タワー、2階の探索
1階の番人を倒し、2階に上がることは出来た。
しかし、2階は1階と比じゃないくらいに複雑な迷路だった。
その上、沢山のモンスターがいて消耗が激しい。
「と、モンスター多いですね」
「えぇ、ここは消耗させるエリアだからね、まぁ、あなたのお陰で消耗はほぼ0なんだけど」
俺達の最大の取り柄は装備の性能が異常だと言うことだ。
本来、この段階ではあり得ないほどの攻撃力を叩き出せる。
所詮は小型のモンスター、ボスみたいに盛大な設定がないため、楽に進める。
「そういえば、ここら辺の魔物の名前って何ですか?」
「そうね、確か大蟷螂だったかしら?」
大蟷螂、その名の通り、巨大なカマキリである、攻撃力が高いがそれ以外はなんてことはない。
所詮は虫が大きくなった程度のモンスターである。
確か、これが説明文だったな、特別何かがあるわけでは無さそうだ。
「見た目通りなんスね」
「まぁ、カマキリだし?」
そんな会話をしながら俺達は奥に進んでいった。
中間ほどに着くと、やはり少しだけ大きな広場に当った。
「これは・・・中ボスかしら?」
「階段はありませんしね」
しかし、周囲を見渡しても、モンスターなど何処にも見えなかった。
ただ、無駄に広い風景があるだけだ・・・
「もしかして、あのカマキリが中ボス?」
「あり得ないわ、たかが大蟷螂如きが中ボスなんて」
「で、も、何も、無い」
「きっとあたし達に怖じ気づいたのね!」
「だとしたら、俺達はこれ以上モンスターと戦わねーで良いって事か!」
まぁ、そんなわけはなく、どこからか大きな羽音が聞えてきた。
「どうやら、来たみたいだぞ、勇次、たまにはスカウトらしい事しろよ」
「へいへい・・・」
勇次は目を瞑り、耳を澄ませた、どこからかの羽音かを探っているのだろう。
そして、少しして、勇次は目を開けた。
「上だ、上から来てる」
「上?」
俺達は一斉に上を見上げてみた、すると、そこには巨大な蜂がゆっくりと降りているのが見えた。
人間の何倍もある大きな虫、大蟷螂でも人間サイズだったってのに!
「なんだあれ!?」
「あれは、ワイルド・クイーン、超巨大な蜂よ」
ワイルド・クイーン、巨大な体を持つ彼女は、その恐ろしく巨大な針で獲物を貫く。
その針に貫かれた者は、一切の身動きを取れなくなり、ただ死を待つのみ。
だが、巨大すぎる彼女は子を1人で残せず、獲物に植え付ける。
その為、捕まってしまえば、死よりも恐ろしい体験をするであろう。
と言う設定があったな、設定内のそれは完全に蜂の上位互換な訳だが。
まぁ、捕まったらヤバいのはよく分る。
「あいつはヤバいわよ!口から麻酔液とか出すし!針になんかに刺されたら動けなくなるし
ゲームの時はリフレッシュとかで回復できたけど、今は分らない」
「要するに、食らうなって事ですよね?」
「えぇ、ただ、動きも少し速いから警戒しなさいよ」
「はい!」
ワイルド・クイーンはゆっくりと降りてきて、こっちを向いた。
そして、俺達を認識し、素早くこっちに飛んできた。
「愛ちゃん!」
「分ってる!」
愛がワイルド・クイーンに接近し、盾を構えた。
しかし、ワイルド・クイーンは愛を避け、後ろの俺達の方に突撃してきた。
「な!そっち!?」
「普通近い方狙うだろ!」
ワイルド・クイーンは俺達に向かって針を突き刺そうとしてきた。
「この!」
「びぃん」
俺はその針をギリギリで攻撃し、怯ますことが出来た。
と言うか、針に攻撃してもダメージは入るのか。
「びぃぃ」
ワイルド・クイーンは俺の攻撃にビビったのか、距離を取った。
「後ろに下がった、チャンスじゃないですか?」
「そうね、やりましょうか!」
「同時に行きましょう!」
「わか、った」
「やってやるぜ!」
リエさん、明美、勇次は各々の武器を構えた。
その狙っている方向が皆違うのがよく分る。
「撃て!」
「ホーリーレーザー」
「フォースキャノン」
「パワーアロウ」
3人は同時に高火力の攻撃をぶっ放した。
俺と愛はその攻撃と同時に、一気に走り、ワイルド・クイーンに接近した。
しかし、ワイルド・クイーンは3人の攻撃を回避した。
唯一攻撃が当らない場所である、下の方に移動して。
「掛かったわね、食らいなさい!「トリプルショット」
りえるさんは下に降りてきたのと同時にトリプルショットを放った。
「びぎぃ」
その攻撃をワイルド・クイーンは回避することは出来ず、直撃だ。
そのダメージでクイーンは地面に落ちた。
しかし、まだ生きているようで、少しだが動いている。
「まだ生きてたか」
「予想通りだけどね」
俺達はまだ、こいつがくたばるとは思っておらず、接近していた。
空高く飛んでる奴を近接攻撃で叩くのは無理がある
しかし、地面に落ちているのなら、近接攻撃が届く!
「これで」
「終わり!」
「2重火炎斬り」
「チャージスピア」
俺の攻撃はクイーンの右の羽を落とし、愛の攻撃はクイーンの顔面にヒットした。
もし、これで生きていたとしても、こいつはもう空を飛べないだろう。
「び、びぃ・・・」
クイーンの動こうとした動作は全て止まった。
どうやら仕留めたようだ。
「よし、終わったか」
「ふぅ、結構あっさりだったわね」
「麻酔液なんて飛ばしませんでしたね」
「そうね、うーん、焦って損したわ」
「そうですね」
俺達が集合して、先に進もうとしたときだ。
後ろから少しだけ小さな音が聞えた。
「なんだ?」
「ぎ、ぎぃ!」
「うわぁ!」
クイーンは最後の力を振り絞り、こっちに麻酔液を飛ばしてきた。
「な!この!「カマイタチ」
俺は急いでカマイタチを使い、その液を吹き飛ばした。
流石はカマイタチだ、風の力を扱ってるだけはあるな。
「ぎぃ・・・」
それが最後の抵抗のようで、クイーンは今度こそ活動を停止した。
「あ、あっぶね!助かったぜ修介!」
「ふぅ、気にするな、にしてもカマイタチは便利だな」
「本来の使い方じゃないのだけどね」
そして、俺達はクイーンの素材を軽く採取し、先を急いだ。
しかし、ボスってどんな奴だ?不安しかないな。