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ゲームによく似た異世界で最高の幸運を使い最強を目指す  作者: オリオン
第3章、狂い始めたゲームの世界
23/201

成長の実感

初めてこのギルドに参加して、相対したダンジョンボス、オーク。

ここに入ってそこまで経ってはないが、何だかかなり懐かしいような記憶がある。

そして、今目の前にはそのオークの上位互換、ホムンクルスか。

あれからどれだけ成長したかを確認する良い機会かもしれないな。


「戦い方はちゃんと覚えてる?」

「はい! 問題ありません」

「まずはあたしが足止め! その後、後方からの援護!」

「分かってるようね、行きなさい」


そのGOサインと同時に愛は一気にホムンクルスに接近した。

そして、愛に気が付いたホムンクルスは愛に攻撃を仕掛ける。

オークよりも攻撃範囲は広そうだ、これは、回避とかが難しそうだな。


「もう、さっきみたいにへまはしない!」


愛はその攻撃を盾で完璧に防いで見せた。

やっぱりこういうタイプの相手だと愛みたいな完全な防御特化の方が前衛に最適なんだろう。


「よし、今よ! 一斉に攻撃を仕掛けなさい!」

「行きます! {ホーリーレーザー}」

「すぐに、倒す{フォースキャノン}」


2人の攻撃は完璧にホムンクルスを撃ち抜いた。

その威力は相当な物で、ホムンクルスも少し怯み、後方に退いた。


「OK、次は私達よ{トリプルショット}」

「了解ッス{パワーアロー}」

「ぐが!」


2人の攻撃は見事にホムンクルスの眉間に当った。

普通の生き物ならこれで死ぬだろうが、相手は化け物だ、こんなんで死ぬとは思えない。

俺はりえるさんの指示通り、前衛の方に走っていった。


「よし、チャンス! 修介先輩、合わせて」

「お前が合わせてくれよ」

「合わせるのって苦手なの」


そんな会話をしている間に攻撃のチャンスがやってきた。

もう、合わせるだとか合わせないだとかどうでも良い!

さっさとやらないと攻撃のチャンスを逃す!


「お前の好きなタイミングでやれ!」

「そう来なくっちゃ」

「「行け!{2重火炎斬り}{チャージスピア}」」


合わせるつもりは一切無かったが、何だか丁度良いタイミングで同時攻撃が出来た。

その攻撃を受けたホムンクルスがぶっ倒れるほどのダメージだ。


「ちゃんと合わせてくれたんだ、修介先輩」

「合わせたのはお前じゃないのか?」

「あたしは先輩に言われたとおりに好きなタイミングで攻撃しただけ」


偶然だったのか、これも俺の運のステータスが影響してるのか?

