新しい異常事態
ヒューマン・イーターを倒し、3階の休憩所で昨日は一休みをすることになった。
ヒューマン・イーターのせいで蜘蛛が夢に出てくるかもと思っていたが、出てきたりはしなかった。
どうやらそこまで堪えてなかったようだな、やっぱ、1度散ったところを見たからだろうな。
ただ、明美とりえるさんは巨大蜘蛛の子どもに追われる夢を見たそうだ。
「あぁ、最悪よ、まさか夢に見るなんて・・・」
「うぅ・・・今日はもう寝たくありません・・・」
「その表情から察するに、蜘蛛の夢を見たんスね」
「えぇ」
「あ、あんな悪夢を見たのは初めてです、蜘蛛が私の体にへばりついて、きゃー!」
明美は思い出しただけで悲鳴を上げた。
それだけ恐ろしい夢なら思い出さなかったら良いのに」
「でも、最後には修介さんが助けてくれました」
「夢の中の俺スゲーな」
実際の俺だと誰かの体にへばりついた蜘蛛を剥がすなんて出来ないだろうな。
まぁ、それだけ信頼されてるって事かな?
「それじゃ、さっさと行きましょうか」
「はい」
俺達は休憩所を出た。
さて、今度は3階の探索か、大体この時が大変な気がするな。
「この階は虫とか出て来ないよね?」
「それ、は、気になる」
「出て来ないわ、確かここで出てくるのは」
りえるさんがそこまで言うと、近くの壁が壊れ、その場所からレイジ・ホムンクルスが姿を現した。
「何だ!」
「・・・・・・この場所で出てくるのはホムンクルスよ」
「ホムンクルス!? じゃあ、もしかしてクリムゾン・ホムンクルスも!?」
「いいえ、それは出ないわ」
それを聞いて安心したぜ、またあの化け物の首を落とすのはいやだしな。
まぁ、レイジ・ホムンクルスと戦うのも面倒だが。
「じゃ、ここはあたしが足止めする!」
愛が大声を出し、レイジ・ホムンクルスに接近した。
レイジ・ホムンクルスも愛に気が付き、正面からぶつかった。
「来い!」
「ぐぉぉぉ!!」
愛はレイジ・ホムンクルスの攻撃を完璧に防いで見せた。
昨日はあんなザマだったが、やっぱり騎士は防御がすごいな。
「ぐ、ぐぐぅ」
「ぐぉぉぉ!」
「攻撃開始よ!」
愛がレイジ・ホムンクルスを抑えている間に、りえるさん達が一斉に攻撃を仕掛けた。
「このままいけるんじゃないの?」
「そうっすね! 潰しましょう!」
「うん」
しかし、今度は後方から大きな音と共にレイジ・ホムンクルスが出てきた!
今、愛はあのレイジ・ホムンクルスの相手で手一杯だ。
「こっちは俺が抑えます!」
「任せたわ!」
愛みたいに防御力が特別高いわけじゃ無いが、俺も前衛職だ。
しかも、レイジ・ホムンクルスに対しては相性は良いしな。
「ぐぉぉぉ!」
「そら!」
俺は、レイジ・ホムンクルスの攻撃を避け、腕を斬った。
当然クリティカルだったが、あまり怯んではいなかった。
もしかして、ここのレイジ・ホムンクルスはクリティカルで怯まないのか?
仮にそうだとしても、回避しながら戦えば問題ない。
「ぐぉぉぉ!」
「来た!」
レイジ・ホムンクルスが接近してきて、攻撃を仕掛けてきた。
しかし、後方から何かが飛んできて、レイジ・ホムンクルスは怯んだ。
どうやら矢のようだ、と、言うことは。
「修介! お前の援護は俺がするぜ!」
「やっぱりお前か」
やはり勇次だった、ありがたいな。
「よし! じゃあ、なんとかスロウナイフ当ててくれよ!」
「分ってらぁ!」
俺は一気にレイジ・ホムンクルスに接近した。
それと同時にレイジ・ホムンクルスも反撃を入れてきた。
俺はその攻撃を回避し、レイジ・ホムンクルスの足を斬りながら後方に回った。
「ぐがぁあぁ!」
レイジ・ホムンクルスは当然反撃を仕掛けてきたが、これも簡単に回避できた。
あの頃と比べるとやっぱり俺も強くなったんだなと実感できた。
「行くぜ!{スロウナイフ}」
「ぐがぁ!」
「こいつはおまけだ! {パワーアロー}」
「がぐあぁぁ!」
勇次のおまけの一撃を受けたレイジ・ホムンクルスはその場に倒れた、おまけが本番だったな。
それにしても、レイジ・ホムンクルスも弱くなったもんだ。
いや、俺達が強くなったのか?
「よし!」
「あぁ、そっちも終わったのね」
「あ、はい」
どうやら、りえるさん達の方も終わったみたいだ。
「うんうん、皆、確実に強くなってるわね」
「そうですね」
俺達は再び先に進んだ、どうやらこの階はそこまで複雑じゃないようで
殆どの道が一方通行だ、たまに別れ道はあったが。
その道中、何度かレイジ・ホムンクルスに襲われたが、大した問題は無かった。
そして、中心の大きな部屋、明らかにここに中ボスがいる。
「周囲を警戒しなさい」
「はい」
俺達は周りを観察した、しかし、ボスの姿など無く、ただ時間が過ぎていった。
「いない、どういうこと?」
「ここにはいないのか?」
俺達は迷いながら先に進んだ。
すると、出口に付いたとき、床を突き破り、子どもが姿を現した。
「何だ! 子ども!?」
「分らないわ! でも明らかにヤバい!」
その子は見た目は幼いが、地面を突き破るほどの怪力だ!
下手したらレイジ・ホムンクルスよりも力がある可能性もある!
「ふーん、君達が・・・うん、面白そうだ」
「喋れるのか!」
「そうだよ」
「ここのボスは?」
「引きちぎった、柔らかかったね」
引きちぎっただと!? もしそうだとしたら、こいつはここのボスじゃないのか。
「君達もかなり驚いてるみたいだね」
「この子、絶対にヤバいですよ!」
「君達は簡単には壊れないでね」
そう言うと、幼い男の子は体勢を低くして臨戦態勢を取った。
見た目にだまされて油断しないようにしないとな。




