軽く叩いていた。
そして、少しするとリエさんが目を覚ました。
「うぅ・・・痛いよ」
「軽くやったんだからさほど痛くないでしょ? さ、早くご飯を食べましょう」
「分かったよ」
そして、全員揃った俺達は食事を始めた。
明美の作った料理はかなり美味しく、これはすごいと感じた。
レベル的には家庭の母親レベルの腕らしいが、それ以上に感じた。
「これは美味いな」
「そうでしょう? かなり気合いを入れましたからね」
そして、しばらく経ち、俺達は食事を終わらせた。
今は明美は食器の片付けをしている、俺達も少しは手伝っているが、明美が1番速い。
「よし、食器の片付けは終わりましたね」
「あぁ、そうだな」
そして、俺達は街へ向かって進み始めた。
その道中でモンスターにぶつかることもなく、平和な物だった。
それにしても、モンスターが1匹も居ないってどうなってんだ?
基本的に道中にはわんさか居るのに、何だか不気味だな。
「変ね、モンスターが一切出て来ないなんて」
その不気味さはどうやらりえるさんも感じていたようだ。
「りえるさんもそう思います?」
「えぇ、普通はもうちょっとぶつかるでしょうに」
「おい! あそこ見てみろよ!」
俺達は勇次が指を差した場所を見てみた、そこにはモンスターの死体のような物があった。
モンスターは基本的に倒されて少ししたら消える、しかし、このモンスターは消えていない。
と言うことは最近殺されたことになる、それも首を折られるなんて異常な殺し方だ。
俺達のような探索者には出来ないだろう、そんな筋力は無いからだ。
「首の骨が折れる? こんな大きなモンスターが?」
サイズも相当な大きさだ、こんなの普通はあり得ない、あり得るはずがない。
だが、心当たりが無い訳じゃ無い、前、タワーでぶつかった男の子。
彼が自分以外にも仲間は居ると言っていた、と言うことは、もしかして。
「ホムンクルスの仕業の可能性もありますよね」
「・・・私もそう思っていたわ、考えたくは無かったけど」
「そうだよ、私がやった」
木の上から声が聞え、そこを向いてみると。
大きめのリボンを付けた、白い服の女の子が座っていた。
そして、手には赤い液体が付いている、恐らくモンスターの血だろう。
「お前もホムンクルスか?」
「そうだよ、ホムンクルス、そして、あなた達を倒せって命令されて探してたんだよ
でも、丁度良かった、探していたのが自分から来てくれてね、お陰で探す手間が省けたよ」
女の子はそう言いながら木の上から降りてきた。
見た目は幼いが、この子はあの大きなモンスターの首を折れるほどの怪力だ。
そんな奴相手に油断したら、間違いなく俺達の方が殺される。
「手加減は出来ないぞ? 俺達も死にたくはないからな」
「分かってるよ、むしろ、あなた達には手加減する余裕なんて無いでしょ?」
女の子は横にあった木を殴り、簡単にへし折ってしまった。
「さぁ、覚悟してね!」
「あ」
「へ? きゃう!」
しかし、折った木が自分の方に倒れてきて、女の子は木の下敷きになってしまった。
もしかして、この子はドジなんじゃないだろうか・・・
「あの、大丈夫か?」
「うっさい!」
だが、倒れてきた木を簡単に持ち上げて遠くに捨ててしまった。
やっぱりドジだろうが怪力は怪力だな。
まぁ、良いか、この子を何とかしないといけないことに変わりは無い。




