次の目標の模索
目標を達成して、しばらく経過した。
その間に武器を作ってくれと言われ、一応加工した。
作った武器の名前とステータスはこうだ
愚狼の杖、知識を得た愚かなる狼達の力を扱うための杖
その杖から放たれる魔法はまるで遠吠えの様だ。
効果、5%の確率で2度連続で同じ呪文を出せる。
{HP+20}
{MP+400}
{攻撃+300}
{防御+20}
{魔力+400}
{精神+200}
これは明美とリエさんの武器だ。
2人ともメインが同じで、同じ武器を作ってくれとのことだ。
理由は、それ位しか素材がないから、らしい。
因みに魔法職はSPの部分がMPと表記される。
シャドー・スナイパー、漆黒に紛れ、確実に相手を撃ち抜く狙撃銃
その一撃は確実に致命の傷を与えるであろう。
効果、気付かれていない場合、ダメージを3倍にする。
{HP+200}
{SP+500}
{攻撃+3000}
{防御+200}
{魔力+500}
{精神+200}
少しレベルの高い装備であるため、かなり攻撃力が高く表記されている。
本当は設計図が無く、作れないが、りえるさんがこの武器の設計図を持っていた。
にしても攻撃力3000とかエグいし、それが更に3倍とか大概の敵は一撃だろうな。
「へー、こんなに補正が掛かるのね」
「あの、りえるさん、攻撃力3000とかエグすぎやしませんかねぇ」
「これでも私はレベル40越えよ? これくらいはあるでしょ」
そういえばそうだったな、忘れてたよ。
「ところで、あなた達、サブとかは良いの?」
「えっと、サブはクリムゾン・ナイフしか作れませんし、それなら装備しない方が良いかなぁと」
「ま、まぁ、そうよね、あのデザインの武器を持つくらいならサブ要らないわよね」
クリムゾン・ナイフのデザインはかなり狂気的だ。
なんせ、全体的に内蔵みたいなデザインで、刃の部分には大きな口、更に目もある。
この前鍛冶屋に売ってたのを見たが、あんな物は触りたくも無い。
ゲームだった時ならまだ作れていただろうけどな、効果も結構すごいし。
「でも、サブはあった方が良いのよね」
「何でですか?」
「サブが弱かった場合、私達後衛職は不意打ちに全く対処できないからよ」
「でも、そこは布陣でなんとかカバーするんじゃ無いんですか?」
「それが基本だけど、ダンジョンによっては後方からいきなり湧いたりするの」
多分、結構レベルが高いダンジョンなんだろうけど、それでもえげつないな。
そういえば、俺のサブは盾だっけ・・・欲しいが、そんな物を作れる素材が無い。
「でも、今の俺らはサブを作れる素材も無いっすよ?」
「まぁ、そうなんだけどね」
「だった、ら、タワーに、挑めば良い」
「あぁ、そうね、今ならタワーでも行けるわよね、ランクも上がって
更に高難度のダンジョンにも入れるし」
普通、今の状況でタワーに挑むのは無謀だ、普通は闘技場でランクを上げ
強い武器を手に入れてから入らないとまず、クリアは不可能に等しい。
それに、タワーは全員分断などもたまにある、それも理由で
このゲームは初心者キラーの異名もある。
「でも、分断があるんでしょう?」
「そこは大丈夫よ、魔法職は近寄られても結構戦えるから」
「じゃあ、りえるさんは大丈夫なんですか?」
「まぁ、少し苦戦するかもしれないけど、大丈夫よ
それと、あと1人前衛職を勧誘すれば良いだけよ」
「そうですね」
このパーティーには前衛は俺しかいない、勇次は中衛だしな。
「ま、そうと決まれば、勧誘いくわよ」
「はい!」
俺達が魔法陣から出て、勧誘にいこうとすると、丁度受付に1人の女の子がいた。
「むぅ・・・良さそうなギルド無いなぁ・・・」
「どのようなギルドをお探しですか?」
「お風呂があって、人数が少ないギルドが良いわ、それと、マナーにうるさくないギルド」
まさに俺達のギルドのような気がする、人数は少ないし、風呂もある
