上級タワーを目指して
準備2日目、俺達はある程度の準備を終わらせて、ギルドでのんびりしていた。
しかし、まぁ、俺はまだりえるさんの弾丸の錬成をしているんだがな。
「ふぅ、飲み物でも飲むか」
錬成もある程度終わり、汗も酷い、だから冷蔵庫の飲み物を飲むことにした。
俺は冷蔵庫の前までやって来て、その扉を開けたとき、ある事に気付いた。
「ん? あれ? プリンが合った気がするんだけどな・・・」
少し前に、奈々が皆分に買っていたプリンが無くなっていた。
確か、まだ奈々用のプリンがあった気がするんだが・・・
「おい、勇次! お前、奈々のプリン食べたか!?」
「あぁ!? 何だ? プリン? あぁ、あのプリンか! 美味かったな」
あいつ、まさか奈々の分のプリンを食ったのか?
「おい、残ってたのは奈々のプリンだぞ!? 何食ってんだよ!」
「は? 俺ら分のプリンの事じゃねぇの? ちょっと待て、そっち行くから!」
そう言うと、勇次が台所の方まで走ってきた。
そして、冷蔵庫の方まで来て、中身を確認した。
「あ、本当だ、何処にもねぇじゃん」
「お前、良くもまぁ、奈々のプリンを食ったな」
「いや、俺じゃ無いぞ!? 俺は自分のプリンしか食ってない!」
「いや、お前なら食いそうじゃ無いか」
「いやいや! あり得ないって! 俺は自分の分しか食ってない! 信じてくれ!」
・・・う、嘘を付いているようには見えないし・・・ま、まぁ、良いだろう。
・・・後で奈々の分のプリンを買いに行った方が良いかもな。
そんなちょっとした騒動はあったが、とりあえず、奈々は今日プリンを食うつもりじゃなかったようだ。
だから、まだプリンのことはバレていない。
それから1日ほど時間が経ち出発の日が来た、準備はもうすでに終わっている。
俺達は新しいイレギュラーモンスターが出てきたというタワーに向った。
しかし、上級タワーか、ああは言っても、やっぱり、1回でアウトってのは怖いな。
まぁ、大丈夫だろうよ、死ななきゃ良いんだ、ただ、それだけだ。
「上級のタワーね・・・私も今まで行ったこと無いわよ」
「そうなんですか?」
「えぇ、私が突破したのは中級タワー、初級タワーだけだから、上級は推薦レベル高いし」
「あぁ、そう言えば、俺達が始めてりえるさん達に会ったとき、まだ50行ってませんでしたしね」
「そうそう、で、今は55・・・何か、自分のレベルを確認して思ったんだけど・・・
修介君の成長速度、かなりヤバいわよね・・・確か、あの時はレベルは一桁だったのに・・・」
「幸運能力で、色んな奴と戦ってましたからね、レベルが上がるのは、まぁ、妥当でしょう」
「・・・その内、私も抜かれそうで怖いわ」
りえるさんは少しだけ引きつった笑顔で小さくそう呟いた。
「別に良いんじゃないですか? レベルなんて飾りですよ」
「実際、そうなのよね、レベルが上がっても、そこまでステータスは変化しないし
でも、レベル上げないと、強力なスキルを撃てないのよね」
「そんなスキルとかも無かったら、レベルをあげる意味は殆ど無いからね」
やっぱり、レベル上げの主な目的はスキルなんだな。
まぁ、スキルが少なかったら、連携で合わせたり応用したり出来なくなるし、当然かな。
「まぁ、もうその話は良いじゃないか、とりあえず、うちらはタワーを目指さないと駄目だからね」
「それもそうね、それじゃあ、少し急ぎましょうか」
「がう」「・・・どうでも良いのだが、何故私まで・・・」
「がぁぅあ~」「良いじゃん良いじゃん、多い方が楽しいって」
「がぅ・・・」「私は群れの統括が・・・はぁ、協力すると行ってしまった以上、協力はするか」
「「いえーぃ!」」
2匹の会話の後に通訳していた真野と美香がハイタッチをした。
あぁ、そうか、今まで美香はダイアの話を通訳してなかったっけ。
それで、今回同時通訳して、気分が良くなって、真野とハイタッチか。
「何か、楽しそうで何よりね」
「そうですね」
「くぅ、私も狼さんの言葉を知りたい!」
「梨々ちゃん、諦めましょう」
「くぅ!」
そして、その2人の会話を聞いていた梨々が悔しそうに2人を見ている。
それをなだめている姉の奈々・・・何か、ホムンクルス達は仲が良さそうで何よりだ。
「何か、私達は蚊帳の外って感じですね」
「そうでも無いわ」
「修介! 美香が始めて通訳してくれたんだ!」
「あぁ、分かってるって、だからそんなに俺に抱きつくな」
真野ちゃん、シルスの背中に乗ってるのに修介君に抱きついて・・・転けなきゃ良いけど。
と言うか、少しバランス崩してるわね、まぁ、持ちこたえたっぽいけど。
「くぅ、私だってぇ!」
「まぁまぁ、良いじゃないか、なに、戦闘で大活躍すれば、皆認めてくれるさ」
「そうだね! そう、私には戦いがある!」
戦闘が大好きなミミらしい励まし方ね、で、それをすぐに受け入れちゃう辺り
あの子も戦闘が好きなのかしら、だったら、良い組み合わせ・・・なのかしらね。
「楽しそうで良かった」
「あなたもそう思う? 意外と気が合うね」
愛ちゃんと奈々ちゃんはその光景をみて、同じ意見が出たようね。
まぁ、私も楽しそうって感じてるし、結構普通の感想よね、それって。
