新しい仲間に極上のプレゼントを
新しくメンバーが入り、ホーリーアップルは6人になった。
前衛職が増えたのは純粋に嬉しいもんだ。
「あの、お風呂に入らせて欲しいんだけど」
「ええ、良いわよ、お風呂はあっち」
「ありがとう」
愛がこのギルドに参加して、最初にすることは風呂か。
まぁ、うん、現状この世界の風呂はギルドの風呂しか無いからな。
この子が入ってきた理由も多分風呂なんだろう。
「う、ん、新しい子、どうなのかな?」
「大丈夫でしょ、きっと優秀よ」
「まぁ、俺はかわいこちゃんなら何でも良いんスけどね」
「少しは自重してください」
勇次は相変わらずだな。
まぁ、いつまでもぶれない奴ってのはレアな気もするが。
「そういえば、あの子の武器を作らないで良いの?」
「騎士がどんな装備をするのか俺は知りませんよ」
「じゃあ、軽く説明してあげるわ」
「お願いします」
騎士にはメインが2つあるそうだ。
そのメインとは、槍と盾の2つだ。
槍とはリーチが高い武器で、クリティカルが出たときに他の武器よりも大ダメージを出せる。
しかし、命中率が少し低く、相手の防具に他の武器よりも影響されやすいという欠点もある。
次に盾だが、騎士はこの盾を2つ程持つことが出来るそうだ。同時にじゃないが
まず1つ目は中くらいのシールド、これは剣士でも持つことが出来る。
そこそこの防御力でかつ、移動速度をそこまで落とさず、回避も行うことも出来るバランス型だ。
もう一つはタワーシールド、この盾は騎士とその上位職、最上位職しか持てない。
驚異的な防御力を持つ反面、移動速度を大きく落とすため、回避はほぼ不可能に等しい。
完全に守るための盾だ、しかし、防御範囲も広いため、安定性は高い。
「分かったかしら?」
「まぁ、大体は」
「えっと、盾と槍をメインで装備出来るんですよね?」
「そうよ、2つメインがある武器は補正が1つの時と比べて若干低いのだけど、騎士は変わらないの」
職業にはメイン、サブの2つが存在している。
メインの+補正はサブと比べて大きいが、1つにしか掛からない。
剣等の攻撃武器には攻撃力に、盾等の防御武器には防御力に、杖等の魔法武器には魔力に補正が乗る。
ただ、サブの場合はたとえ攻撃武器でも防御やHPに補正が掛かる。
1つに掛かる補正は少ないという弱点があるが、それでも全体的に上がっている。
サブはメインの弱い部分をカバーする装備、バランス良く上がるのはありがたいことだ。
「そうなんですね、職業にも色々あるなぁ」
「そうよ、ま、とりあえず盾を作ってあげなさい」
「槍じゃ無いんですか?」
「騎士は攻撃よりも防御に重きを置いている職業よ、防御力を底上げした方が
本人の生存率も、パーティー全体の生存率も格段に上がるわ」
「そうですね・・・でも、タワーシールドの設計図も素材もありませんよ?」
「一応あるのよ? 素材は皆のを貰わないといけないけど」
「皆で出し合いましょう」
「はい」
俺達は各々の素材を出し合い、新しいタワーシールドを作ることにした。
まぁ、作るのは俺なんだけどな。
それからしばらく経った。
「ふぅ、良いお湯だったな」
「あ、出てきたか」
「どうしたの? 修介先輩」
「プレゼントがあってな、結構気に入ると思うぞ」
「プレゼント!?」
「あぁ、ギルドの全員からのプレゼントだ、ありがたく受け取りな」
俺は新しく作ったタワーシールドを渡した。
「これは・・・憤怒の盾!? 確か、レイジ・ホムンクルスの素材から作れる盾!?」
「あぁ、ちょっと前にそこに行ってな、無駄に素材が集まったんだ」
「あの時は驚きましたよ、まさかあんなに出てくるなんて思いませんでしたしね」
「何体だっけ?」
「覚えてないな」
確か、憤怒の盾の説明とステータスは
憤怒の盾、狂気の世界の番人、彼らの怒りが凝縮されたこの盾は
使用者の精神、そして守りを大きく上げてくれるだろう。
効果、精神力を大きく上げる、攻撃を防ぐたびに攻撃力が上がる。
ステータスはこうだ。
HP+600
SP+10
攻撃+10
防御+600
魔力+10
精神+400
と言う、結構な数値が出ている。
まぁ、動きが非常に鈍くなると言う弱点があるしな。
「すごい、ステータスもおかしい・・・これがあのダンジョンの装備!」
「いや、ステータスがおかしいのはこの武器を作った奴が異常だからよ」
「異常って・・・まぁ、否定はしませんが」
「どういう意味?」
「この武器を作ったのはそこの修介君よ、運の数値が9,999なんてぶっ飛んでるの」
「へ!?運が9,999!? どうなってんの!?」
「さぁ? このゲームをやろうとして、ここに飛ばされて、ステータスを見たらそうなってた」
「だから、この子はその気になればこの状態で最上位の武器を作ることも出来るのよ」
「本当に!?」
「多分な」
このゲームは運が1番上がりにくく、更に1番重要だそうだ。
武器を作る時も、料理を作る時も、情報を集めるときも、その他多数の事で運が大きく作用する。
運が良ければ極上の料理を作れるし、最高の情報を集めることも出来る。
まぁ、俺のサブは鍛冶屋だ、他の事は仲間に任せる。
「最高の幸運を持った人がいるギルド・・・あたし、とんでもないギルドに入っちゃったかも・・・」
愛は少し頭を抱えて、考え事をしている様だ・・・
俺、何か変な事したっけ?まぁ、良いか。
さて、明日は多分タワーに挑むんだろうな、何か、楽しみだぜ。