それに、ギルマスはそこまで堅苦しくないし。
「あ、良いギルドがありました」
「何処!?」
「えっと、ホーリーアップルというギルドですね、人数は5人ですし」
「5人なのにお風呂も開放されてんの!? じゃあ、そこ! そこに入りたい!」
「それが、承認制なんですよね、ご本人達にお会いしないと」
「それでも良いから! お願い!」
すごいタイミングだ、偶然って怖いな。
「あ、丁度いらっしゃいました」
「へ? 何処? 何処よ!?」
「あちらの方がホーリーアップルのギルドマスターのりえる様です」
「へ? このいかにも厳しそうな兎の人が?」
まぁ、りえるさんの服装は黒い軍服だからな、服装で判断なら厳しそうだよな。
実際はさほど厳しくないけど。
「はい、こちらの方がそうです」
「いや、厳しくない所ってったじゃん!」
「ですけど、このギルドにはノルマもありませんし、緩いと思いますよ?」
「ノルマじゃ無くってマナーだって」
「えっと、家のギルドに入りたいのかしら?」
「ひゃい! あ、あ、あ、あの、その、あわわわわぁ!!」
女の子はりえるさんが話しかけると、すごい勢いで焦り始めた。
多分、この子自体も自分が今、どんな行動を取ってるかも分かってないだろうな。
「落ち着きなさいよ、私は何もしてないでしょ?」
「しゅ、しゅみましぇん!!」
噛み噛みだ、こんなに派手に噛むとはな、なんだかリエさんを思い出す。
「そんなに焦らないでって、別に怒ってないわよ」
「ほ、本当ですか?」
スゲー、さっき受付に話していた時とは態度も言葉遣いも違う、本当、変わった子だ。
「まぁ、ここで話し合うのは迷惑だし、来なさい」
「あ、はい」
俺達はとりあえず、ギルドの方に入った。
そういえば、俺達が入ったときは承認制って奴じゃ無かったな。
いや、もしかしたら、ギルドのサブマスターがいたから大丈夫だったのか?
まぁ、それは良い、俺達はとりあえず、その子の話を聞いてみることにした。
「あ、えっと、その、あたしは瑠璃川 愛と言います」
この子の見た目を言えば、身長は小さめで、髪の毛はオレンジ色で、黒いリボンで
髪の毛を2つ括っている、ツインテールって奴だ。
そして、服装は銀色の鎧にみかんのマークが肩についていた。
「えっと、職業は騎士で、サブ職業は裁縫師で、レベルは20です、あ、裁縫師のレベルは5です」
騎士は前衛職の中でも最も守りが堅い職業だ。
ただ、剣士と違い、高い火力の攻撃を出すのは苦手で、完全に守りに特化している。
簡潔に言えば、剣士はそこそこ万能型で、騎士は鉄壁型と言うことだ。
臨機応変に立ち回れない欠点があるが、常にその事だけを考えれば良いと言う利点もある。
そして、サブの裁縫師は防具の基本となる革を作ることが出来る。
基本的に防具はその革を基本として鍛冶屋が作るため、この子が入ってくれれば
防具の加工も出来るようになる、ただ、まだレベルは5であるため
運で色々と無効化できる俺とは違い、レベル5程度の革しか作れない。
良くて精々8くらいかな、それが理由で強い防具はまだ無理だろう。
「ふむ、騎士で裁縫師ね、願ったり叶ったりね、良いわ入ってちょうだい」
「本当ですか?」
「あと、無理に敬語は使わないで良いわよ」
「え? 良いんです?」
「えぇ、あなたは普段敬語なんて使わないんでしょう?」
「なんで分かるのですか?」
「使い方が下手だからね」
りえるさんは優しく愛に話しかけた。
それで安心したのか愛の表情も柔らかくなった。
「じゃあ、敬語は使わない! 良いよね?」
「えぇ、構わないわ」
「じゃあ、このギルドに入ってくれる?」
「もちろん!」
こうして、ホーリーアップルに新しいメンバーが追加された。
俺達は軽く自己紹介を終わらせ、俺達にも敬語は不要だと言うことを伝えた。
しかし、新しい前衛職が増えたんだ、俺の仕事も少しは楽になるだろう。