でも、それで仲良くなれるんなら、文句は何も無いわ。
「・・・どうやって言葉が分かるの? 興味がある」
「何となく!」
リエの真剣な質問に対して、美香はもの凄く笑ってそう答えた。
そして、リエはその返答で転けるような動作をした・・・あの子、あんなお茶目なとこあったのね。
「あ、本当ですね・・・でも、私達2人が蚊帳の外なのは変わりませんね・・・」
「ほら、あれよ、4人と6人だから、どうしても2人余るのよ」
「確かに、そうですけど・・・」
「何よ、あなたは私と話するのが不服なわけ?」
「そんな! 滅相もございません!」
まぁ、別に怒っちゃ居ないけど、何か面白いし、このままで良いか。
「・・・っと、りえるさん、後方、何かモンスター来てますよ」
「ん? あぁ、本当ね、じゃあ、軽く片付けましょうか」
「あはは! あの程度うち1人で十分だよ!」
そう言うと、ミミさんがもの凄い勢いでそのモンスターの方に走っていった。
何かぱっと見強そうな相手なんだけど・・・ミミさん1人で大丈夫かな。
「うぉぉ! 私が大活躍しちゃうんだぁ!」
そして、ミミさんの反応とほぼ同時に梨々も一気に走り出し、モンスターに突撃した。
「がぐあぁ!」
「だっしゃぁ!」
最初にそのモンスターの近くまで接近できたのはミミさんで
相手の攻撃に合わせて、強烈な一撃を食らわせた。
「がぐあ!」
「結構入ったんじゃ無いかい!?」
「うおぉぉぉ!!」
「おわぁ!」
そして、ミミさんの突進の攻撃のほぼ直後に梨々が到着して、ミミさんの頭を踏み台にして
そのモンスターに一気に近寄った。
「てりゃぁ!」
「がぁ!」
そして、そのモンスターの首元に強力な蹴りをお見舞いした後に
そのまま足を相手に引っかけて、後ろの方に移動した。
「えいやぁ!」
「がう!」
そして、そのモンスターは後ろから何かに押されたように前の方に押し出されてきた。
「面白い事をするじゃないか!」
「がうあぁ!」
ミミさんはすぐに梨々の意図に気が付き、そのこっちに飛ばされてきたモンスターを手持ちの斧で
思いっきり攻撃した、2人の連携が凄かったからなのか、もしくはあのモンスターが弱かったからか
分からないが、そのモンスターはその一連の連係プレイであっさりと撃沈した。
「うぉぉぉ! やったぁ! 大活躍だぁ!」
「あぁ、そうだね! でも、良くもうちを踏み台にしてくれたねぇ!」
「あ、そんな怖い顔をしないでって、ほら、踏み台にした方が高く飛べそうだったし!」
「問答無用だよ!」
「ぎゃぁーー!!」
ミミさんは梨々に踏み台にされたのが嫌だったのだろう。
斧の腹の部分で、梨々を軽く殴った。
「う・・・たんこぶ出来た・・・」
「かなり加減したからさ、大丈夫だよ」
「うぅ・・・まぁ、結構たんこぶにはなれてるから良いんだけどね・・・お姉ちゃんに良く殴られてるし」
「そうなの? 意外ね」
「悪いことをしたら、それ相応の罰を与える、それは当然のことでしょう?」
「まぁ、確かにそうなんだが、普段のお前からは考えられないな」
「見かけでの判断は危険よ、特に私達ホムンクルスに対してはね」
あぁ、確かにそうだな、こいつらは人を見かけで判断するなと言う事を全身で表わしてる存在だった。
なんせ、見た目は幼かろうと、能力はそこら辺の探検家の何倍も高いからな。
「あぁ、そうだったな、うん、肝に銘じるよ」
「分かれば良いよ、分かれば」
「むきぃ! 何さぁ! ちょっとお姉ちゃんのプリンを食べただけなのに怒っちゃってさ!」
「・・・ん?」
「あ、いや、あれだよ? 例えだよ? べ、別にホーリーアップルの冷蔵庫に入ってた
お姉ちゃんのプリントか知らないからね!?」
「・・・・・・」
梨々、あいつは馬鹿なのか・・・てか、そうか、奈々の分の取ってたと思ってたのに
無かったのは、こいつが食ったからか、済まん、勇次、疑ってしまって・・・
「梨々・・・あなた、これで何度目?」
「え・・・い、いや、だから食べてないってばぁ!」
「・・・まぁ、とりあえず、お仕置きね・・・」
奈々は指の骨をバキバキ言わせながら、ゆっくりと梨々の方に近寄った。
しかし、あれだな、梨々は怒ると怒りの表情じゃ無くて、笑顔になるんだな。
まぁ、マジキチスマイルなんだけどな。
「あ・・・あぁ、ご、ごめんなさいぃぃぃ!!」
「正義の鉄槌!」
「ぎゃぁぁぁ!!」
そして、梨々の頭の上に2つのたんこぶが出来た・・・やっぱり、悪いことは出来ないな。
「何やってるんだか・・・まぁ、ほら、さっさと行くわよ、タワーはまだまだ遠くよ」
「じゃあ、行きますか」
「そうだね!」
「さて、ほら、梨々、行くわよ」
「あぅ・・・お姉ちゃん、服を引っ張らないでぇ~」
俺達はゆっくりと新しいイレギュラーモンスターが出てきたというタワーに再び向った。
しかし、梨々の奴、頭は2回も殴打されるわ、服を引っ張られて連行されるわで、大変だな。
まぁ、全部自業自得なんだけどな。
「いでッ!」
本日3回目の頭部強打だ、でも、これは引きずってた奈々が悪い。
さて、梨々はあと何回頭をぶつけるのか・・・数えるのも面白いかも知れない。




