最終目標を告げる夢
さてと、武器も新しいのを新調して、レベルとスキルの確認も終わった。
そろそろ寝ようとするかな、ま、寝ないでも何の問題も無いが。
俺はそんな事を思いながら寝床に付いた、そして、妙な夢を見た。
その夢にはボーダーが出てきた、そして、何か話しかけて来た。
「どうやら、この世界で可能性が1番高いのはあなたみたいですね」
可能性というのが何のことか、俺にはさっぱり分からない。
「何の可能性か分からないでしょうし、一応お話ししますね」
どうやら理由を話してくれるようだ。
「この世界ではあなた以外に能力が壊れた人物がいます」
能力が壊れた人物? あぁ、俺みたいに1つの数値がイカれてる奴のことか。
他にもいたんだな、初めて知った。
「しかし、あなた以外の人物はその力で暴走しているのです」
「暴走?」
ようやく声が出た、これでやっと会話が出来るぞ。
「はい、その力を過信しすぎて周りを軽視しているのです、それではこの世界では生き残れない」
「生き残るも何もこの世界じゃ死んでも復活できるんだろ?」
「はい、3回だけは」
「3回だけ?」
「えぇ、そうです」
3回だけしか復活できないのか、知らなかった。
だが、本当にそうなのか? 気にはなるが確認は危険すぎるな。
「3回死んだらどうなるんだ?」
「消えます、存在その物が、そして、人々の記憶からも」
「な!」
驚愕の真実だった、記憶から消えるだと!? 最悪だな。
そんなんじゃあ、葬式も出来やしないじゃないか。
「ただ、私だけは記憶に残せるのです、私はそういう存在ですからね」
「じゃあ、お前は何なんだ?」
「神に近い存在です、ですが神では無い、この世界を変える力は無く、記録する事しか出来ない」
もしかして、こいつがこのゲームで言うセーブ機能みたいな役割を果たしてたのか?
だとすると、こいつの言っている事は全部真実? いや、まだ分からないな。
「ですので、あなたに頼みたいのです」
「な、何をだ?」
「この世界の異常事態を止めて欲しいのです、あなたのお仲間と協力して」
「世界の異常事態って何だよ」
「それは、モンスターが意思を持ったことです」
モンスターが意思を持ったこと・・・もしもそれを正せばこいつの意思も消えるんじゃ無いか?
でも、それを頼むのか・・・よく分からないな、まぁ、それで元の世界に戻れるのならやってみるか。
「わかった、でも、どうやったら良いんだ?」
「この世界で最も強い存在を倒してください、それでこの世界は戻ります」
この世界で最も強い存在・・・そんなのランキング1位の奴しか思い当たらない。
詳しくは知らないが、噂では全てのモンスターを撃破し、常に最上位に存在しているという。
変動することも無く、常に最上位に・・・
「最上位の人物を倒せと? 無理だろ」
「まぁ、普通は無理ですね、あの人物は自分の限界を不思議な力で塗り替えてますし」
「ど、どういうことだ?」
「何故か攻撃、防御、魔力、精神力がこの世界の限界を超えてるんですよ、本当に怖いですね」
もしかして、チートでも使ってるのか?
だとしたら勝ち目は無いんだが・・・
「まぁ、勝てる可能性はありますよ、あなたほど能力は壊れてませんし」
「そうなのか?」
「はい、ですので、お願いします、あなた以外の人はその能力におぼれていますので」
ランキング1位の奴を倒せなんてな、気が遠くなりそうだ。
でも、やるしか無いんだろうな。
「分かったよ、まぁ、かなり時間は掛かるだろうけどな」
「ありがとうございます、では、そろそろ私は下がりますね」
「あぁ、またな」
「はい、では、よい眠りを」
そう言うとボーダーは姿を消した、すると視界が歪み、周りが暗くなる。
やっぱりあいつがこの夢を作ったのか・・・ボーダー、あいつはかなりすごい存在みたいだな。
視界が完全に真っ暗になり、目を開けると、どうやら朝のようだ。
一応さっきの夢のことを報告しておこう。
「おはようです」
「ん、おはよう、よく眠れたかしら?」
「いいえ、変な夢を見まして」
「どんな夢かしら?」
俺はりえるさんに俺が見た夢を話した。
そして、ボーダーが言っていた事を全て話した。
「・・・そう、そんなに鮮明に覚えているのね」
「はい」
「ふむ、良いわ、信じてみましょう、じゃあ、目標は3回以上死なずにランク1位を倒すことね」
「良いんですか?」
「当然よ、ランク1位を倒すのは私の目標でもあったわけだから
それに、最終目標は無理難題の方が楽しめる物よ」
「でも、途中で諦めたりはしないんですか?」
「1人ならね、でも、それを共に目指せる相手がいるなら問題は無いわ」
りえるさんは本気でそう言っていた、本当にこんな人がマスターでよかった。
多分、こういう人物が大きな目標に導いてくれるんだろう。
やっぱり、このギルドに入れたのは幸運だったな。
「それじゃ、皆にも話しましょう、あなたから話してね」
「はい、分かってます」
俺達は皆を集めて、このことを話した。
「ランク1位ですか・・・それに3回死んだらお終いなんて」
「あまり無茶は出来そうに無いっすね」
「まぁね、でも、これを達成しないと戻れないし、目指すしか無いわ」
「まぁ、あたしはやるけど、要するに3回死ななきゃ良いんだよね?」
「そうだな、ま、無茶をしなきゃ良い」
「私、も、やるわ、皆が目指すならね」
「当然、俺もだ、目標はデカい方が面白いからな」
明美以外は皆了承してくれたようだ。
さて、問題は明美だが・・・どうだろうか。
「・・・分かりました、私もやります! その代わり、修介さん、ちゃんと守ってくださいね?」
「あぁ、守るよ、後ろの全員を守るのが前衛の役目だからな」
「それを聞いて安心しました」
「何かよ、修介ばかりモテて羨ましいんだが」
「勇次は下心しか無さそうだからモテないんですよ」
その一言の後、皆から笑いがこぼれた、全く、シリアスな空気をぶちこわしやがって。
でも、それがこいつの良いところでもあるからな。