いや、多分違うな、この数値が概念的に作用した事なんて無かったしな。


「まぁ、良いか、で、ホムンクルスは?」

「がぁ!」


倒れていたホムンクルスは突如起き上がり、俺に攻撃を仕掛けてきた。

デカいくせに妙に機敏な奴だ、まぁ、手負いの獣は凶暴らしいしな。


「面倒な!{稲妻斬り}」


俺はその攻撃が当る直後にスキルを発動させ、その腕を斬った。

しかし、分厚い腕のせいで一発で斬ることは出来なかった。


「がぐ!」


だが、この一撃はこいつを怯ますには十分なダメージだったようだ。

距離を取れるだけの隙は出来た。


「良く避けれたね」

「判断力には少し自信があってな」

「流石は修介先輩、じゃあ、あたしも行ってみようか!{ウォール}」


愛は騎士のスキル、ウォールを発動させた、この技は確か騎士の専用スキルだったか。

動くことが出来なくなる代わりに防御力を爆増させ、モンスターの注意を引くことが出来る技。

効果時間は短いが、その間に全員で攻撃を仕掛ければ結構なダメージを稼げるだろう。


「がぁ!」


ホムンクルスはしっかりと愛を狙い、攻撃を始めた。

ちゃんと効果はあるようだな、少しだけ安心したぜ。


「今のうちね、一斉攻撃よ!」

「行きます!」


後衛の全員は一斉攻撃を開始した、ダメージは確実に入り、弱ってきているのが分かる。

やっぱ、後衛の瞬間火力は凄いもんだな。


「どうかしら?」


集中砲火が終わり、愛のウォールの効果も切れた。

ホムンクルスは地面に倒れ、動きそうにない。

しかし、こんな状態でも動いてきた奴を結構見てきたし、素直に喜べないな。


「ま、まだ動くんじゃないですか?」

「そうよね、仮にもボスだもの、警戒しましょう」

「じゃあ、俺が確認しよう」


ゆっくりとホムンクルスに近寄り、軽く剣で刺してみた。

しかし、ホムンクルスは反応はない・・・

だが、何だか表面が少しずつ溶けてるような気がする。


「な、何だ?」

「不安なんだけど・・・」


少しして、ホムンクルスは完全に姿を消した、すると中から小さな何かが動いている。


「何だ? この小さいの」


俺はちょっとだけつついてみた、何か、柔らかかった。


「ゼリー? でも、そこまで柔らかくないし・・・」


少しの間それを見ていると、少しだけ動いたのが分かった。

どうやら生き物の様だ。


「ぱ、ぴぃ~!」

「は!?」


その小さな生き物はいきなり走り始め、空を飛び、階段を上がって行った。

その素早さはかなりの物だった。


「何だ、あれ」

「さ、さぁ」

「もしかして、ラッキーアイテムとかですかね?」

「ホムンクルスの体内から出てくるラッキーアイテムなんて知らないわ」

「とりあえず追ってみましょう、何かあるのかもしれないッスしね」

「そうね、まぁ、あれが進んだ方向は私達が進むべき方向だし、結局追いかける形になるわね」

「それもそうっスね」


とりあえず、俺達は先に進む事にした。

そして、その階段は今までの階段とは違い、かなりの長さだった。


「何だか、こういうときって緊張しますよね」

「まぁ、ラスボス前とか大体こんな場所があるからね」

「一応、タワーの、ラスボス、だし」


しばらくの間上がり続け、ようやく明るく、広い場所に出た。

今までの中で最も大きいであろう巨大な部屋だ。

迷路でないだけで、これだけ広く感じるとはな。


「あそこに何かいるわね」


そして、その奥には大きな椅子に座っている何かが見えた。


「ようこそ、良く来ましたね」

「話せるタイプか」

「私はこのタワーを預かっているボーダーと言います」

「ボーダー? 境界?」


ボーダー、人が住める世界と住めない世界の境界線に存在する神に似た生物。

彼女が君達にとっての最初の壁となり、越えるべき線でもある。

と言う説明だったかな、最初の壁、越えるべき線か面白そうだな。


「まずは、ここまで来たことを褒めてあげしょう」

「随分上から目線ね」

「まぁ、一応この場の管理者ですので」


ボーダーは一切の動揺はなく、冷静にりえるさんの言葉に返答した。


「ですが、私を倒さねば、あなた方がここまで来た理由はなくなります」

「そうか、つまり、お前を倒せば良いんだろ?」

「結論から言えばそうなりますね」

「では、あなたを倒します」」

「ふふ、良いでしょう、さぁ! 証明しなさい! あなた達がこの先の世界に行けることを!」


ボーダーが手に持っている2つの棒を叩くと周りから太い触手や茨が現われた。


「さぁ、ここまで来たのです、見事私を突破して見せなさい!」


ボーダーは左に持っている棒をこちらに向け、大声で叫んだ。

だが、こいつは今座っている席から動こうとはしなかった。

どうやら、あの席から動かないようだ。


「じゃあ、あなたを越えさせて貰うわ! 皆!」

「了解!」


りえるさんのサインと同時に、皆は同時に武器を構えた。

これが、この塔での最後の戦いか、ここまで来たんだ、今更引けないな。

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