手を考えろ!
「・・・」
「くぅ、逃げるしかないってのは癪よね」
俺達は現状、皆に攻撃を仕掛けることは出来ない、仲間だし、もしも倒してしまったら
きっと、本当に倒してしまうパターンだろう、クソ! 本当にトコトンまでウザったい仕掛けだな!
「時間稼ぎになれば{マナエネミー}」
リエさんは迫ってくるミミさん達から逃げながらも、マナエネミーを展開して迎撃を行なった。
しかし、相手はミミさん達だ、たかがマナエネミーで召喚されるモンスターなら一太刀で倒してしまう。
これじゃあ、あまり時間を稼ぐことは出来ないだろうな。
「ねぇ、なんで美香は近寄ってこないの?」
「多分だが、ダイアは暴走してないからだ、だから、ダイアが指示に従わない」
「なるほど、ダイアは暴走してないし、美香の本当の姿を知ってる、だからあの美香の指示には従わない」
「そうでしょうね、で、明美ちゃんが召喚獣を使ってこないのも、それが理由ね」
確かに、そうかも知れないな、それは本当にありがたいな。
特に明美、もしも召喚獣も攻撃してきたら、俺達に敵対する相手が4匹も増える。
それも、鳥、素早い狐、周りを凍らせてくる犬、電気を操るネズミだ
そんな状況に陥ってたら、俺達が勝てる見込みはほぼゼロだろうな。
「そこはありがたいね」
「確かにね、でも、状況がヤバいのには変わりないわ」
俺達はそんな会話をしながらも、必死に逃げ回った。
りえるさん達はシルスに乗って貰っているから、俺達の方が速度は早い。
ただ、後方から時々飛んでくる明美の援護射撃がかなりヤバいが、このままなら逃げ回れる!
「とにかく! 急いでこの階から降りるわ! そこで作戦を考える!」
「分りました!」
俺達はとにかく大回りをしていき、急いで入り口の方の階段に向った。
「よし! このまま!」
俺達が急いで階段から逃げだそうと走っていると、後方から謎の声が聞えてきた。
「ふ、逃げたければ逃げるが良いぞ、だが、その場合、お主らの仲間はこの儂が殺す」
その声は、少女の様な声だが、何処か魅了されてしまう感じの声が聞えてきた。
ミミさん達はその声が聞えると同時に、素早くそっちを向き、お辞儀をした。
「あ、あんたは!?」
「儂は、吸血鬼の真祖、レンドールじゃ、ま、真祖と言っても、まだ100年程度しか生きておらんがな」
「100年? 随分と長生きなのね」
「何、所詮は100年だ、だが、我は真祖の中で最も才覚がある、油断はせん方が良いぞ?」
吸血鬼か・・・まぁ、納得いくな、金色で長い髪の毛、真っ黒いリボン、異常な程に真っ白い肌、真っ赤な瞳
真っ黒く胸元を強調したような服に真っ黒いスカート、そして何より真っ黒い羽。
「何よ、完全に痴女じゃないの、そんな服を着て!」
「儂は吸血鬼じゃ、男を魅了するための服装に決まっている」
「な、何だよ、なんで俺の方を見やがった」
「美味そうな男がおるなと確認しただけじゃ」
その自称吸血鬼の少女は、自分の口の周りを舐めて、俺の方をジッと見ている。
更に、同時に俺は、あの少女の目を見てはいけないという、そんな勘が働いた。
「・・・・・・」
「儂の目を見ぬか、なるほど、堪が鋭い男じゃな、じゃが、それがそそる」
「修介君、惑わされたら駄目よ」
「分ってますよ」
男としては、1番会いたくない相手だな、話し声も俺を惑わせてくるとは。
これは、あれだな、男心を確実に手駒に取ってきた感じだ、流石は吸血鬼の真祖だな。
「しかし、もしも儂が男ならば、容易に魅了できたろうに」
「何のことかしら? もしかして、私達を魅了するとか?」
「あぁ、そうじゃ、ここまで女子が多いのならば、儂が男であれば、すんなりと下僕に出来たろうにの」
「馬鹿馬鹿しい、あなたなんかに魅了される訳ないでしょうが!」
「まぁ、そうじゃな、もしも自分が男ならば等と考えようとも、事実は変わらぬ
じゃから、今できることをやるとするかの、まずはお主を魅了し、儂の下僕にして見せよう」
「うわぁ!」
な、何だ? 何だってんだよ!? 何でさっきまであそこにいた奴が俺の耳元で囁いて!
「修介君!? どうしたの!?」
「あ、いや」
「ふふ、ういやつじゃ、やはりお主を我が唯一の下僕にしてやろう」
く、くそ・・・本当に、嫌な奴だ・・・
「誰が下僕なんぞになるか!」
「その強がり、いつまで続くか、楽しみじゃ」
うぅ・・・最悪だ、こんな奴相手じゃ、調子が狂っちまう・・・
「厄介そうな相手ね・・・修介君、惑わされたら駄目よ?」
「わ、分ってます・・・」
「ククク、安心せい、ゆっくりと儂の物にしてやろう」
レンドールは、小さく笑い出した・・・こ、これは、ヤバいぞ・・・
下手したら、1番ヤバい相手かも知れない。
「それでは、もう一度じゃ、やれ」
「・・・」
さっきまでその少女に対してお辞儀をしていたミミさん達が俺達の方に向き直り、武器を構えた。
「さて、その男の周りにおる女どもよ、1つ、アドバイスをしてやろう」
「は? アドバイス?」
「その男をしっかりと守るのだな、クク、守れるのならな」
レンドールはそう言い残すと、何処かに姿を消した。
「逃げた!? く、今はそれどころじゃないか、早くミミ達から逃げるわよ!」
「あ、はい」
俺はシルスに指示を出し、ミミさん達から逃げだした。
にしても、姿を消した、あんな風に出てきたのに、消えるとは、本当に不気味だ。




